近年の来日外国人の増加に伴い、日本古来の「和室」が見直されてきています。
宿泊施設である旅館やホテルでも「和室」スタイルはそのままに、外国人でもくつろげるように、ベッドを置くところも増えているようです。
そのようなホテルを真似てみたいけど、和+洋のコーディネートが上手にできるかどうか不安な人も少なくないでしょう。
そんな悩みを解決して、外国人も憧れるベッドルームを作ってみましょう。
ホテルのように和室にベッドを置きたいのなら…
ホテルのベッドルームは、和モダンの代表のような雰囲気があります。
近年このような和モダンな寝室に、人気があつまっています。
その理由としては、「その雰囲気を自分の部屋でも味わいたい」、「元々住んでいる部屋が和室だけどベッドを置きたい」、「和室でお布団を敷いて寝ているが、年齢と共につらくなってきたお布団の上げ下げをなくしたい」など、理由は多種多様です。
何も考えずにいきなり、好みのベッドを購入して部屋にただ置いてしまうと、なんともしっくりこない、ただの寝床になってしまいます。
元々、和室に洋風のものを合わせるのですから、ベッドの選び方からコーディネートは慎重にしましょう。
そして、基本的にベッドは、洋室のフローリングの床に置いて使うものなので、畳に対しては特にケアが必要になります。
また、賃貸の和室の場合は、入居した時と同じ状態にして返却しなければならないという、原状回復の義務も考えなければなりません。
ベッドを置いてしまってから後悔しないためにも、和室にベッドを置く時のポイントを押えてからトライしていきましょう。
和室の主役「畳」に配慮してあげよう
和室にはかかせない畳ですが、ベッドを置く際にはそれなりの配慮は必要です。
高級ホテルなどは、質の良い高い畳を使っているところも多いのですが、一般家庭では、そう簡単にはいきません。
和室にベッドを置こうと考えた時、一番気になるのはやはり、畳に傷がついてしまうことではないでしょうか。
そのような、事態を回避するためにいろいろな方法を知っておきましょう。
ベッドには、本体を支える脚がついています。
そのベッドの脚は、寝ている人の全体重を毎日、支えています。
特にスタンダードな4つ脚タイプのベッドの脚には、かなりの負担がかかっていて、同じ様にベッドの脚のすぐ下の畳にも負担がかかってきます。
もし、4つ脚のベッドを選んだ場合には、ベッドの脚の部分にカバーをつけることをおすすめします。
もしくは、ゴムマットやカーペット、ベニヤ板などの木を切り取り、ベッドの脚と畳の間に挟んでも良いでしょう。
このようにすると、畳のへこみや横ずれによる痛みも軽減することができます。
そして、ベッドフレーム全体で支えるタイプは、ベッドにかかる重さが分散されるので、4つ脚のベッドに比べるとへこみや跡がつきにくくなります。
和室に置いたベッドは動かさないことを前提に
そして、一度畳の上にベッドを置いたら、基本的には動かせないと考えておいたほうが良いでしょう。
もし、洋室のフローリングだったら、少し押して移動をすることができますが、同じ様に畳の上に置いたベッドを動かすと、畳が擦れてぼろぼろになってしまうからです。
また、畳の目や方向を配慮して、ベッドを置いたとしてもむやみに移動させようとすると、畳を傷めてしまいます。
そして、一度置いたベッドの位置は変えないということは、ベッドを移動させなくても良い配置にすることです。
つまり、掃除をしたり、人が動く時に妨げにならない場所に固定させると良いでしょう。
ホテルなどの宿泊施設は、お客様の動線を考えて、ベッドの配置が考慮されています。
このように和室にベッドを置いてしまう前に、ホテルのベッドルームをお手本にして、自分の生活動線を考慮したレイアウトを慎重に考えるようすることが重要と言えるでしょう。
ホテルをお手本に!和室に置くベッドのコーディネート
では、実際に和室にベッドを置いているホテルを思いだしてみましょう。
これは洋室でも言えることですが、ホテルの部屋の入口付近にはベッドは配置されていません。
