赤ちゃんが咳をしていると心配になりますよね。
特に夜間、睡眠時になると、咳はひどくなる傾向にありませんか。
赤ちゃんは生後6ヶ月ごろまではママから受け継いだ免疫に守られているため、基本的に大きな病気にはかかりません。
しかし、免疫が切れると風邪などにかかることが増え、咳や鼻水などの症状が出てくることが多くなります。
今回は赤ちゃんの咳について、原因や対処方法などをお話していきます。
赤ちゃんの咳について知っておこう
赤ちゃんの咳は、発熱と並んで、小さな子供の代表的な病気の症状です。
咳とは、口から肺までをつないでいる気道に、外から入り込んできた風邪のウイルスやほこりなどの異物を、外に押し出そうと反射的に起こるものです。
起床時、睡眠時に関係なく、人として自然と異物を排除しようとする防衛反応が咳なのです。
しかし、赤ちゃんの咳には、原因となるさまざまな病気が潜んでいる可能性があります。
小さな子供を含み、よく見られるのが風邪などの呼吸器感染症です。
他には気管支喘息、副鼻腔炎などもあげられます。
赤ちゃんの咳は、体の中に異常が出始めているサインでもあります。
そのため、ただの風邪だと軽く考えずに、経過を注意深く見守りましょう。
追って症状をじっくりと観察することが大事なのです。
「コンコン」「ケンケン」「ゴホンゴホン」咳の種類
咳とひと口に言ってもさまざまな種類があります。
赤ちゃんの咳の音をよく聞いてみてください。
軽い感じの「コンコン」、痰が絡んだ「ゴホンゴホン」、まれに「ケンケン」などの咳が出ます。
「コンコン」は乾性咳嗽という咳で、乾いた音が特徴です。
「ゴホンゴホン」は湿性咳嗽という咳で、湿った感じで痰が絡むという特徴があります。
「ケンケン」は犬吠様咳嗽という咳で、犬が吠えるような音が特徴です。
犬吠様咳嗽は呼吸困難になる恐れがある重傷の病気で、入院して治療を受けなければなりません。
また、咳が出る期間にも注意が必要です。
咳が出始めてから、
・3週間未満で落ちつく咳(急性の咳)
・3~8週間の間つづく咳(遷延性の咳)
・8週間以上の長期間つづく咳(慢性の咳)
に分けることができます。
起床時・睡眠時に関わらず、咳が出ている期間や咳の音を知ることは、近づいている病気を早く知るための手掛かりとなるのです。
赤ちゃんが睡眠時に咳き込むのは自律神経が原因?
「昼間は元気に遊んでいたのに、夜の睡眠時、突然咳が出始めて止まらない」
そんな赤ちゃんも多くいるのではないでしょうか。
昼間は風邪の症状はなかったのに、突然夜になって咳が出始めたら、ママもパパも焦ってしまいますよね。
実は、夜の睡眠時だけに咳が出るのは自律神経が関係していることが多いのです。
自律神経は以下の2つに分けられます。
●交感神経
起きている時に活発になり、緊張・闘争などの役割があります。
●副交感神経
睡眠時の夜に活発になり、休息・リラックスなどの役割があります。
以上のように、夜になると副交感神経が活発になります。
副交感神経が活発になると、喉や気管、鼻腔内の緊張がゆるむので、ほんの少しの刺激でも、咳が出やすくなってしまうのです。
鼻づまりや鼻水などの症状が出やすくなる人がいるのもこのためです。
自律神経による咳に関しては、病気ではないので心配はほとんどいりません。
寝る前の体温の上昇や、夜間の寝室の冷めた空気を吸うことが、赤ちゃんが咳き込むきっかけとなっていることが多いのです。
しかし、中には病気による咳の可能性もあります。
病気のサインを見逃さないためにも、赤ちゃんを注意深く見守ることが大事です。
睡眠中の赤ちゃんの咳が止まらない!どうしたらいいの?
