日常生活で最も身近で最も使用するもの、それは蛍光灯です。
「蛍光灯」と言われてすぐ思い浮かぶものは、真っ直ぐな形をした直管蛍光灯だと思います。
その蛍光灯、実は種類があるのをご存知ですか?
グローと呼ばれる小さい点灯管を使うスターター形や、点灯管のないラピッド形のもの、よく似ているけど何が違うのでしょうか?
知っておきたいその種類や見分け方をご紹介していきます。
蛍光灯の歴史
普段の生活になくてはならない灯り。
その代表的とも言えるのが蛍光灯です。
蛍光灯は1926年(昭和元年)、ドイツの発明家エトムント・ゲルマーによって発明されました。
日本では1940年に販売が開始され、それから長い間に渡って、私たちの暮らしに欠かせないものとなっています。
蛍光灯とはガラス管の中に放電しやすくするためのアルゴンガスと、わずかな量の水銀が入っており、内側に蛍光体が塗ってあります。
電気を通すことによって、電子と原子を衝突させて光を出す仕組みになっています。
さて、一見同じように見える蛍光灯でも、グロースターター形、ラピッドスターター形と表示が違うものがあることをご存知でしょうか?
次の項目でその違いをはっきりさせましょう。
蛍光灯にあるラピッドやグローは何を表す?
蛍光灯のパッケージにはグロースターター形やラピッドスターター形と表記されていると思います。
これらは、単刀直入に言うと点灯方式のことです。
蛍光灯の仕組みとして、電極のフィラメントに電流を流し、高温になったエミッターから電子を放出させます。
このとき、同時に高電圧をかけることによって蛍光灯は光を放ちます。
この仕組みの違いが、それぞれ安定器と呼ばれる器具とランプの構造の違いとなり、点灯方式にも違いが出るのです。
現在日常で使われる蛍光灯の点灯方式は3つあります。
・スターター形(グロースターター形)
・ラピッドスターター形
・インバーター形(高周波点灯専用形)
ここで言う、スターター形は点灯管(グロースターター)を用いて点灯させる仕組みです。
それではそれぞれの点灯方式について、詳しくご紹介しましょう。
グローとは
先程も少しご説明しましたが、スターター形とは、グロースターターと呼ばれる点灯管を用いて点灯する方法です。
蛍光灯の横に小さな豆電球のようなものがついているのを見たことがありますか?
その豆電球のようなもの、それがグローと呼ばれる点灯管です。
ラピッド形とは違い、コストがあまりかからず、安定器も小さく済むので一般家庭に非常によく使われている形です。
蛍光灯のスイッチを入れると一旦グローランプに電流を流すため、明かりがつくまで少し時間がかかります。
また、点灯時のチラつきも多いのが特徴です。
グロースターターの名の通り、使用にはグローランプが必要です。
グローランプには種類があって、グローランプではなく電子点灯管にすると、蛍光灯自体の寿命が延びます。
・グローランプ 6000~12000回
・電子点灯管 60000~120000回
価格は、電子点灯管がグローランプのおよそ5倍ほどとかかりますが、蛍光灯の寿命が10倍も延びることを考えると、電子点灯管を使用したほうが交換の手間も少なく済みます。
また、パッケージに「スターター」の表示のあるものがグロースターター形用の蛍光灯です。
他にも、蛍光管の表示に「FL」と表示されます。
昔ながらの蛍光灯、丸型の蛍光灯の器具もグロースターター形が使われています。
ラピッドとは
ラピッド形、ラピッドスターター形とも呼ばれ、スイッチを入れると即座に点灯するように設計された蛍光灯のことです。
すぐ点灯することから「Rapid」、早いという意味の名前が付けられました。
グローランプや電子点灯管を必要としない、蛍光灯のみで使用することができます。
即座に点灯する設計のため、安定器がグロースターター形に比べ、大きくて重たいのが特徴です。
電流が流れると即座に点灯するため、ビルや駅、学校など公共施設で多く使われています。
グロースターター形に比べると、蛍光灯の寿命がやや短いと言われています。
また、ラピッドスターター形はグロースターター形に比べ、蛍光灯のチラつきが少ないです。
ラピッドスターター形で蛍光灯がチラつく場合は、安定器に不具合が生じている可能性があります。
その場合、専門の業者に修理を依頼しましょう。
また、購入の際にはパッケージに「ラピッドスタート」もしくは「ラピッドスターター」と書かれているものを購入しましょう。
パッケージの他に、蛍光管に「FLR」の表示があるものもラピッドスターター形の蛍光灯です。
グロースターター形の蛍光灯と比べ、やや値段が高いです。
また、ラピッドスターター形の蛍光灯は、直管形蛍光灯がほとんどです。
丸形の蛍光灯にラピッドスターター形はありませんので、購入する際は注意してください。
ラピッドでもグローでもない「インバータ」とは
これまで蛍光灯にはグロースターター形、それより点灯の早いラピッドスターター形とご紹介してきましたが、最も新しい点灯方法、それがインバーター形という点灯方式もあります。
これまでの2つと違い、電子回路で構成されているため、安定器が軽く作られるのが特徴です。
また、蛍光灯のチラつきもなく、ワット数あたりの明るさもグロースターター形、ラピッドスターター形に比べ、高いとも言われています。
ただし、専用の器具の値段が高いです。
それでも、グロースターター形やラピッドスターター形に比べ、2~3割ほど電気代が節約できるので、省エネとしてインバーター形の蛍光灯を導入する所も増えてきています。
このインバーター形で使用する蛍光灯は、「FHF」の表示のあるものです。
また、最大の特徴としては、グロースターター形、ラピッドスターター形ともに専用の蛍光灯を使用しなければならなかったのですが、インバーター形にはランプフリーという種類があることです。
その器具であればグロースターター形(FL)、ラピッドスターター形(FLR)どちらのタイプの蛍光灯も使用できます。
ラピッドスターター形とグロースターター形、同じ蛍光灯を使ってもいいのか
「蛍光灯」は、どれも同じように見えますが、グロースターター形とラピッドスターター形では違うものです。
実際には、グロースターター形の器具にラピッドスターター形の蛍光灯を使用することはできますが、注意しなければいけない点があります。
それは、ラピッドスターター形の省エネ管は使ってはいけないということです。
なぜなら、構造の違いから安定器に過剰に電流が流れることで、故障をしてしまいます。
省エネタイプの蛍光管でなくても、安定器に流れる電流が異常だと早く故障する原因となります。
使用する器具に合わない蛍光灯を取り付けた場合、たとえ点灯したとしても本来の使用回数や寿命ほど長く使用できない可能性があります。
蛍光灯は便利な道具ですよね。
長く安全に使うためにはやはりグロースターター形にはグロースターター用の蛍光灯(FL)を、ラピッドスターター形にはラピッドスターター用の蛍光灯(FLR)を使用するべきと言えるでしょう。
暮らしに役立つ蛍光灯
いかがでしたか?
普段何気なく使用している蛍光灯にも種類があり、その違いも分かりました。
昔ながらのグロースターター形も、すぐ点灯するラピッドスターター形も、それぞれ蛍光灯が違います。
蛍光灯が切れたとき、なんとなく取り換えるのではなく、きちんとその器具にあった蛍光灯を選びましょう。
毎日使う身近なものだからこそ、長く、安心で安全に使っていきたいですね。