新生児がベッドから落ちる事故というのは、決して少なくありません。
お母さんがどんなに気を配っていても、毎年必ずと言っていいほど起こっている事故です。
新生児がベッドから落ちた時、まずするべきことは何でしょうか?
どんな時に病院へ連れていくと良いのでしょう?
実際に事故が起きる原因や、その時に親がとるべき行動をまとめてみました。
とっさの時に慌てないよう、心に留めて置いていただけると安心ですね。
新生児はどんな時にベッドから落ちる?
新生児は小さく頼りない存在です。
誰かの手がなければ、移動することも起き上がることも出来ません。
それなのに、なぜベッドから落ちる事故が起きるのでしょうか?
ベッドと言っても、ベビーベッドと大人用のベッドの場合があります。
ベビーベッドには留め具のある柵が付いていますが、大人用のベッドにはありません。
しかし、どちらのベッドを使用していても事故は起こっているのです。
ベビーベッドの場合には、「まだ一人では動けないから」という理由で柵を開けたままにしてしまうことが大きな原因となります。
大人用ベッドに至っては、元々柵が付いていないので、一人にするには常に危険な状態ということです。
例えば、おむつを替える時に柵を開けて、新しいおむつを取り出すほんの一瞬目を離すことなど、一度は経験したことのある方がほとんどでしょう。
もちろん、一瞬で新生児がベッドから落ちるほどに移動することはまずありませんが、慣れてしまうと一瞬が数秒になり、それから数分になるのに時間はかかりません。
新生児は、手足をバタバタと動かすことで、じりじりと移動することは出来ます。
新生児は動かないと思い込んでしまい、しばらく目を離していたら落ちてしまった、という事故は非常に多いのです。
そのような事故が起きてしまった場合、親がまずするべきことはどのようなことでしょうか?
ベッドから落ちる事故の時にまずするべきこと
新生児を含め、赤ちゃんは頭が重いものです。
そのため、ベッドから落ちる時は頭から落ちることがほとんどです。
「頭を打っていたら」と考えると、心配ですぐに抱き起したくなりますが、まずは赤ちゃんの様子を見ましょう。
意識がなかったり、様子がおかしい場合には動かすことは良くありません。
・意識があるか、泣いているか
・出血や外傷の有無
・手足が不自然に曲がったり垂れ下がったりしていないか
この3点をしっかりと確認します。
一般的には、意識がしっかりとしていて呼びかけに答えたり、新生児ならばすぐに泣き出す場合には、とりあえず安心と言えます。
その場合には、身体をしっかりと調べていきます。
小さな外傷や出血であれば、自宅で処置をして経過を見守っても大丈夫でしょう。
しかし、大きな出血や骨折、脱臼などがある場合には、すぐに受診する必要があります。
素人では中々判断が難しいことかもしれませんが、日常赤ちゃんの様子を一番知っているのはお母さんですので、少しでもおかしなところはないか、落ち着いて確認するようにしましょう。
ベッドから落ちたら応急処置しても良い?
赤ちゃんがベッドから落ちる事故では、どの程度の外傷ならば自宅で応急処置をしても良いのでしょうか?
「勝手なことをして具合いが悪くなってしまったら」
そう考えてしまい、不安になるお母さんはたくさんいらっしゃると思います。
しかし、先ほど述べた点を確認して、様子がおかしくない場合には、擦り傷や小さな切り傷、たんこぶなどは応急処置をしてあげて大丈夫です。
ただし、新生児はおしゃべりが出来ないため、様子がおかしいかはわかりにくいこともあります。
泣いている赤ちゃんを一旦落ち着かせてあげた上で、身体を触って嫌がらないか、痛みがある様子はないか、などと順に見ていきます。
額などわかりやすい場所にたんこぶがあれば、氷や保冷剤で冷やしたガーゼを使って患部を冷やしてあげるようにしましょう。
小さな傷は、出血が止まるまで抑えてあげるようにします。
通常であれば、およそ5分で出血は止まることがほとんどです。
また、歯は生えていなくても、ぶつけた衝撃で唇の裏の筋が切れて出血することがあります。
口の中から血が出てくると、お母さんは驚いてしまいますよね。
しかし、口の中は傷が塞がりやすい場所とも言えますので、過度に心配することはありません。
血を飲み込んでしまわないように、清潔なガーゼやハンカチで出血を止めるようにしましょう。
傷口にティッシュを使用すると、ちぎれたり貼りついたりする可能性がありますので、ティッシュは避けるようにしてくださいね。
こんな時には迷わず病院へ
新生児がベッドから落ちる事故で、病院へ行かなければならない場合はどのような時でしょうか?
