ホテルの客室のベッドの上にちょこんと置かれている折り鶴は、何のためにあるのでしょうか。
すべてのホテルに置かれているわけではないので、余計に気になってしまいますよね。
そのまま置いておけばいいのか、捨てていいのか、持ち帰ったほうがいいのか、迷うこともあるかもしれません。
そこで、ベッドルームにある折り鶴の意味や扱い方をお伝えします。
また、ベッドの足元にある細い布の意味もご説明します。
ホテルのベッドの上にある折り鶴の意味は「おもてなし」
ホテルでベッドの上に置かれている折り鶴をはじめて見て、「誰かのイタズラ…?」「個人的なメッセージ?」と不思議に思う人もいるのではないでしょうか。
折り鶴を見ると「お見舞い」を思い出すこともあり、違和感を覚えることもあるかもしれませんね。
しかし、ご安心ください。
ベッドでお出迎えしている折り鶴はイタズラでも暗号でもありません。
ホテルからの、「ようこそ!」というおもてなしの心が込められています。
もともとは老舗の旅館などで見られた習慣のようです。
折り鶴を開くと、歓迎のメッセージが書かれている場合もあります。
すべてのホテルが同じように折り鶴を置いているわけではありませんが、一流ホテルやビジネスホテルでも取り入れられているので、目にする機会も多いでしょう。
客室の隅々まで清掃し、きれいにベッドメイキングした上で仕上げとして置かれるものなので、「清掃済み」という意味合いも含まれます。
折り鶴に親近感を持つ人も
折り紙は日本に昔から伝わる文化です。
平安時代には、「折り紙」という言葉は手紙を2つ折りにするときに使われていて、遊びとしての折り紙は「おりすえ」「おりかた」などのように呼ばれていました。
江戸時代には折り鶴の本が存在し、明治時代には多くの複雑な折り方が生まれています。
現代でも子供の頃から折り紙に親しんでいる人は多く、折り鶴に懐かしさや親近感を抱く人も多いのではないでしょうか。
折り鶴は、「平和が続きますように」「病気が早く治りますように」など、願掛けのために折られることも多いですよね。
無機質なホテルのベッドの上に、ぬくもりを感じさせる折り鶴を置くことで、お客様に喜んでもらおうというホテル側の想いがあるのです。
また、日本の伝統文化を感じさせるものであることから、外国人宿泊客に好意的に受け止められることも多いでしょう。
折り鶴は平和・長寿の象徴!外国人宿泊客にも好評
折り鶴のシルエットは、原爆の子の像でも使われています。
また、ハワイの施設やホロコーストの博物館にも寄贈されていて、日本が願う平和の象徴として世界的に有名です。
欧米諸国では「ORIGAMI」という単語で伝わるほど広く知られています。
日本の文化にくわしい人は平和や健康、長寿、幸運を祈るという意味も知っています。
中国でも、鶴は仙人のしもべと考えられていました。
日本にも「鶴は千年、亀は万年」ということわざがありますが、これは古代中国の説林(ぜいりん)訓という事典に書かれた「鶴歳千歳、亀歳三千歳」という言葉が由来だと言われています。
20年~30年もの長い年月を生き、優雅な姿を誇る鶴は、アジアでも縁起のよい鳥だと考えられているのですね。
このような背景から、海外から訪れた人が、日本のホテルに泊まってベッドの上に折り紙を見つけたときに、嬉しい気持ちになることも多いでしょう。
日本人に対してだけではなく、外国人にもおもてなしの心を表現できるのが折り鶴なのです。
とはいえ、折り鶴が無いほうがいいと思う人もいるようです。
鶴がシワシワだったり汚れていたりして、使いまわしのように感じてしまうこともあるのです。
もし何度も泊まるホテルで、毎回ストレスを感じているようなら、あらかじめ「折り鶴はいりません」と伝えておいてもいいかもしれません。
ベッドの上の折り鶴をどうしたらいいの?
