人生の1/3は眠っているといわれるほど、睡眠は私たちの人生においてとても重要なものです。
疲れた体を癒したり、精神的にもリラックスしたりと、元気に日常生活を送るには、きちんと熟睡できることが大事ですよね。
しかし、中には、「眠りたいのに眠れない」と不眠に悩む方も多いと思います。
そこで、今回は、睡眠に効果的なおすすめのアロマオイルをご紹介していきます。
アロマオイルとは?なぜ、アロマが睡眠に効果的なのか?
アロマテラピーは、心身のトラブルも穏やかに回復させる働きがあるといわれ、特に女性に人気の自然療法です。
そのアロマテラピーで使われているのが、アロマオイルです。
このアロマオイル、一体どういうものなのでしょうか?
また、なぜ快適な睡眠におすすめといわれるのでしょうか?
《アロマオイルとは》
アロマオイルとは、植物の花や果実、種子や樹皮などから抽出した、天然由来の香料のことです。
花や果実を蒸したり、樹皮を絞ったりして抽出しますが、それには大量の原料を必要とします。
例えば、ラベンダーのアロマオイルを1kg作るとなれば、花穂が100〜200kg、ローズのアロマオイルであれば、花が3〜5t必要といわれます。
それだけ、貴重なオイルでもあるのです。
《アロマオイルの作用とは》
では、なぜアロマオイルが不眠に効くといわれているのでしょうか?
これには、アロマオイルの持つ作用が関係しています。
アロマオイルの香りを嗅いだ時、私たちの脳に、主に2つの作用をもたらすと考えられています。
①大脳辺縁系への働き
本能に基づく行動や情緒行動を支配している大脳辺縁系は、嗅脳とも呼ばれており、香りがダイレクトに大脳辺縁系に作用します。
そのため、神経を鎮静化させるような香りを持つアロマオイルを嗅ぐと、大脳辺縁系の情動中枢が鎮静化され、眠りにつきやすくなります。
②視床下部の自律神経への働き
香りが大脳辺縁系に到達した後、次に視床下部へと伝達されます。
この視床下部は、「自律神経の最高中枢」ともいわれており、香りを嗅ぐと、交感神経や副交感神経が活性化させられます。
そのため、鎮静作用のあるアロマオイルを嗅ぐと、副交感神経が活性化され、良質な睡眠を得られやすくなります。
このように、アロマオイルの香りは脳に直接働きかけ、眠りやすくしたり、質のよい睡眠を得られやすくしたりという効果があるのです。
では、どのようなアロマオイルが睡眠に効果的なのでしょうか?
次項では、香りの系統別に、おすすめのアロマオイルをご紹介していきましょう。
ぐっすり眠りたい時の、おすすめのフローラル系アロマオイルは?
まずは、甘くて華やかなイメージのある、フローラル系のアロマオイルについてご紹介していきます。
①ラベンダー
他のアロマオイルともブレンドしやすく、よく利用されています。
古代ローマでは、傷の手当をする際にも使われていたともいわれており、古くから親しまれてきた香りの1つです。
【効能】
・自律神経のバランスを整えてくれる作用があり、ストレスや不安な心を癒し、リラックスさせてくれる
・交換神経を鎮静化させ、副交感神経を活発化させる作用があり、睡眠を促す効果がある
・痛みを和らげてくれる鎮痛効果もあり、頭痛や筋肉痛などを緩和してくれる効果がある
・通経作用があるので、生理不順にも効果的である
【注意点】
・通経作用があり、子宮の中のものを押し出す働きがあるので、特に妊娠初期の方はトリートメントには使用しない方がよい
②カモミール・ローマン
キク科の多年草で、林檎のようなほのかに甘く優しい香りが特徴的です。
古代エジプトでは治療薬としても用いられており、長い歴史を持つ香りでもあります。
また、このカモミール・ローマンは、心身に穏やかに作用するため、子どもにも安心して利用できるおすすめのオイルです。
【効能】
・中枢神経を鎮静化させ、感覚を麻痺させる作用があるため、大きなショックや悲しみにも有効的である
・神経をリラックスさせてくれるため、不眠にも効果的である
・頭痛などの痛み全般を和らげる鎮痛効果がある
【注意点】
・香りや作用が強いので、高濃度では使用しないようにする
・鎮静作用が高いため、睡眠剤や鎮静剤などと併用しない
③ネロリ
ビターオレンジの花から採取されるもので、わずかな量しかとれないため希少価値が高く、高級化粧品や香水の原料としても使われています。
中国では、古くから、入浴時に芳香剤として使われていたものでもあります。
【効能】
・「天然の精神安定剤」といわれるほど、不安やうつ状態を和らげてくれるなどリラックス効果が高い
・自律神経のバランスを調節してくれるため、自律神経の乱れから眠れなくなっている人への安眠効果が高い
【注意点】
・リラックス効果が高いので、集中力を要する行為の前には使用しないほうがよい
・香りが強いので、量には気をつける
快適な睡眠におすすめの、柑橘系アロマオイルは?
