厚生労働省が2000年に『保健福祉動向調査』で国民の「睡眠の充足度」について調査したところ、約30%の人が「自分の睡眠に満足していない」との結果が出ました。
日本人の睡眠時間は、調査をした29カ国の中では最下位という結果になりました。
そこで今回は、睡眠時間を確保するためにはどうしたら良いのかをまとめてみました。
仕事や勉強が忙しくて睡眠時間が短くなっている人は参考にしてみてくださいね。
日本人の睡眠時間は世界各国の中でも短い
日本人の睡眠時間が短い傾向にあるのは、気まじめな気質に関係がありそうです。
29カ国の睡眠時間調査の結果で、一番睡眠時間が長かったのはフランスですが、フランスは仕事とプライベートをしっかりと分けて考えます。
「プライベートの充実なくして仕事の充実もない」という考えがあり、バカンスのために働いているということを公言する人も、とても多いのです。
最近では、日本人もその傾向にありますが、フランスやその他、欧米諸国にはまだまだ及びません。
それには、もともとの気質が理由にあげられるのです。
仕事での成果をあげられないことが、自らのアイデンティティーを傷付けるかのように考え、「人目を気にして仕事を休めない」「いい加減にできない」という気まじめさがあります。
プライベートを犠牲にしても、決められたことや与えられた仕事をこなそうとすると、睡眠時間の確保はとうてい難しくなります。
それでも、自分が睡眠時間に満足していて、毎日「ああ、よく寝た!」と思えればさほど問題はありませんが、実際には、30%もの人が睡眠時間への不満を抱いているのです。
隙間時間に睡眠時間の確保!体からの声を聞こう
そんな私たち日本人が、睡眠時間を確保するためにはどうしたら良いでしょうか?
学生、会社員、自営業、主婦など職業はさまざまですので、まずは、すべての人に共通する解決法を見ていかなければいけません。
どんな人でもわずかな隙間時間があり、その時間を活用する方法です。
実際、通勤通学の電車の中では、眠っている人がほとんどです。
ただし、電車の中を読書やSNSタイムとしている人もいますね。
会社勤めで忙しい毎日の中が、唯一の英会話学習の時間だという人もいます。
イヤイヤやっていることであれば、「睡眠時間に振り替えましょう」とお伝えできます。
しかし、「好きなことや趣味、勉強の時間を削除しましょう」とはアドバイスしにくいものです。
そこで、ぜひやっていただきたいのは、自分の心身の調子をよく観察する余裕を持ち、睡眠に振り替える気持ちを持っていただきたいということです。
「仕事や勉強をしないようにしよう」というのではなく、「仕事や勉強を休む勇気を持ちましょう」ということです。
心身の疲れは、「どうも疲れがとれない」「体がだるい」「口内炎ができて治らない」「つまらないミスが続いた」といったことで自覚できますよね。
たとえ、毎日の通勤電車の中が英会話学習時間だという方でも、「今日は疲れているから休もう」というような考え方をしてみてください。
ただし、寝過ごして乗り過ごすことには十分気をつけてくださいね。
お昼寝時間を確保しよう
多くの場合、通勤通学の電車の中の他、お昼休憩時間がありますよね。
実際、お昼休憩時間を「お昼寝タイム」としているところもあるようです。
これは、オフィスでお昼ご飯を食べた後、一斉に消灯してオフィスチェアなどで短いお昼寝をするというもののようです。
たとえば、ゼネコンの現場事務所などでは、お昼寝タイムを取ることで業務中のケガや事故を防ぐ効果が出ている、とのことです。
睡眠不足は仕事の効率や体調にも影響を与えているのです。
営業職の方など、オフィスでのお昼寝が難しい場合は、出先など近くの公園で10分ほど仮眠をとるのもいいですね。
ただし、夏場や冬場は無理ですので、あくまでも過ごしやすい時期に、ということになります。
睡眠時間の確保は、もちろんすぐにできればいいですが、「さあ、明日から睡眠時間を確保しよう!」と思っても、都合良くいかない場合が多いですね。
睡眠時間の確保もあせらず少しずつ見つけていきましょう。
まずは、意識改革が大切です。
疲れていたら、休憩中にできるだけ仮眠をとるようにしてください。
睡眠時間の確保は意識を変えることから
とはいえ、睡眠時間の確保には、授業や仕事の仕方を見直してみることが一番有効です。
今まで通りの仕事や生活パターンをすぐには変えることができない場合でも、意識の持ち方一つで変わるかもしれません。
本当に変えようと決心すれば、意外と変えられるものなのです。
例えば学生さん、「宿題は家に帰ってからやるもの」と思っていませんか?