もし、入口付近にベッドが配置されていれば、電気をつけない状態で夜、部屋に入った時に真っ先にベッドにぶつかってしまいます。
それを何度も繰り返してしまうと、畳の擦れは確実に残ってしまので、部屋が狭くても、できるだけドア付近には置かないようにしましょう。
そして、ベッドの向きは、壁面に頭が向くようにベッドを配置すると良いでしょう。
特に、ベッドボードがないベッドは、こうすることによって、そのまま和室にお布団を敷いている時のイメージがでやすくなるからです。
さらに、和室の良さを強調するならば、ベッドの高さは低めにすると、どっしりとした落ち着いた「和」の雰囲気がでます。
それと併せて、テーブルやソファも低めにして、全体的に低めにバランスをとると和モダンが強調されます。
また、ベッドの色を畳の色に合わせたり、部屋全体に色の統一をとることで、和室にベッドが溶け込んでいきます。
反対に、ベッドだけではなくお布団やベッドカバー、ベットヘッドの色も畳やインテリアの色と合わせてみても良いでしょう。
インテリアもホテル級を目指してみよう
最後に、インテリアにもこだわってみましょう。
ホテルのベッドがある和室でも「和」のイメージを壊さないように、色の配慮がされています。
「和」がもたらす木、緑そして、天然の素材の雰囲気を持つ色が使われています。
ベッドもパイプやアイアンを使ったものではなく、木製の茶系統で統一されている部屋が多いようです。
中でも、畳ベッドはそのまま「和」の雰囲気を楽しむことができます。
合わせてテーブルやソファなどのインテリアも木製だと、調和がとりやすくなります。
そして、同色で濃淡をつけ、アクセントポイントにとり入れています。
たとえば、ベッド脇や壁面の間接照明や、小さなクッションでも良いかもしれません。
間接照明やスタンドライトは、控えめな光の木枠で、和紙で作られた灯篭のようなものが合いやすいです。
その点、逆にベッドルームの間接照明があまりに明るすぎてしまうと、落ち着いた感じが薄れてしまいがちなので注意しましょう。
和モダンの主役である、和室の雰囲気を活かすことが大切です。
お手入れもホテル級に!和室のベッドお手入れ方法
さて、ベッドを和室に置いて、まるでホテルのような空間にすることができたのではないでしょうか。
ここでは、改めて畳の掃除機のかけ方をおさらいしてみましょう。
基本は、畳の目に沿って掃除機をかけることです。
視覚では一定方向に線のように見え、手で触ると手がすっと滑る方向が畳の目です。
それに沿ってゆっくりと、掃除機をかけていきます。
畳1枚で1分間かけて、1ヶ所でゆっくり2~3往復すると畳の目に詰まっているほこりもきれいにとることができます。
その時、掃除機のヘッドをごしごしと強く往復させないようにします。
また、掃除機本体をずるずると引きずって、掃除機本体を引き寄せてしまっても、畳に傷をつけてしまうので気をつけましょう。
特に、ベッドの下は、ほこりやごみが溜まりやすい場所なので、ベッドを動かさないように、丁寧に掃除機をかけておきます。
もし、掃除機以外を使って掃除をするなら、100円ショップなどで購入できるフローリングワイパーを活用するのがおすすめです。
この時も、畳の目に合わせて動かすようにします。
そして、ベッドの下はカビの発生を防ぐためにも、通気性を良くしておくと良いです。
そのため、毎日、部屋の換気をすることでも良いですし、年に1~2回でも良いのでマットレスも外して、ベッドの裏側のほこりをとったり、風通しをするようにしましょう。
特に、梅雨時などの湿度が高くなる時期には、除湿シートや押入れ用の除湿剤を置いても良いかもしれません。
いつまでも落ち着ける木の香りのするベッドルームを保ちましょう。
和室の良さを味わいながら充実した睡眠を
和室には、洋室にはない日本独特の落ち着いた雰囲気があります。
せっかく日本人に生まれてきたのですから、和室の雰囲気を活かしたベッドルームを楽しんではいかがでしょうか。
日本独特の「わび・さび」を肌で感じることができて、充実した睡眠をとることができるでしょう。