仕事から帰って真っ暗な部屋の電気をつけると…蛍光灯がチカチカ。
誰しもそんな経験が1度や2度はあると思います。
急いで新しい蛍光灯を買ってきて交換しても、やっぱりチカチカが止まらない…
もしかして故障?
いいえ、故障ではありません。
蛍光灯が点滅する原因はなにも寿命だけではありません。
その原因を知って、気になるチカチカを解決しましょう!
蛍光灯にも種類がある
蛍光灯が点滅する原因を考える前に、まずは蛍光灯の種類についてみてみましょう。
ひとくちに蛍光灯といっても、その点灯方式によって「スタータ型」「ラピッドスタート型」「インバータ型」3種類に分けられます。
①スタータ型
豆電球に似た形のグローランプを使用するタイプです。
スイッチを入れてから点灯まで少し時間がかかること、若干ちらつきが出やすいことがデメリットですが、簡素な設計で価格が安いため、一般家庭では多く使われています。
②ラピッドスタート型
グローランプが不要なタイプです。
蛍光灯はラピッドスタート型専用のランプを使用します。
ラピッド=rapid(速い)、とついているようにスイッチを入れるとすぐに点灯するよう設計されています。
以前は一般に多く普及していましたが、現在では省エネのインバータ型が主流となっています。
③インバータ型
最近はこのインバータ型が主流となっています。
インバータ型は高周波点灯専用型ともいわれ、高周波を使って作動させるタイプです。
そのため、ちらつきも少なく、電力(ワット数)あたりの明るさが高いのが特徴です。
また、調光可能な器具であれば明るさを自在にコントロールして、省エネもできるという高機能になっています。
蛍光灯が点滅する原因① 蛍光管の寿命
チカチカと点滅する蛍光灯の原因で、いちばん多いのが蛍光管の寿命です。
蛍光灯は白熱電球と比べて寿命が長いといわれていますが、具体的に考えてみましょう。
器具の種類によって寿命に違いはありますが、業務用に比べて家庭用の蛍光灯は少し短めに設定されています。
一般家庭でよく使用されるサークル型の蛍光灯で6000~8000時間程度、キッチンでよく使用される直管蛍光灯で3000時間~6000時間程度とされています。
1日に7~8時間点灯したとして、寿命は2~3年といったところでしょうか。
ちなみに、業務用としてよく使用されるHf蛍光管だと12000時間程度の寿命とされています。
業務用は毎日長時間点灯させる必要があるため、家庭用より寿命が長くなっているのです。
さらに、一般家庭では明かりをつけたり消したりすることが多いですね。
この点灯と消灯を繰り返すことが蛍光灯の寿命を短くするともいわれています。
また、蛍光灯の口金あたりが黒くなっているのを見たことはありませんか。
「アノードスポット」とよばれ、蛍光灯の寿命が近づいた証拠です。
この「アノードスポット」が出てきたり、部屋がだんだん暗くなってきたなと感じたら蛍光灯の替え時と考えてください。
蛍光灯が点滅する原因② 点灯管の寿命
新しい蛍光灯に交換したのにやっぱり点滅する、そんな時は点灯管が原因かもしれません。
点灯管とは聞きなれない言葉ですが、必ず実物を目にしたことがあると思います。
グローランプともよばれ、豆電球のような形状をしています。
この小さな豆電球は何だろうと思っていた方も多いと思いますが、蛍光灯をつけるために必要不可欠なものです。
蛍光灯は、点灯する際に高電圧によって放電を促すという仕組みを利用しています。
その放電のきっかけをつくるのが、点灯管の役割なのです。
つまり、点灯管が働かなければ、蛍光灯が点灯しないという設計になっています。
最近は電子点灯管も販売されており、通常の点灯管よりも長持ちするうえに、スイッチを入れればすぐに点灯するというメリットがあります。
一般的な点灯管よりも5倍程度値段が高いことが難点ですが、寿命の長さを考えると結果的にはコスト削減に繋がるのではないでしょうか。
点灯管も蛍光灯と同様、定期的に交換することが理想です。
チカチカと点滅がはじまったり、光が弱くなってきたなと感じたら点灯管も交換しましょう。
蛍光灯が点滅する原因③ 安定器や照明器具の寿命
蛍光灯も点灯管も交換したのに点滅する場合、安定器や照明器具が原因と考えられます。
安定器とは、蛍光灯の点灯を安定させるために必要な装置のことです。
この安定器が劣化も、蛍光灯がチカチカする原因となります。
また、普段の生活であまり意識することはありませんが、照明器具にも寿命があります。