サラリーマンの方は、ついつい余計な残業をしていませんか?
効率良く、早く家に帰る方法を考えてみましょう。
学生さんなら、1時間目の授業に関しての宿題が出たら、少し目を通し、わからないところがあれば誰かに聞くことができます。
オフィス業務の場合は、定時ギリギリになってから帰る準備をするのではなく、早めに身の回りを整えながら、仕事の終わりを意識して進めてみましょう。
「そんなこと言われても、お客様対応のある職場だから何があるかわからない」という方もいますよね。
ただ、こちら側の意識を少しずつ変えることで、就業時間を短くできる日もあると思います。
同僚から「この人はいつも残業できる」という認識を持たれてしまうと、こちらも、それに合わせるようになるものです。
ついつい頼まれごとをしてしまうことが、あるのではないでしょうか?
「いつも7時くらいまで仕事をする人」から「いつも6時くらいまで仕事をする人」に変えていけるといいですね。
ネックになるのは周囲の目!?
睡眠時間の確保にどうしてもネックになるのは、周囲の目や人付き合いです。
飲み会や食事会などが好きな人は、ひっきりなしに誘ってくるかもしれません。
しかし、睡眠時間がとれないほど忙しくて悩んでいる場合は、それらをお断りする勇気が大切です。
本当に出席したいもの、参加したいものだけに限っての参加にして、あくまでもお付き合い上だというものに関しては、上手にお断りしたいものですね。
よく言われるのは、「人は人のことを案外見ていないし、なんとも思っていない」ということです。
「食事会を2回も断ったから、付き合いの悪い人だと思われていないだろうか」という悩みは、持たなくてもいいのです。
最初から「付き合いの悪い人」でいいのです。
付き合いの悪い人と付き合いの良い人で、「付き合いの良い人のほうが好かれているか」というと実際はそうでもないものです。
そもそも、人からどう思われているかなどはどうでもいい話なのですが、やはり気になるものです。
そういう人は、「付き合いが良くても人から好かれるわけではない」ということを、思いだしていただきたいと思います。
人から好かれるかどうかは、やはり「人柄」の問題なのです。
SNSを遠ざけて睡眠時間を確保
睡眠時間の確保で、今問題なのはSNSとの付き合い方です。
スマホ依存症になってしまっては、満足な睡眠時間を確保することはできません。
依存症とまではいかなくても、気が付いたらいつもスマホを見ているという人がとても多いですね。
一日のうち、スマホを見る時間を自分で決めてみませんか?
「仕事以外ではSNSをしない」という選択をしていただきたいと思います。
美容や健康を意識するのであれば、スマホは大敵です。
スマホ片手に、一生懸命ショッピングサイトでお化粧品を探して1時間も2時間も費やす、というのは本末転倒です。
なぜなら、眠る前にスマホやパソコンのブルーライトを浴びると、睡眠の質が低下するという話もあるからです。
睡眠不足はお肌の大敵ですね。
目にも良くないブルーライトは、眠る前にはシャットアウトしたいものです。
スマホゲームに夢中になっているのであれば睡眠確保は難しくなりますよ。
睡眠時間の確保は隙間時間や人、SNSとの付き合い方が鍵
睡眠不足だと感じて、睡眠時間を確保したい人は、「宿題を学校でやってしまう」「職場から出る時間を早くしよう」という意識改革がまず必要です。
そして、鍵になるのは人やSNSとの付き合い方です。
「付き合いが悪い人」というレッテルを気にしなくても、人から好かれる人は好かれます。
また、スマホ依存症になっていないかどうか、自分に問いかけてみてください。