小さい子供は大人に比べ、悪夢を見やすいとされています。
子供が悪夢を見やすい原因のひとつとして、レム睡眠の時間が多いことがあげられます。
また、子供は感受性が豊かなので、怖いテレビシーンを見るだけでも怖い夢を見たりします。
ここでは、子供に生じやすい睡眠障害について説明していきます。
子供が怖い夢を見る!悪夢障害とは??
悪夢障害という、子供を中心とした睡眠障害を御存知ですか。
その名の通り、怖い夢を見ることで何度も飛び起きたり、夢を見ることを恐れてなかなか眠れなくなってしまう症状のことを指しています。
似たようなものに「夜驚症」がありますが、悪夢障害の場合はどんな夢を見たのかをはっきりと記憶しています。
また夜驚症は寝てからそんなに時間が経たないうちに現れ、悪夢障害はある程度深い眠りについてから発症します。
この原因はストレスだと言われています。多感な子供は周囲からの影響を受けやすいので、些細なことから悪夢に繋がります。それこそ先生に叱られた、友達と喧嘩をしたなどの「嫌なこと」はもちろん、テレビで怖い番組を観ただけでも怖い夢を見る可能性があります。
成長するにつれて治まってきますが、中には悪夢を見ることがストレスとなり、そのせいで再び悪夢を見るという悪循環に陥るケースがたまにあります。こうなると日常生活すらまともに送れなくなるので、早めに小児科へ行きましょう。場合によっては心療内科でカウンセリングなどを受けることになるかもしれません。
子供が怖い夢で眠れないときの対処法
大人は比較的悪夢を見ませんし、見てもすぐに忘れてしまうか、そこまで気に留めることはありません。しかし子供はわりと悪夢を見ることが多く、しばらく引きずることも珍しくありません。
人が眠りにつくと、浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」を交互に繰り返します。そして夢は基本的にレム睡眠の状態に見るものとされています。
大人になるとこの2つのバランスが取れてくるのですが、子供の間はレム睡眠の方が長めになっているのです。だから怖い夢を見やすいのですね。
もし子供が悪夢を見て飛び起きたら、優しく抱きしめてあげましょう。混乱しているようならゆっくりなだめて落ち着かせ、どんな内容だったのかを聞いてあげてください。
溜め込んでしまうより、話した方が気が楽になります。特定の何かに対して怯えていたら、怖がらなくてもいいものであると少しずつ教えてあげましょう。
悪夢を見る頻度が高いと、それだけ眠れていないということになるので、寝る前に子供をリラックスさせてあげると良いですよ。スマホやテレビは控えめにして、早寝早起きがスムーズに行えるように、生活パターンを見直しましょう。
怖い夢を見続ける子供は将来に影響がでる!?
子供は大人よりも怖い夢を見やすいものですが、あまりにも頻繁に見ていると精神障害を患う確率が高いという話があるせいか、不安に感じる親御さんもいるようです。
実際のところ、12歳を迎えるまでに何度も悪夢を見ている場合、思春期に入った頃に精神病のような症状に見舞われる確率は普通の子供と比べると、3.5倍ほど高いという結果が出ています。
その他にも夜驚症を始め、幻覚や妄想、思考が鈍くなるなどのリスクも2倍に跳ね上がるとのことです。とはいえほとんどの場合、成長に合わせて悪夢も見なくなります。大人になるにつれて、深い眠りに入るノンレム睡眠の割合が増えてくるからです。
ちなみに驚いて飛び起きるという点では夜驚症も悪夢も似ていますが、前者はまだ寝入ってからそんなに時間が経っていない頃に発症します。
症状自体はパニックを起こして叫んだり、身体を動かしたりしますが、朝になるとこのことは、本人の記憶からは綺麗さっぱり消えています。寝惚けているのではなく、本当に忘れているのです。これが悪夢を見た時との大きな違いです。
後々まで引きずることは滅多にありませんが、お子さんが良く怖い夢を見ているようなら、少し気に掛けてあげてください。
