蛍光灯のスイッチを入れて、点滅しないですぐに明るくなったら、それはグロー球なしの蛍光灯かもしれません。
家庭用のインバーター方式の蛍光灯には、グロー球はありません。
このタイプにはいろいろなメリットがあります。
それでは、グロー球なしの蛍光灯について、その仕組みやメリットについてご紹介しましょう。
グロー球なしの蛍光灯?便利だけど買い替えは微妙
最近はLEDを使った電灯やシーリングライトを見かけるようになりましたが、まだまだ蛍光灯は使われています。
蛍光灯と言えば、スイッチを押して、小さな灯りが点滅してから光るもの、という印象があるのではないでしょうか。
これは、蛍光灯の点灯時にグロー球が働いているためです。
しかし、蛍光灯の中には、LEDではないもので、スイッチを押すとすぐに明るく点灯するタイプもあります。
このタイプは、壁のスイッチを押すと蛍光灯特有の点滅なしにすぐに付きます。
さらに、リモコンで明るさを変えられたりもします。
こういった蛍光灯はちらつきが少なく、同じワット数でも明るくなるので、省エネにも効果があるのです。
ただし、最近はLEDのシーリングライトも安くなってきました。
LEDはその省エネ性能と耐久性から、白熱電球からの置き換えが進んでいます。
蛍光灯を使ったシーリングライトは、そのうち生産されなくなるかもしれません。
ですから、蛍光灯を新しくするときに、LEDと迷ったら、LEDの方が便利だと言うことは大前提です。
それを踏まえて、グロー球なしの蛍光灯がどういうものなのか、知っていただけたら、と思います。
グロー球なしの蛍光灯のメリット
蛍光灯が光る原理は、管の中に封じ込められた水銀の原子に電子が衝突して紫外線が発生し、それによって管の表面に塗られた蛍光物質が光るのです。
そのため、蛍光管の両端に電極が付いており、光っている間は、そこから電子が放出されています。
しかし、管の両端の電極から電子が放出されるためには、その電極が十分に熱くなっていなければなりません。
そこで、スイッチを入れてすぐの短い時間で、電極を熱するのにグロー球が役立つわけです。
そして、グロー球なしの蛍光灯に関しては、インバーター方式とも呼ばれており、家庭用の電気を高周波に変えて、瞬時に電子を放出できるようにした蛍光灯です。
半導体を使って高周波の電気に変えているので、グロー球を交換する必要はありません。
さらに、スイッチを入れた直後の蛍光灯特有の点滅がありません。
また、インバーター方式は高周波で効率よく電子を放出しているので、蛍光灯特有のちらつきがなく、同じワット数でも明るいという特徴があります。
そして、電子を放出する周波数を調整することで、明るさも調整可能です。
リモコンで明るさを変えられるシーリングライトは、この仕組みを利用しているのです。
蛍光灯は、LEDには及びませんが、とても効率のいい電灯です。
まだまだ、現役で使える技術です。
点滅しないグロー球なしとありの蛍光灯をもっと詳しく!