ホテルのベッドで折り鶴を見つけて、どう扱ったらいいか迷う人もいると思います。
さきほどご説明した折り鶴の意味を知れば、破り捨てたり、目立つようにゴミ箱に捨てたりするのは印象が悪いことに気が付くのではないでしょうか。
子供連れの場合は、おもちゃにしてグチャグチャにしてしまうかもしれませんが、大人だけで泊まるなら、おもてなしの心を踏みにじらないようにしたいですね。
客室に置いてある折り鶴はホテルからの小さなプレゼントなので、持って帰っても大丈夫です。
本にはさんで栞にしたり、ホテルに泊まった記念としてとっておいたり、自由に使ってください。
もちろん持って帰らずにホテルに置いて帰っても問題ありません。
折り鶴の扱い方は、おもてなしの心を重んじるホテルなのか、安いビジネスホテルなのか、ホテルによってもちがってくるでしょう。
折り鶴のお返しに他の折り紙を折って置いておくことで、感謝の気持ちが伝わるホテルもあれば、折り鶴を捨てても、何とも思われないホテルもあります。
ホテルに泊まったときの素朴な疑問!ベッドの足もとにある布の意味
ホテルのベッドに置かれている折り鶴の意味や扱い方をお伝えしました。
小さな疑問でも、解決するとスッキリしますよね。
ホテルに泊まる人が疑問に思うこととして、「ベッドの足もとに細い布がかけてある意味は?」ということも挙げられます。
お客様からホテルに、「あの布はなんですか?」と問い合わせがあることも多いようです。
そこで、ベッドの足もとに、横に長くかけられている布の意味にも触れておきます。
あの布の名前は「ベッドスロー」です。
フットスロー、ベッドランナーとも呼ばれます。
なぜベッドスローがあるのかというと、一つには汚れを防ぐためです。
欧米では、靴のままでベッドに横になることもあるので、リネンの汚れ防止にかけられているのです。
また、インテリアをおしゃれに見せるためのものでもあります。
真っ白なベッドにアクセントを加え、センスよくコーディネートするために使われます。
ベッドスローをかけて自宅の寝室をホテル風に!
ホテルで見かけるベッドスローは、インテリアコーディネートの目的としても使われますので、ご自宅の寝室アイテムとして取り入れるのもおすすめです。
日本のお店ではベッドスローを見かけることが少ないのですが、ネット通販で購入できます。
また、ベッドスローを選ぶ際には、枕カバーやクッション、カーテンの色と揃えるとお部屋に馴染みます。
白のリネンなら、グレーや紺、茶色などがおすすめです。
反対に、茶色や紺など濃い色味のリネンなら、白や薄いピンク、ベージュなど淡い色がいいでしょう。
クリスマスには赤や緑、ハロウィーンにはオレンジや茶色を選んで季節感を出すのも素敵ですね。
また、オーダーカーテンの取り扱いがあるお店や手芸店などで作ってもらうこともできますし、十分なサイズの布があれば自分でも作れます。
自作なら、気に入った布地で安く作れますね。
特に決められているサイズはありませんので、長方形の布に裏地を付けて、好みの大きさに仕上げれば大丈夫です。
フリンジやタッセルを付けてアレンジするのもおしゃれです。
友人やご家族を自宅に呼んで泊まってもらうときに、「これ素敵!」と褒められるかもしれません。
誰かにベッドを使ってもらうときには、清潔にしてリネンを整え、メッセージカードや折り鶴を置いておいても喜ばれるのではないでしょうか。
お客様に喜ばれるための折り鶴
折り鶴は、ホテルからのおもてなしの気持ちを伝えるための手段です。
ホテルによっては、スタッフが一つ一つ丁寧に鶴を折っているところもあるようです。
「長くお付き合いしたい」、「気分よく宿泊できた感謝の気持ちを伝えたい」と思うなら、床に落としておいたり、ゴミ箱に捨てたりしないようにしましょう。
また、ベッドスローの意味についてもご紹介しました。
上品なアクセントになってくれるアイテムなので、自宅のベッドに使用するのもおすすめです。