つづいては、柑橘系の爽やかな香りの柑橘系アロマオイルです。
睡眠を促してくれるものには、どんなものがあるのでしょうか?
①オレンジスイート
数あるアロマオイルの中でも高い人気を誇るのが、このオレンジ・スイートです。
オレンジの果実の、みずみずしくて甘酸っぱい香りは、子どもから大人まであらゆる年代の方におすすめです。
【効能】
・リフレッシュやリラックス効果が高いとされ、不安や緊張を和らげ、前向きな気持ちにしてくれる
・リラックス効果の高さから、安眠を促してくれる作用が高い
・胃腸を整える作用もあることから、胃腸トラブルに効果的である
・唾液分泌促進や血行促進作用があるため、食欲を増進する効果がある
・血行促進作用と抗炎症作用があるため、風邪のひき始め時に効果的とされる
【注意点】
・光毒性(オイルを肌につけた後に日光に当たると、色素沈着や炎症反応が出ること)を示すことがまれにあるため、塗布後は紫外線に注意する
・敏感肌の方は、皮膚への刺激を避けるため、濃度を薄くしてから利用する方がよい
②マンダリン
フルーティーで、甘い香りがとても芳しい特徴があります。
アロマオイルの中でも、特に作用が穏やかということで、小さな子どもにも利用できるおすすめのオイルです。
【効能】
・交感神経を鎮静化する作用があるため、寝付きが悪い時に効果的である
・鎮静作用があることから、精神疲労やストレスを軽減してくれる
・消化促進や整腸作用もあり、胃腸のトラブルの緩和に役立つ
・血流をよくする作用もあるので、高血圧の改善や冷えの軽減などにも効果的である
【注意点】
・オイルの70%を占める「リモネン」という成分が酸化し、皮膚を傷つける恐れがあるため、使用量には注意する
・光毒性は弱いが、念のため、皮膚に塗布後は日光に当たらないようにした方がよい
熟睡に効果的な、おすすめの樹木系アロマオイルは?
続いては、植物の枝や葉から抽出される、樹木系のアロマオイルです。
樹木系のオイルは、その植物が持つ甘い香りの中にも、爽やかさを感じることができます。
では、どういったおすすめのアロマオイルがあるのか見ていきましょう。
①プチグレン
ビターオレンジの木と葉から抽出されるアロマオイルです。
オレンジのフローラルな香りの中に、ウッディーな香りが混ざった、爽やかな香りが特徴的です。
【効能】
・鎮静作用があるため、プレッシャーや不安からパニックになった時に、心を鎮めてくれる
・中枢神経の抑制作用があるため、不眠にも効果的である
・体の循環を助けてくれる作用があり、マッサージに用いると、リンパ液の流れをスムーズにしてくれる
・免疫機能を強化してくれる働きがあるので、アレルギー性の咳や喘息にも効果的である
【注意点】
・鎮静作用が高いため、集中力を要することの前には使用しない
②マートル
日本名では「ギンバイカ」とも呼ばれている、フトモモ科の植物から作られたアロマオイルです。
葉や枝から抽出されており、シャープな香りの中にも甘さも感じられる特徴的な香りを持っています。
【効能】
・森林浴効果が高い「α-ピネン」を多く含んでいるため、イライラや怒りを鎮めてくれる鎮静作用が高い
・心を落ち着かせてくれる香りのため、質のよい睡眠にも効果的である
・去痰作用があるので、鼻づまりなど呼吸器系のトラブルにも効果を発揮する
・免疫力向上や、抗菌・抗ウイルス作用もあるため、感染症全般にも効果的である
【注意点】
・妊娠中や授乳中は、使用を控えた方がよい
睡眠時に効果的な、おすすめハーブ系アロマオイルは?