耐用年数は8年~10年といわれ、10年を過ぎた照明器具は、外観からは分かりませんが劣化が進んでいます。
これまでも、機器内部でショートが起こって発煙したり、コイルの異常発熱によって断線がおきたり、コンデンサの破裂などいろいろな事故が報告されています。
安定器や照明器具内部が故障してしまったときは、素人では対応できません。
部品によっては一部を交換するだけで済むこともありますが、機器全体を取り換えるケースも出てきます。
機器全体を取り換える場合、現在の蛍光灯がスタータ型やラピッドスタート型であれば、ぜひインバータ型への交換を検討してみましょう。
インバーター式は、他の方式よりも明るく、照明器具の数を減らすこともできます。
器具によっては明るさ調整が可能で省エネ、節約にもつながります。
安全に使うためにも日頃から点検して、10年を目安に交換するようにしましょう。
電気代にも影響する!?点滅したら早めに交換
蛍光灯が点滅する原因についていろいろなパターンをみてきました。
原因が分かっても面倒だなあと感じていませんか。
なかには「チカチカ点滅するけど何とか使えているし…」と、ほったらかしにしている人もいるのではないでしょうか。
でも、それは「百害あって一利なし」ですよ。
まず目に悪い、そして人によっては気分が悪くなったり、頭痛や肩こりがひどくなったり、よく眠れなくなることもあるようです。
そして、何より電気代が余分に発生します。
蛍光灯は、最初に点灯するときに一番多く電気を消費するように設計されています。
つまり、点滅は点灯と消灯を繰り返していることになり、通常の何倍も電気を使用していることになります。
それだけではなく、点灯するときに大きな電圧がかかるため、点滅のたびに点灯管や照明器具にも大きな負担がかかります。
この負担で他の器具の寿命が短くなることもあり、結果的に無駄なコストがかかってしまいます。
面倒がらずにチカチカしたらすぐに原因を突き止めて解決しましょう。
日頃から蛍光灯や点灯管のストックを用意しておくとよいでしょう。
また、照明器具の耐用年数を把握しておく、日常的に点検をしておかしな点があったら耐用年数にかかわらず交換する、なども気をつけたいものです。
LEDならお金も手間も節約できる?
点滅する原因が蛍光灯の寿命だった場合に、ちょうどよい機会だしLEDに変えてみようかなと考える方も多いと思います。
確かにLEDは蛍光灯よりも明るいし、明るさを調節できるものもあるし、そして長寿命で「すぐにチカチカして交換」から解放されます。
ですが、ちょっと待ってください。
単純にランプを交換すればよいというものではありません。
本来、蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに交換する場合、ちょっとした工事が必要です。
LEDランプでは安定器や点灯管は不要です。
そのため、蛍光灯から交換する場合は安定器や点灯管を取り外し、LED用に降圧装置を取り付けなければいけません。
その作業は専門の電気工事士のみ行うことができます。
現在は、そのような工事なしでも使える蛍光灯型LEDランプが販売されています。
安定器からの電力供給で使えるようになっており、動作しないダミーの点灯管が使われています。
しかし、工事なしに使えるといっても交換前に確認すべき点がたくさんあります。
蛍光灯には「スタータ型」「ラピッドスタート型」「インバータ型」と3種類の方式があります。
LEDランプのサイズ以外にも、蛍光灯器具がどのタイプにあたるのかを確認し、器具に合ったLEDランプを購入する必要があります。
自分で調べても分からない場合は、専門店などで相談してください。
不明なまま自己判断で取り付けると、大事故になる可能性もあります。
必ず適合するタイプのものを購入するようにしましょう。
チカチカは百害あって一利なし!点滅したらすぐ交換!
前触れもなくはじまる蛍光灯のチカチカ。
放っておくと電気代がかかりますよ!
交換をついつい先延ばしにしていませんか。
健康にも悪いし、お財布にも優しくないし、電気を使って地球にも優しくありません。
蛍光灯を交換してもだめなら点灯管をチェック。
点灯管を交換してもだめなら安定器や照明器具をチェック。
チカチカしたらすぐ交換!
日頃から蛍光灯や点灯管のストックを準備しておいたり、照明器具の耐用年数をチェックしておくことが大切です。