子供の睡眠障害のための対処法
怖い夢を見ることで子供が寝不足にならないように、まずは生活リズムを見直すことから始めましょう。大人と子供の睡眠は、似ているようですが全くの別物です。子供が安心して眠れる環境を整えてあげてください。
朝ですが、7時には起きて太陽の光を最低15分はきちんと浴びるようにしましょう。朝日は眠気を吹き飛ばし、気分をシャキッとさせてくれます。
お風呂は7時までには入りましょう。シャワーで済ませるのではなく、ぬるま湯にゆっくり浸かります。寝る前にテレビなどを観ると興奮して寝付きが悪くなるので、夜7時を過ぎたらテレビやパソコン、スマホは消して、寝る用意をしてください。そして8時には部屋を暗くしましょう。
おやつは食べ過ぎないように気を付けてください。パン類やインスタントもなるべく控えて、栄養バランスの良い食事を摂るようにしましょう。
続けることが大事なので、休日でもこのパターンを変えてはいけません。子供の話に耳を傾けて、ゲームではなく身体を動かす遊びをしましょう。
これで悪夢を見る回数は減るかと思われますが、稀に統合失調症や癲癇などが原因で悪夢を見てしまうこともあるようなので、心配なら小児科か心療内科に行ってみてください。
また自閉症や発達障害の子供はもともと睡眠障害を併発していることが多いため、この場合も専門医に相談してみましょう。
睡眠不足が子供に及ぼす影響①
怖い夢を見るなどして子供が睡眠不足になってしまうと、あらゆる弊害が出ます。眠らないと脳が上手く働かないので記憶力や集中力が鈍くなり、勉強に身が入らなくなって成績が落ちてしまいます。
寝る子は育つという言葉があるように、子供の成長にとって大切な要素のひとつが睡眠です。これは寝ている間に身体の成長を促すホルモンが分泌されるからです。
しかし良く眠れていなければ、このホルモンが少なくなるので成長が遅くなります。最も多く分泌される「ゴールデンタイム」と呼ばれる時間帯には、必ず寝ておくことをおすすめします。
ちなみに注意力などがどれだけ低下するのか、どうにもピンとこないという人は、アルコールを摂取した時の「ほろ酔い」をイメージしてください。あれとほぼ同じような状態です。
もともと集中力が散漫な傾向にある子供は、なおさらきちんと寝るようにしなければなりません。
規則正しい生活とバランスの取れた食事、適度な運動を行うことで、夜にぐっすりと眠ることが出来ます。
睡眠不足が子供に及ぼす影響②
人間には体温や脈拍などを管理する「交感神経」と、身体を落ち着いて休ませるための「副交感神経」があり、この2つは常に釣り合っています。
しかし寝不足などの理由で長い間起きていると、交感神経がずっと活性化していることになるので、興奮状態から抜け出せなくなります。
すると、ジッとしていられなくなるため、その場の勢いに任せた行動を取ることが多くなるのです。つまり我慢や辛抱が出来なくなるので、ちょっとしたことで苛ついてしまいます。
もし、子供がこのような行動を突然取り始めたら、睡眠が足りていない可能性があります。
睡眠障害に陥ると、怖い夢を見たり、おねしょをしてしまったり、寝惚けて部屋の外へと出て行ってしまったり、いきなり叫び声を上げるなどの症状に見舞われます。
おねしょに関しては、5歳までなら気にする必要はありません。しかしそれ以降も週に2回以上のペースでおねしょをするようなら睡眠障害を疑ってください。
この原因のひとつにはストレスがあります。頭ごなしに叱るのではなく、落ち着いて諭してあげると良いでしょう。
子供の悪夢障害を改善しよう
子供が頻繁に悪夢を見て起きてしまうときは、必ず原因があります。
頻繁に夜更かしをしていたり、夜寝る前にスマートフォンやテレビを長時間見ていると、悪夢障害などの睡眠障害を起こしやすくなるのです。
睡眠障害による睡眠不足は、子供にたくさんの悪影響があります。
なるべく早く寝かせ、寝る前は絵本を読んであげるなどリラックスした状態で就寝しましょう。