最後にご紹介するのが、ハーブの花や葉から抽出される、ハーブ系アロマオイルです。
爽やかですっきりとした香りを持つものが多く、呼吸器系への作用が多いのも特徴です。
では、快適な睡眠に効果的な、おすすめのハーブ系アロマオイルを見ていきましょう。
①クラリセージ
目の疾患に効くことから、古くから利用されてきました。
マスカットワインの風味づけにも用いられてきたことから、「マスカットセージ」ともいわれています。
ほんのりとスパイシーな香りが特徴的です。
【効能】
・女性ホルモンの働きに似た「スクラレオール」という成分が含まれるため、ホルモンバランスを整えたり、月経痛など女性特有の痛みの緩和にも役立つ
・鎮静作用と気分を高揚させる作用の両方を併せ持つため、落ち込んでいる時やパニック時に気分を落ち着かせ、多幸感をもたらす
・中枢神経の抑制作用があるため、不眠にも効果的といわれる
・血圧降下作用もあるので、高血圧や動悸にも有効である
【注意点】
・女性ホルモンと同じような働きをするため、妊娠中は使用しない方がよい
・人を陶酔させる作用があるため、飲酒前後に使用すると悪酔いする可能性があるため、控えた方がよい
・自律神経を整え、睡眠を促す効果があるため、車の運転などがある時は使用を控える方がよい
②マジョラム・スイート
料理用のハーブとしても、薬草としても愛用されています。
ギリシアでは、幸福の象徴として愛されているハーブでもあります。
甘くて温かみのある、ハーブ調の香りが素晴らしいアロマオイルです。
【効能】
・自律神経を調整する作用があるため、食欲不振や不眠の改善に効果的である
・自律神経への作用により、大きな不安やストレスなどを感じた時に心を楽にしてくれる働きもある
・血行を促したり、体温を調節する作用もあるため、冷え性やむくみにも効き目がある
【注意点】
・女性ホルモンへの影響も考えられるため、妊娠中は使用しない
・眠気を起こすこともあるため、車の運転がある時は使用を控える
睡眠時のアロマの使い方とは?
質の良い睡眠をとるのに効果的なアロマオイルをご紹介してきましたが、使ったことがないという方や、アロマポットに入れるという使い方しか知らない、という方が多いのではないでしょうか。
では、まずはアロマオイルを使うにあたっての注意点を見ていきましょう。
①高濃度のエキスであるため、アロマオイルをじかに触らないようにし、万が一肌に触れた時は、水で洗い流す
②アロマオイルは、直射日光が当たるところや、高温多湿のところに置かず、冷暗所で保存する
③アロマオイルの入った瓶は、横にせず、立てて保管する
④アロマオイルを肌に塗る時は、植物オイルなどで薄めてから使う
それでは、注意点が分かったところで、質のよい睡眠をとるための、使い方を見ていきましょう。
《ティッシュに染み込ませて枕元に置く》
アロマオイル専用の器具がなくてもできるのが、この方法です。
眠りにつく前に、ティッシュにお好みのアロマオイルを2〜3滴垂らして、枕元に置いておくだけです。
部屋全体に芳しい香りが漂い、よい気分でお布団に入ることができます。
《お湯に数滴垂らして、枕元に置く》
上記のティッシュにアロマオイルを含ませる方法よりも、もっと香りを楽しみたい方にはこの方法がおすすめです。
マグカップに熱めのお湯(80度以上)を入れ、そこにアロマオイルを数滴垂らして枕元に置けば、熱が加わることにより、さらに香りが拡散します。
ただ、やけどをしては危ないので、くれぐれもカップを倒さないように気をつけて下さい。
《アロマバスにして楽しむ》
アロマオイルを使えば、何気ないお風呂の時間も、貴重なリラックスタイムに早変わりです。
ただし、アロマオイルは水に溶けないので、天然塩や重曹、植物オイルなどに混ぜてから湯船に入れて下さい。
また、アロマオイルを混ぜたバスボムを作るのもおすすめです。
それでは、作り方を見ていきましょう。
【材料】
重曹:大さじ2
クエン酸:大さじ1
アロマオイル:3〜5滴
これらの材料を混ぜ合わせて、湯船に入れてみましょう。
炭酸ガスも発生し、体の疲れも癒すことができます。
《アロマハンドクリームを作る》
無香料のハンドクリームにアロマオイルを混ぜるのもおすすめです。
クリーム小さじ1に対し、アロマオイル1滴で十分です。
ハンドクリームを手に塗ってからお布団に入り、さらに手で顔を覆いながら香りを吸い込めば、肌のお手入れと同時にリラックス効果も得られます。
このように、寝る時だけでなく、アロマオイルを楽しめる場面はいくつかあります。
自分に合った方法で、アロマオイルの素晴らしい香りを楽しむのもいいですね。
自分に合ったアロマオイルで、快適な睡眠を!
睡眠に効果的な、おすすめのアロマオイルや、その使用方法などをご紹介してきましたが、いかがでしたか?
自律神経を整えてくれるものや、イライラを抑えてくれる鎮静作用があるものなど、いろいろな作用があるアロマオイルがたくさんありました。
「なかなか眠れなくて、体がきつい!」、「不眠を解消したい!」とお悩みの方は、ぜひ1度試されてはいかがでしょうか?
アロマオイルの芳しい香りで、ぐっすりと眠れる日がくるかもしれませんよ。