ストレスや疲れが溜まると、なかなか寝つけなくて悩むことがあると思います。
そんなときに役立つものとしてアロマオイルがありますが、それを使って深い眠りにつくためにはどうすればいいのでしょう。
どんなオイルがあり、どんな使い方をすればいいのでしょうか。
ここでは、睡眠効果を得るためのアロマオイルの選び方と、その使い方を4つ見ていきましょう。
睡眠効果を得るために!「アロマオイル」の見分け方
実は、「アロマオイル」はトータルの呼称で、厳密には「精油」と「それ以外のオイル」に別れます。
「精油(エッセンシャルオイル)」とは、植物から抽出したままの、混ぜもののないオイルのことです。
アロマセラピーや医療現場などで使われるもので、ここで説明しているのもこちらのオイルです。
もう一方の「精油以外のオイル」は、精油や香料を別のオイルや水などで薄めたものを指し、部屋の芳香剤やマッサージオイルなど、別の使い方をされるものです。
つまり、睡眠などの効果を得るためには、「精油」かどうかを見分けることが大切なポイントなのです。
両者の区別は、品質表示がされているかどうかで判断します。
「精油」には、名前や製造年月日はもちろん、原産地や抽出部位、抽出方法や製造元・輸入元などの細かい情報が必ず明記されています。
ただし、情報量があまりにも多く、パッケージの内側に説明書の形で入っている場合がほとんどなので、外から分からないことも珍しくありません。
ですから、最初は専門店で買うことをおすすめします。
また、現在は信頼の置ける国内外のいい「精油」が簡単に手に入るようになりましたので、メーカー名で選ぶのもおすすめです。
(一般的には「精油」のことを「アロマオイル」と呼ぶことが多いため、これ以降「アロマオイル」で統一します。)
睡眠効果も色々!眠れない原因から見たアロマオイルの選び方!
眠れない原因は人それぞれです。
原因に合ったものを選び使い方を工夫すると、より高い睡眠効果が得られるかもしれません。
まずは、代表的な症状に合わせてアロマオイルをご紹介しましょう。
◆仕事のストレスを忘れリラックスして眠りたい!<ラベンダー>
ラベンダーには、ストレスを和らげ血圧や心拍数も下げて睡眠を促す効果があります。
手に入りやすい上に汎用性も高く、アロマオイルの王様的存在です。
◆不安や悲しい気持ちを和らげて心穏やかに眠りたい!<サンダルウッド>
サンダルウッド(白檀)は、お線香でお馴染みの香料ですが、いわゆる「線香臭い」香りとは少し違います。
強い鎮静作用を持ち、心を鎮め、穏やかな眠りを誘うようなオイルです。
◆辛い女性特有の身体のトラブルを和らげて眠りたい!<クラリセージ>
女性ホルモンと似た働きをして、女性の身体のトラブルや更年期の症状を和らげてくれる効果が期待できるのがクラリセージです。
香りに多少クセがあるので、オリーブオイルなど別のものに混ぜて使うといいでしょう。
また、ホルモンに作用するので、妊娠中の方の使用はNGです。
◆花粉症の症状を抑えてぐっすり眠りたい!<ティートリーorユーカリ>
どちらも花粉症を押さえる効果が期待できるアロマオイルです。
さらに、ティートリーには心を癒やしてリフレッシュさせる効果、ユーカリには気持ちを鎮める効果があるので、お休み前のオイルとしてもぴったりです。
以上、代表的なオイルをご紹介しましたが、アロマオイルを選ぶときに大切なポイントがもう1つあります。
それは、「好きな香りを選ぶこと」です。
薬と同じように、アロマオイルにも体質に合う合わないがあり、それを鼻が嗅ぎ取ってくれますので、「合わないな」と感じたら、どんどん別の香りを試していきましょう。
アロマオイルの使い方①香りを部屋中に行き渡らせる!
アロマオイルの使い方の1つ目は、ディフューザーを使って、部屋全体に香りを行き渡らせる方法です。
ディフューザーとは、オイルの香りを拡散させる装置のことですが、香りが部屋いっぱいに広がって、まるで森林浴のような効果が得られます。
ディフューザーにはいくつも種類がありますが、最近よく見かけるのは、超音波で水とアロマをミスト状に拡散する「アロマ加湿器」です。
これは加湿器とディフューザーを兼ねており、広い範囲に急速に香りを届ける装置です。
また、昔ながらのアロマポットやアロマライトもディフューザーの一種です。
「アロマポット」は、ポットの上にオイルを垂らし下にロウソクを置いて、炎の熱でオイルをゆっくり蒸発させ香りを広げます。
「アロマライト」は、ロウソクの代わりに電球を使います。
火を扱わずにすむので、こちらの方が使い方も簡単で火事の心配がありません。
ただし、部屋いっぱいに香りを行き渡らせる際には、同じ部屋にいる人への気遣いが不可欠です。
香りの好みは人それぞれですから、どんなにいいオイルを使っても、その香りが嫌いな方への睡眠効果は望めません。
また、クラリセージのように特定の人に対して控えなければならないオイルもありますし、犬や猫などのペットがいる場合、アロマオイルの使用を全般的に控えた方がいい場合もあります。
このタイプのディフューザーを使う場合には、まず自分以外に誰がいるのか、好みはどうか、悪い影響はないのかどうかを確認した上で使用することが大切です。
アロマオイルの使い方②自分の身の回りだけに香りを寄せる!
