腰痛持ちの方にとって、悩みの種となるのは「寝具選び」ですよね。
お布団とベッドでは、どちらが腰の負担を軽減することができるのでしょうか。
今回は、それぞれの特徴をまとめた上で、適切な寝具選びについてお話ししていきます。
腰痛でお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
「お布団」のメリット・デメリット
我々日本人にとっては、非常に馴染み深い存在である「お布団」ですが、まずはその基本的なメリットとデメリットを挙げてみましょう。
<お布団のメリット>
・ベッドよりも安価で、買い替えやすい
・低い位置で眠ることができ、安心感を得られる
・すぐに天日干しできて、手入れがしやすい
<お布団のデメリット>
・ベッドよりも硬い
・収納スペースが必要になる
・ヘタりやすい
腰痛持ちの観点からすれば、寝心地が気になるところです。
ベッドのように、スプリングが入っていないため、どうしても硬さや底つき感が気になるでしょう。
そして、耐久性に劣る面でもネックになります。
また、毎日収納スペースから上げ下げする必要があるため、腰に負担を感じやすくなることも懸念されます。
いわゆる「万年床」になってしまえば、だんだんとお布団に湿気が溜まり、カビが生えてしまいます。
寝室がフローリングの場合は、より通気性が悪くなりますから、さらなる注意を要するでしょう。
「ベッド」のメリット・デメリット
続いて、「ベッド」のメリットとデメリットを挙げてみましょう。
<ベッドのメリット>
・出し入れする必要がなく、いつでもすぐに寝られる
・クッション性に優れている
・インテリアとして機能する
<ベッドのデメリット>
・お布団よりも、お値段が高額になることが多い
・掃除や手入れがしにくい
・存在感があり、部屋が狭く感じる
ベッドに関しては、クッション性が高いことが最大の魅力です。
マットレスは、体重を分散してくれるため、腰の負担を和らげることも期待できます。
また、お布団のようにいちいち上げ下げする必要がなく、起き上がりやすいこともポイントでしょう。
しかし、ベッドは大きくてかさばりますし、掃除もしにくくなり、重いマットレスのケアは大変です。
定期的にひっくり返す必要がありますので、くれぐれも腰痛が悪化しないよう気をつけてください。
「お布団」と「ベッド」腰痛対策として優れているのはどっち?
これまで、お布団とベッドのメリット・デメリットをご紹介しましたが、どのような印象を受けましたか?
両者ともに、それぞれの良し悪しを再確認することができましたね。
前章では、ベッドのクッション性を評価しましたが、柔らかすぎるマットレスには、少し注意が必要です。
スプリングを内蔵した柔らかいマットレスには、腰が沈みすぎてしまう傾向があります。
そのため、背骨が不自然に曲がってしまうこともあるのです。
背骨のバランスが崩れて、周囲の筋肉が緊張してしまうことで、腰痛を引き起こす原因にもなり得るため、これらの理由から、畳の上でお布団を敷いて寝ることを推奨している医師もいます。
しかし、お布団が硬すぎてもいけません。
腰が浮いて不自然な体制になり、腰痛は次第に悪化してしまうことにもなるでしょう。
お布団とベッド、どちらを選ぶにしても、適度な硬さが重要だということです。
そのため、腰痛対策としてどちらが優れているか、一概に言い切ることは難しくなります。
寝具が自分の腰に合っているか、見極めていくことが大切なのです。
腰痛タイプで異なる!寝具の選び方
前述したように、お布団やベッドには適度な硬さが必要ですが、腰痛のタイプによって選び方は異なります。
ご自分の症状に適しているのは、どちらの硬さでしょうか。
<硬めなほうが適している場合>
〇前にかがむと腰が痛む人(腰椎椎間板ヘルニア、筋筋膜性腰痛、椎間板症など)
〇ほどよい硬さのある「お布団」がおすすめ
寝るときの姿勢は、まっすぐに背筋が伸びるよう意識するとよいでしょう。
また、腰ばかりに負荷がかからないよう、こまめに寝返りをしてください。
<柔らかめなほうが適している場合>
〇後ろに反ると腰が痛む人(すべり症、腰椎分離症、脊柱管狭窄症など)
〇ほどよい柔らかさの「ベッド」がおすすめ
なるべく、腰への刺激を避けてください。
こまめな寝返りは逆効果で、背中を丸めて寝るとよいでしょう。
そして、ベッドを選ぶ際には、マットレスの硬さの単位である「ニュートン」に着目してください。
この数値が大きければ大きいほど、硬いということになります。
目安としては、60を超えていなければ柔らかめで、100を超えていれば硬めです。
また、反発性で判断することもできます。
低反発であれば柔らかめで、高反発であれば硬めだということが予想できます。
お布団派もベッド派も!購入前は試しに寝てみよう
とくに、ベッドは高額になることもありますから、購入前は実際に寝てみることをおすすめします。
寝心地を試すことで、寝具選びの失敗を防ぐことができますよ。
そこで、いくつかポイントをご紹介します。
<仰向けに寝てみる>
仰向けになったときに、腰やお尻が沈みすぎている場合は、柔らかすぎる証拠です。
逆に、腰が浮いてしまうようでしたら、硬すぎるということになります。
背骨の曲がり方が、自然なカーブになると最適です。
<横向きに寝てみる>
横向きになったときは、首からお尻がまっすぐ直線状になることが理想です。
さらに、肩の沈み方もチェックしてください。
肩が沈まずに、内側に入り込んでしまうようでは硬すぎます。
自分で分かりにくいときは、周囲の人に見てもらいましょう。
<うつ伏せに寝てみる>
うつ伏せになることで、圧迫感をチェックすることができます。
さらに、「寝返りが打ちやすいのか」という点もポイントです。
力まずに寝返りができると、最適な硬さであると言えます。
お布団であっても、ベッドであっても、試し寝は重要です。
こうした試し寝をする際には、ぜひリラックスできる服装で店頭へ行きましょう。
そうすることで、よりリアルに寝心地を体感することができます。
これから寝具の購入を検討されている方は、試してみてくださいね。
腰痛を予防するためのストレッチ
腰痛の症状が改善したら、予防することも大切です。
最後に、お布団やベッドの上で、寝ながらできる「腰痛予防ストレッチ」をご紹介しましょう。
寝たままできるので、就寝前の日課にできるといいですね。
<仰向けでおこなうストレッチ>
〇リラックスした状態で、両手を上げて全身を伸ばす
〇片膝を抱えて、胸のほうへグッと引きつける(両足おこなう)
〇両膝を同時に抱えて、胸のほうへグッと引きつける
〇両足を外側に曲げて、足の裏を重ねる
<ポイント>
・ゆっくりと呼吸をして、ひとつの動作に時間をかけましょう。
・痛みが強すぎては逆効果になるので、ほどよい力加減でおこないましょう。
・反動をつけずに、ゆったりとした動きを意識しましょう。
・毎日続けることで、効果を発揮します。
寝具選びは腰痛にとって重要!
今回は、お布団とベッドのメリット・デメリットを挙げて、それぞれを比較してみました。
どちらが優れているか、一概に言い切ることは難しいということが分かりましたが、自分の好みや生活スタイルに合わせて、より腰に負担がかからないほうを選んでみましょう。
そして、腰痛の症状に合った寝具を選び、より快適な睡眠が得られるように工夫してみてください。