上で述べたように意識がない場合はもちろんですが、他にも病院へ連れて行った方が良い症状についてまとめました。
・意識があってもぼんやりしている場合
・嘔吐を繰り返す場合
・痙攣している場合
・下まぶたをめくってみて白くなっている場合
このような場合には、救急車を呼んで病院へ連れていくようにしましょう。
頭を強く打っている可能性がありますので、揺り動かすのは厳禁です。
下まぶたは通常赤いので、白くなるのは貧血の場合です。
大きな外傷がない時には、脳内で出血をしている可能性もありますので注意が必要になります。
・泣き止まなかったり、いつまでもむずかっている場合
・傷口が大きかったり、出血が長く続いてる場合
・落ちた後すぐは元気でも、その後急に意識を失った場合
このような場合にも、病院へ連れていく方が良いでしょう。
救急車を呼ぶかどうかは自己判断になってしまいますが、突然顔色が悪くなるなど明らかに様子がおかしい時には救急車を呼んだ方が良いですね。
また、症状が出ていなくても不安な場合には、小児救急電話相談に電話をして専門家に判断を仰ぐと良いかもしれません。
♯8000に掛ければ繋がりますが、いざという時には慌ててしまって冷静に考えられなくなる場合もありますので、目につくところにメモを残しておくと安心出来ますよ。
新生児がベッドから落ちる事故を防ぐために
ここまでは、新生児が実際にベッドから落ちた場合の対処法などをご紹介しましたが、ここではベッドから落ちる事故を防ぐためにしておくことをご紹介します。
怖いのは、転落事故の場合、まず親が見ていないところで起きるということです。
そのため、ベビーベッドを使用している場合には、必ず柵を上げる習慣をつけておきましょう。
「短い時間だから」と開けたままにすることは、その時には良くても後々に柵を上げ忘れることに繋がります。
また、大人用ベッドに寝かせている方は、家事などで目を離す時にベッドから下ろしておく方が安心です。
ベッドガードやフェンスのようなものもありますが、ベッド全体を覆うものではありませんし、ものによっては高さもないために何らかの反動で落ちてしまうことがないとは言い切れません。
下にクッションや座布団を敷いておくとしても、落ちた時に気付かなければ、新生児だと寝返りが打てないので、窒息してしまうおそれもあります。
赤ちゃんは出来るだけ低い位置に寝かせて、周りから危険なものを取り除いておくようにしましょう。
新生児だけじゃない!3歳までは注意が必要
ベッドから落ちる事故というのは、新生児だけに限ったことではありません。
新生児の頃は首もすわっていなくて、身体も柔らかいためにお母さんはいつでも心配になりますよね。
しかし、身体が強くなり活発に動けるようになると、自分でベビーベッドの柵を乗り越えたり、あえて危険なことにもチャレンジしようとするので事故の確率は高くなります。
1~2歳ともなれば、親の言うことを聞き分けられる場合もありますが、赤ちゃんにはまだ危険という概念がありませんので油断は禁物です。
また、昨日まで出来なかったことが、今日になったら急に出来るということもあります。
「まだ立てないから」と安心していると、ベッドで急に立ち上がって落ちてしまうということも考えられます。
また、お布団やまくらを踏み台にすることもあります。
3歳頃になると、ベビーベッドは卒業しているでしょうし、大人用のベッドでも上手に降りることが出来るようになってきますので少し安心出来ますが、3歳までは注意が必要になります。
お母さんは、家事に育児にと毎日を忙しく過ごしているため、赤ちゃんから片時も目を離さないというのは、理想ではありますが現実的には無理です。
しかし、目を離す間にどのような状況にしておくか、で防げる事故はたくさんあります。
お母さん自身も安心して過ごせるように、3歳までの赤ちゃんから目を離す時には、低い位置で寝かせてあげるようにしましょう。
いざという時に落ち着いて行動を
新生児がベッドから落ちる事故は、赤ちゃんだけではなくお母さんにも大きなショックを与えます。
事故というのは、不注意だけで起きるものではありません。
新生児と一緒にいるお母さんは、毎日気を張り詰めていて、一生懸命赤ちゃんに気を配っていることでしょう。
しかし、人間ですからどうしても一瞬気がゆるむことや、慣れてきて肩の力が抜けることもあるのです。
いざ事故が起きた時に、自分を責めるのはやめましょう。
その時にどう行動するのか、次に事故を起こさないようにどうするのか、考えていけると良いですね。