高齢者の方は、なかなか思うように動けないことが多いです。
筋肉量や骨密度、視力の低下などが原因で、ひとつひとつの動作に時間がかかってしまうためです。
ベッドからの起き上がりも、実は大変な動作で、少しでも楽に起き上がりたいと思っている高齢者の方は多いはずです。
今回は、高齢者の方が起き上がりやすいベッドの選び方や、リクライニングベッドのご紹介をします。
高齢者にとってのベッドのメリット、デメリット
ベッドは、上体を起き上がらせた後に、椅子に腰掛けたような体勢になれるのがメリットです。
椅子に腰掛けた状態は、大腿二頭筋、半腱様筋などの腿の裏側全体を使って、広い面積に体重をかけられるので、楽な体勢で座ることができます。
また、その体勢からなら、立ち上がる時も比較的楽です。
腿の大きな筋肉を使って立ち上がったり、両腕で自分の体を支えながら立ち上がったりできるからです。
足が丈夫な高齢者の場合は、少し前屈みにした状態から、軽く勢いを付けて立ち上がると、さらに小さな筋力で立ち上がれます。
次に、デメリットについてです。
やはり、ベッドと言ったら場所を取ることがもっとも大きなデメリットです。
大きなベッドになればなるほど、場所を取り、折りたたんだり、収納することができません。
そして、お布団がずれ落ちた場合も、取ることは困難です。
ただ、これらのメリットとデメリットの観点から、高齢者が使用する寝具としては、ベッドのメリットの方が大きいのではないでしょうか。
そして、足腰が弱い高齢者が使うのであれば、起き上がりの際に柵を使ってサポートできるような設計のベッドをおすすめします。
高齢者が起き上がりやすいベッドの高さとは?
高齢者が使用するベッドに高さがあると、起き上がりの際にふらつきやめまいを起こしたり、ベッドから降りる時に転倒する危険性があるので、あまり好ましくありません。
介護ベッドにはいろいろな種類があり、マットを除いた床からの高さが、25cm前後のものから100cm以上のものまでと幅広いです。
しかし、高齢者のベッドは、使う本人が快適に使えるものでなければ意味がありません。
ベッドの高さ選びは非常に大事なことで、使いやすいか、そうでないかによって、寝たきりになるかならないかの分かれ道にもなります。
特に、多少介護が必要な方の場合は、本人が立ち上がりやすく、動作がしやすいものである必要があります。
そうすることによって、日常生活に使う必要な筋力がつきやすく、怪我の防止にもなるからです。
使いづらいベッドを使用し、ベッドから起き上がらずにいると、できる動作までできなくなってしまい、筋肉も落ちてしまいます。
ベッドは、介護やお手伝いをする側が便利な高さであってはいけないのです。
高齢者に理想的なベッドの高さは、座った時に、膝が90度に曲がる高さです。
つまり、低いベッドが理想的ということになります。
逆に、90度を下回ってしまうと、立ち上がりがとても大変になってしまうので、かえって良くありません。
高齢者の身長や体重に合ったベッドを選びましょう。
高齢者の起き上がりに最適なマット選びと理想的な幅
高さの次に、高齢者のベッド選びに重要なのが、マットの硬さです。
寝返りの回数が少ない高齢者にとっては、ベッドマットは柔らかい方が良いと考えられていますが、自立を目的とする場合は違います。
マットに体が沈まず、動きやすい硬めのベッドマットが理想です。
硬さの目安としては、ベッドマットの上を安心して歩ける硬さのものが良いでしょう。
柔らかいベッドマットは、安静時には向いていますが、体が沈むため、楽な起き上がりを考えた時には決して良いとは言えません。
硬いベッドマットの方が、体が沈まない分、起き上がりの動作がスムーズにできます。
また、マットは硬さだけではなく、幅選びも重要になります。
十分な幅がない場合は、寝返りをうった時に「ベッドから落ちるのではないか」と不安になる人も多いのです。
そのため、高齢者が使うのに理想的なベッドの幅は、100cm~120cmだと言われています。
高齢者が起き上がりやすいリクライニングベッド
高齢者用のベッドには、リクライニング機能が付いたものがあります。
起き上がりの動作を補助してくれるので高齢者に最適なベッドですが、リクライニングベッドには、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
○リクライニングベッドのメリット
リクライニングベッドの一番のメリットは、起き上がりが楽ということです。
起き上がりたい時に、いつでも起き上がれるのは最大のメリットになります。
