お布団でダニの被害にあった時、すぐ考えるのは「どの殺虫剤を使おうか?」ではないでしょうか。
その一方で、お布団に殺虫剤を掛けて大丈夫なのか、気になるところです。
嬉しいことに、お布団を問題ない状態にするだけなら殺虫剤なしでも可能です。
しかし、被害が大きかったり増やさないようにするには、やはり忌避剤や、場合によっては殺虫剤が必要です。
どんな場合にどう対処すればいいのか、これから順を追ってご紹介していきましょう。
人を噛むダニってどんなダニ?
家の中でダニに噛まれたとすれば、種類はほぼ2つに絞られます。
どこの家にも普通にいるツメダニと、ネズミに付くイエダニです。
①ツメダニ
家の中にいるダニの4~5%を占めるといわれるダニです。
他のチリダニなどを餌にし、基本的には人を襲わないのですが、増えすぎると刺すようになります。
ツメダニが増えるのは餌のチリダニが増えた時ですから、お布団干しや掃除など、通常のお手入れをしていれば、それほど神経質になる必要はありません。
②イエダニ
家ではなく、ネズミに付くダニのことです。
イエダニはネズミの巣に住むダニなので、通常人と接触することはありませんが、ネズミに付いて人の居住空間に侵入することがあります。
イエダニの困るところは、吸血性があることで、時に厄介な病気を媒介する点です。
ネズミとダニの両方を同時に退治する必要があるので、殺鼠剤や殺虫剤の使用も考えなければならず、ツメダニより厄介です。
お布団には殺虫剤ではなく、クリーニング店の丸洗い
寝ている間にダニに噛まれたと思った時は、ダニ用の殺虫剤を使うのは、少し待ち、まずは別のお布団に交換して、使っていたお布団をクリーニングに出してしまいましょう。
本当にダニに噛まれたのかを判断するのは医師でも難しいことなので、分かってからでも遅くはありません。
また、殺虫剤が噛まれた肌を刺激するかもしれませんし、別の虫や皮膚炎だった場合、意味がなくなってしまいます。
ポイントは、ドライクリーニングではなく、丸洗いにすることです。
丸洗いは、専用の洗濯機でお湯をふんだんに使って洗うので、綿の奥まできれいになります。
同時に、乾燥する時に100℃近い熱風を当てながら湿った空気を強制排気するので、高熱で瞬殺されたダニを残すことなく吸い取ってくれます。
ダニ退治ができるだけでなく、ダニの餌もなくなるので、これだけでしばらくダニの増殖を抑えることができるのです。
もちろんアレルギーの心配もなくなり、ふかふかのお布団になって帰ってきます。
業者によっては防ダニ防カビ処理をしてくれるところもありますので、お布団のダニ対策としては最高の方法といえるでしょう。
天日干しまたは布団乾燥機にプラス!掃除機をフル活用しよう
しかし、お布団の丸洗いは時間がかかりますし、代わりのお布団がない場合もあるでしょう。
とはいえ、殺虫剤で丸洗いと同等の効果を目指すとしたら、お布団を使えなくなる程の殺虫剤の量が必要です。
ですから、丸洗いが無理な場合は、天日干しか乾燥機でダニを退治しましょう。
ダニは50℃以上なら30分ほどで、60℃以上ならすぐに死滅するといわれています。
天日干しの場合は、空気が乾燥している10時~14時の間に干しましょう。
お布団を平らに置いて日に当て、30分~1時間おきに裏返します。
お布団を広げるのは全体の温度を均一にするためで、何度も裏返すのは裏にダニを逃げ込ませないようにするためです。
もし日なたに広げて干せない場合は、布団乾燥機を使いましょう。
布団乾燥機は、説明書をよく読んでその指示に従います。
また、アルミシートの準備ができれば、さらに効果が上げることができます。