2つ目の使い方は、他の人に対し、アロマオイルの影響が比較的少なくてすむ方法です。
アロマオイルは揮発性の高い芳香成分をたくさん含んでいるので、何かに垂らして置いておくだけで、穏やかに蒸発していきます。
そのため、ティッシュペーパーやハンカチにオイルを1~2滴垂らして枕元に置けば、それほど香りも広がらず、香りを楽しみながら眠りにつくことができます。
テレビを見ながら手元に置けば、部屋全体に香りをつけたのと同じ効果も得られます。
さらに、この作業を一種の儀式にしてしまえば、「習慣(=条件反射)」という、別の睡眠効果も狙えます。
そのために、ポプリのサシェ(匂い袋)やアロマストーン(多孔質の石でディフューザーの1種)、アロマ専用のぬいぐるみなど、特別なアイテムを用意するのもいいですね。
また、蒸気と一緒に芳香成分を吸い込む方法でも、自分のみ楽しむ方法があります。
洗面器に80℃くらいの熱めのお湯にオイルを1~2滴垂らします。
蒸気を逃さないように頭と洗面器を乾燥したバスタオルで覆うようにし、バスタオル内で蒸気の空間を作ります。
このとき、洗面器から20cm以上は顔を離すようにしてください。
また、粘膜を保護するために目はつぶり、ゆっくり深呼吸しながら香りを楽しみましょう。
さらに、肌を整えるオイル(ラベンダーもその1つ)を追加すると、美肌効果もプラスされます。
ただし、効果を期待して多用するのはよくありません。
1日あたりの許容量は、アロマオイルの瓶に付いているドロッパー(スポイト)1滴0.05mlで10滴とされています。
少ないと感じるかもしれませんが、どんな方法でも、1回で使うアロマオイルの量はだいたい1~3滴、多くても5滴程度です。
ついたくさん使ってしまいそうですが、使い過ぎないように気をつけるのも大切なポイントの1つです。
アロマオイルの使い方③1日中携帯して不快な症状を和らげる
3つ目の使い方は、アロマオイルを1日中携帯する方法です。
睡眠効果のあるアロマオイルを仕事場や会社に持ち込むのは、おかしな話だと思われるかもしれません。
しかし、「日中の体調を整えることで、睡眠効果を上げる」と考えればどうでしょう。
例えば、花粉症の時期、ティートリーやユーカリの香りを持ち歩いて、昼間の症状を抑えておけば、夜のアロマタイムの効果がよりアップします。
また、更年期などの女性特有の症状も同じで、寝る前だけに症状を緩和しようとするよりも、1日を通して対処した方がよく効きます。
悲しい気持ちが晴れないときや不安な日が続くときも、サンダルウッドやラベンダーで日中の緊張をほぐしておけば、夜を穏やかに迎えることができるでしょう。
使い方は、ハンカチなどに数滴垂らして持ち歩き、折に触れて香りをかぎます。
ミニサシェや小さなぬいぐるみなどに染み込ませてもいいですし、ペンダント型の携帯用アロマストーンもおすすめのアイテムです。
また、バッグの底に忍ばせると、香りが飛んでしまいにくいので長持ちし、バッグを開けるたびにいい香りがします。
さらに、次の項でご紹介するマッサージオイルやハンドクリームを取り分けて、持ち歩くのもいいでしょう。
アロマオイルの使い方④手作りアイテムで睡眠効果アップを狙う!
使い方の4つ目は、肌に直接塗る方法です。
アロマオイルは、香りがダイレクトに脳に刺激を与えるものですが、肌からも血管を介してゆっくり伝わります。
ただし、刺激が強すぎるので2%以下に薄めて使います。
◆マッサージオイル
○好みのアロマオイル1滴に対し、キャリアオイル10mlの割合で混ぜる
芳香成分とマッサージによる血流アップのダブル効果で、心地よい睡眠へ誘います。
キャリアオイルとは、「精油」の刺激を下げ、芳香成分を肌の奥まで送り届けるオイルのことです。
オリーブオイルやホホバオイルが代表的なものですが、キャリアオイルは肌を整える効果のあるものばかりですので、こちらもチェックしてみてはいかがでしょう。
◆ハンドクリーム
○好みのアロマオイル2滴に対し、ワセリン10g
ワセリンは、固ければ少し温めてアロマオイルを入れます。
また、下記の方法もおすすめです。
○好みのアロマオイル1滴に対し、ミツロウ2g、キャリアオイル10ml
ミツロウは湯煎にかけて溶かし、キャリアオイルと混ぜた後、少し冷ましてアロマオイルを入れましょう。
どちらもよく混ぜ、アロマオイルが偏らないようにします。
◆入浴剤
○好みのアロマオイル8滴に対し、キャリアオイル10ml(2回分)
もしくは、発汗作用のある塩と混ぜる方法もおすすめです。
○好みのアロマオイル10滴に対し、天然塩150g(3回分)
こちらも偏りがないようによく混ぜ込み、湯船に入れた後、さらにお湯をよくかき混ぜてから入浴してください。
アロマオイルで良質な睡眠を!
睡眠効果を上げる方法は、単にリラックスを狙うだけではありません。
不快な症状を緩和することで、心身のストレスを和らげて眠る方法もあるのです。
アロマオイルを使って、穏やかな眠りを手に入れてみませんか?
ただし、使いすぎなど、使い方によっては身体に負荷がかかってしまうことも忘れないでくださいね。