睡眠時、赤ちゃんの咳が止まらなくなってしまうと、赤ちゃんも苦しくて目が覚めてしまいますよね。
泣いて咳き込み、また抱っこして寝かしつけ…ママもパパも大変です。
ここでは赤ちゃんの咳が止まらない時に、試していただきたいポイントをご紹介していきます。
●空気をきれいにする
空気清浄器や加湿器を使用します。
部屋の中を快適な湿度に保ち、きれいな空気に入れ替えましょう。
たばこの副流煙は赤ちゃんの咳を悪化させるので、ご家族で喫煙されている人は、赤ちゃんと距離をとることをおすすめします。
●水分を取る
咳き込みがひどく、止まらない時は水分をとりましょう。
1度にたくさんとると咳き込んで戻してしまう可能性がありますので、少量ずつ数回に分けて飲ませてあげましょう。
●上半身を起こす
咳が止まらない時は上半身を起こしてあげます。
こうすることで、肺や気管を圧迫しないので、痰がきれやすくなります。
赤ちゃんの咳の病気
赤ちゃんの咳の病気で代表的なものを2つお話します。
●RSウイルス(細気管支炎)
気管支の先の最も細い部分を細気管支と呼びます。
この細気管支が細菌によって炎症が起きることを細気管支炎と呼び、赤ちゃんに咳などの症状として現れます。
細気管支炎はRSウイルスが原因で起こるもので、最初は風邪のような症状から始まり、激しい咳(ゼイゼイ、ヒューヒュー)が出始めます。
重症化するとチアノーゼ(呼吸がうまくできず唇が紫色になる)や、お腹がくぼんだりと、命に関わる恐れがあります。
治療方法は入院治療によるもので、睡眠時にも酸素吸入や点滴を行います。
重症化している場合でも、1週間ほどで回復することが多いです。
●肺炎
悪化した風邪の病原菌が肺に入り込み、炎症を起こす病気です。
病原菌は3つに分類することができ、症状もそれぞれ異なります。
・細菌性肺炎(インフルエンザ菌・肺炎球菌・ブドウ球菌など)
発熱、激しい咳、下痢、嘔吐、呼吸困難などの症状が特徴です。
赤ちゃんは入院治療が必要になり、酸素吸入や抗生物質投与などが行われます。
・ウイルス性肺炎(RSウイルス・アデノウイルス・インフルエンザウイルスなど)
高い発熱と咳、呼吸の乱れが特徴です。
細菌性肺炎よりは症状が軽いことが多いと言われています。
・マイコプラズマ肺炎(マイコプラズマ)
発熱、激しい咳が出るという特徴があります。
抗生物質を投与し、薬による治療が一般的です。
赤ちゃんの睡眠時の咳で受診する目安は?
睡眠中の赤ちゃんの咳がひどいと、病院に連れて行こうか、朝まで待とうか、判断する基準が難しいでしょう。
特に夜中や休日であると、受診することをためらいますよね。
緊急で病院を咳で受診する目安として、以下の状態があげられます。
・咳で苦しくて眠ることができない
・激しい咳き込みで、嘔吐してしまう
・呼吸が乱れてうまく息ができない
・「ケンケン」と乾いた咳をしている
・チアノーゼになっている
特にチアノーゼは呼吸困難を引き起こしているので、大至急病院に行かなくてはなりません。
緊急の場合は救急車を呼びましょう。
チアノーゼ以外の症状で受診を迷っている場合は「♯8000」(小児救急電話相談)に電話をかけて相談しましょう。
電話口の小児科医師や看護師から対処方法やアドバイス、また緊急で受診する場合の手続きを行ってくれます。
朝まで待っていて、赤ちゃんが重症化してしまう可能性も考えられます。
受診を迷ったら、まずは電話をかけてみましょう。
赤ちゃんの咳は慌てずに対処しよう
赤ちゃんの咳はさまざまな病気の可能性が考えられます。
突然睡眠時に赤ちゃんが咳き込むと、ママやパパは焦ってパニックになってしまう可能性があります。
まずは落ち着き、日中の様子や体調でおかしなところがなかったか、思い出して確認をすることが大事です。
慌てずに赤ちゃんの様子を見守り、換気や抱っこなど、できる限りの対処をしましょう。
それでも治まらずに病院を受診する場合は、健康保険証や母子手帳など、必要なものを忘れないように、落ち着いて行動してくださいね。