先ほども書きましたが、グロー球のある蛍光灯はスイッチを入れて電極が熱くなり、電子が放出されるまでの間は、点滅します。
さらに、家庭用の電気の周波数での周期で電子を放出します。
また、電気の周波数は、50hzまたは60Hzですので、決して高い周波数とはいえません。
そのため、感覚の鋭い方なら通常の状態でも蛍光灯が点滅しているように感じることもあります。
それがちらつきの原因となるのです。
その点、インバーター方式に代表されるグロー球なしの蛍光灯では、数KHzという高周波の電気に変換して電子を放出させています。
この周波数なら点滅を感じることはありません。
そのため、グロー球なしの蛍光灯を使うと、ちらつきを感じなくなるのです。
さらに、明るさも変えられるのはどういうことなのかというと、オンとオフのタイミングを広げたり縮めたりして放出する電子の量をコントロールしているのです。
グロー球のある蛍光灯では、2本の蛍光管のうち1本を消すことで明るさをおおざっぱに調整できますが、インバーター方式では1本の蛍光管で10段階に明るさを切り替える、といったことも可能ですよ。
業務用の蛍光灯にはグロー球なしが多い
実は、事務所や工場などで使われている、1m以上もある長い蛍光灯などは、グロー球なしの蛍光灯がほとんどです。
スイッチを入れると、短い時間で点灯するラピッドスタート方式が主に使われていることも多いですね。
ラピッドスタート方式では、大型の安定器に蛍光灯を早く点灯する装置を組み込んでいます。
これにより、スイッチを入れたら点滅することなく、短時間で点灯するのです。
家庭用の蛍光灯は、それぞれに小型の安定器が付いています。
安定器は、蛍光灯にはなくてはならない部品です。
しかし、事務所や工場などの、広い部屋に使われ、何台もの蛍光灯をまとめて管理する必要がある場合、大型の安定器を設置しないと管理が大変になります。
そのため、業務用の長い蛍光灯には大型の安定器が必要なのです。
ただし、このような大型の安定器でラピッドスタート方式のものは、メンテナンスが欠かせないことから、家庭用には使われません。
事務所や工場の蛍光灯は、家庭用とは別の仕組みで早く点灯するのですね。
グロー球なしなのに点滅し始める理由
蛍光灯に使われる蛍光管の寿命は、6,000時間から12,000時間もあり、一般的には1年以上は使えます。
しかし、家電製品には必ず寿命があります。
使っているうちに、部品が少しづつ劣化していき、いつかは故障してしまうのが普通なのです。
もちろん、蛍光灯の本体にも寿命があります。
特に、主要部品である安定器が壊れてしまうと、蛍光管の寿命でなくても点滅を繰り返したり、点灯しなくなります。
安定器は、グロー球ありの蛍光灯とグロー球なしの蛍光灯の両方に使われているのです。
さらに、回路を組み込んだインバーター方式では、安定器が壊れる可能性に加えて、回路が故障する可能性もあります。
蛍光灯は、電極を熱して電子を発生させています。
そのため、光っている蛍光灯は、かなり熱くなっているのです。
もし、埃が溜まっていたりすると冷却が不十分となり、装置の寿命を縮めてしまいます。
ですから、1年に1回くらいは、丁寧にほこりを払っておくのが蛍光灯を長持ちさせるコツです。
点滅し始めた蛍光灯は修理可能
グロー球なしの蛍光灯で、蛍光管が新品なのに点滅しだしたり点灯しなくなった場合でも、修理して直る可能性があります。
しかし、メーカーでは生産中止からある程度経つと、部品が無いことから修理を受付しないこともあります。
古い蛍光灯では、修理を受け付けてもらえないかもしれない可能性があることを念頭において、家電量販店などに相談してみてください。
なお、グロー球なしのインバーター方式の蛍光灯なら、古くて部品がないと言われても、それに使われている電子回路を修理できるかもしれません。
インバーター方式の蛍光灯には、コンデンサーという部品がいくつも使われています。
このコンデンサーは一般的に熱に弱く、さらに経年劣化しやすい部品です。
もし、電子回路の専門知識がある方なら壊れた部品を特定し、それを交換することで治る可能性があります。
お気に入りの古いインバーター方式の蛍光灯が壊れて、「もう修理できない」と断られても、他の業者を探してみると修理してくれる人が見つかることもありますよ。
点滅しない蛍光灯は、まだまだ現役の技術
LEDを使った灯りが普及して、従来蛍光灯が使われていた場所も、どんどん置き換えられていますね。
とはいえ、丸1日蛍光灯が付きっぱなしになるような使用頻度の高い場所でなければ、蛍光灯でも問題はありません。
家庭用なら蛍光灯はまだまだ現役で使える、効率のいい仕組みになっているのです。
特に、点滅しないグロー球なしのインバーター方式の蛍光灯は、グロー球を使う方式よりも明るく、省エネにも効果があります。
もし、家の蛍光灯がグロー球なしのタイプなら、定期的に掃除して、ぜひ、長く使い続けてください。