リクライニングがあることで、視界も変わり気分転換ができたり、自立にも繋がります。
また、起立性低血圧の予防にもなります。
さらに、上体を起こすことで、読書ができるようになったり、テレビを楽に見られるようにもなり、精神的に良いこともたくさんあります。
そして、介護が必要な高齢者の場合は、介護をする側にもメリットがあります。
例えば、寝ている状態の高齢者をベッドから降ろしたり、車椅子に移動したりする場合には、リクライニング機能があることによって介助者の負担が軽減されます。
○リクライニングベッドのデメリット
リクライニングのデメリットは、サイズの大きさです。
電動で多機能のため、どうしても部屋の大半を占めてしまうからです。
通常のベッドと比べても非常に重いため、部屋の模様替えなどでの移動が大変です。
購入の際はキャスター付きのリクライニングベッドを選ぶようにした方が良いでしょう。
また、リクライニングベッドは、優れた機能が付いて使い勝手が良く、とても便利なのですが、その分とても高価です。
故障の際もそれなりにお金がかかり、修理に時間がかかってしまう場合もあります。
購入の際は、部屋のつくりや、移動のことも考えるようにしましょう。
高齢者がスムーズに起き上がれる人気のリクライニングベッド
ここでは、高齢者に人気のリクライニングベッドをご紹介します。
○折りたたみ電動ベッド ライフ-ART
電動で折りたたみができ、キャスターも付いているところが人気です。
上体が起きる背上げ機能、膝部分も上げることができる足上げ機能があり、手元のリモコンで操作ができます。
ベッドサイズは、幅100cm、長さ202cm、高さ42cm~87cm、耐荷重80kgです。
組み立てが必要ですが、ネットでの参考価格も25,000円以下と安いところが人気です。
○ヤフーショッピング 家具のリバップ 極厚マットレス電動リクライニングベッド
この商品は、マットレスが厚いため、寝心地が良いところに人気があります。
ベッドサイズは、幅91cm、長さ198cm、高さ45cm、耐荷重90kgです。
介護が必要な場合、幅が少し狭いのと、高さが45c以下にならないのがネックですが、厚いマットであることと、耐荷重が90kgまであるところが、日常生活を自分で行える高齢者の方には人気です。
ちなみに、ネットでの参考価格は26,000円程度です。
○クオラ 介護ベッド3モーター電動リクライニングベッド
このベッドの魅力は、3モーター付きというところです。
背上げは75度まで、足上げが30度まで、ベッドの高さ調節は25cm~60cmまで、リモコンで操作可能です。
また、マットレスも、通気性の良いマットレスと、厚めのマットレスの2種類から選ぶことができます。
リモコンも液晶パネル付きで表示されるので、目で見て理解しやすいのも安心ですね。
ネットでの参考価格は、170,000円程度と高くなります。
しかし、高さ調節が自分でできたり、75度までの背上げで起き上がりが楽になるのは、高齢者にとって大きな魅力です。
この他にも、リクライニングベッドはたくさんあるので、自分や家族に合うものを探してみると良いでしょう。
高齢者の生活ではベッドを置く位置も重要!
高齢者にとって、起き上がりやすいリクライニングベッドはとても便利ですが、ベッドを置く位置も重要なポイントです。
例えば、ベッドから降りた後、スムーズに動作ができるようにベッドをドアの近くに置いたり、起き上がりの際に気分転換ができるように、窓に面して置いたりすることなどです。
また、部屋が狭い場合は、ベッドの周辺に物を置かないように気を配る必要もあります。
その理由は、うっかり物につまずいて転倒し、怪我をしてしまう危険性があるからです。
高齢者は視力が弱い人も多いので、怪我の防止ため、ベッドの周辺は常にすっきりさせている方が良いでしょう。
また、トイレや洗面所、お風呂に近い部屋を高齢者の部屋に選ぶのも、大切なことです。
部屋から近いことで、高齢者自身も楽ですし、介護をする側にとってもお世話しやすいからです。
高齢者にとって、ベッドを置く位置は、ベッド選びと同様に大切なことですね。
周りの方は、高齢者が少しでも行動しやすいように配慮しましょう。
高齢者に優しいベッドを用意しよう!
今回は、高齢者の方がスムーズに起き上がれるベッドについてご紹介しました。
高齢者の場合、座った時に足の角度が90度になる高さのベッドを選ぶと立ち上がるのが楽です。
また、ベッドの幅は、寝返りが楽な100cm以上が理想的ですね。
そして、起き上がりを楽にするにはリクライニングベットがおすすめです。
家族に高齢者がいる方は、ぜひ、参考にしてみてくださいね。