アルミシートをお布団の上に乗せ、上からさらにもう一枚お布団を掛けて熱をこもらせ、ダニの逃げ場を奪いましょう。
ダニ退治が終わったら、ダニの死骸と中のホコリを掃除機で吸い取ります。
お布団専用の掃除機でも、普通の掃除機でもかまいません。
ヘッドをお布団に押し当てて1ヵ所ずつゆっくり移動させ、3分から5分掛けて両面を吸い取ります。
普通の掃除機にお布団の専用ヘッドがない場合は、ストッキングをかぶせましょう。
他には、スチームアイロンを当ててダニ退治をする方法があります。
100℃近くになるのでダニ退治には効果的ですが、手間がかかるので赤ちゃん用の小さいお布団や座布団向きです。
お布団をダニ知らずにするには忌避剤・トラップ・殺虫剤
ダニの心配がなくなったら、次はお手入れです。
日常のお手入れはお布団干しと掃除機が基本ですが、それに加えて忌避剤でお布団に近づけないようにしたり、トラップで積極的に捕まえたりするのもいいでしょう。
忌避剤は、香料を使ってダニがお布団に近寄らないようにしてくれます。
スプレー式で使いやすいのが特徴です。
トラップは、ダニの好む匂いで1ヵ所に集め、粘着テープで捉えたり、乾燥剤で殺してしまうものです。
半年ほど置きっぱなしで済むので楽ですが、スプレー式の忌避剤に比べると多少値段が高めです。
もっと積極的にダニを減らしたい時は、お布団にも使える殺虫成分の入った防虫スプレーを使いましょう。
裏に、フェノトリン(ピレスロイド系)、メトキサジアゾン(オキアジアゾール系)、アミドフルメト(トリフルオロメタンスルホンアミド系)とあれば、殺虫剤です。
もし、殺虫剤も忌避剤もトラップも使いたくない場合は、布団干しか乾燥機と掃除機掛けをとにかく頑張りましょう。
イエダニが大発生した時は、殺虫剤の出番
ツメダニが増えるのは、掃除やお布団干しが十分でなかった時です。
ですから、ダニ退治をして定期的にお手入れをしていれば、いずれ落ち着きます。
しかし、イエダニの場合はそれだけでは収まりません。
イエダニに噛まれるということは、近くにネズミが巣を作って出入りしている証拠ですから、ネズミとその巣を一掃しなければ、ダニを永遠に駆除できないのです。
また、仮にネズミを全部退治できても、巣を残してしまえば最悪の場合、巣にいたダニが家の中へ移動してしまいます。
自分で殺鼠剤やネズミ取りを買って駆除し、巣を探して殺虫剤をまき、撤去するのも悪くありません。
しかし、ネズミ駆除専門業者でも何日もかかる大変な作業です。
隠れたイエダニを退治するには、室内も有毒ガスで殺虫・消毒をきちんと行わなければなりません。
このようなことを考えると、プロにお任せすることをお勧めします。
卵には殺虫剤が効きませんので、2週間ほどして卵が孵った頃を狙ってもう1度、さらに2週間あけてもう1度殺虫・消毒するとよいでしょう。
ダニに噛まれた時の見分け方と対処
ダニは脇の下や脇腹、内ももや股など、身体の柔らかい部分を好みます。
お布団の中にいても衣服の中を噛まれることが多く、痒みが強く1週間ほど続いたり、噛み跡に赤い点が2つ並んでいるのが特徴です。
ツメダニもイエダニも、活発に活動するのが6月から9月なので、噛まれた時期も判断の基準になります。
手当の仕方としては、別の原因がないかの確認も兼ねて、皮膚科にかかるのが1番です。
ダニの痒さは強烈で1週間ほど続くので、適当な薬でごまかしていると、掻きむしったり広がったりしてしまいます。
ですから、皮膚科でもらうステロイド剤で、一気に治すのがおすすめです。
このステロイド剤はとてもいい薬で、医師の指示通り使えば何の問題もありません。
しかし、指示に従わないと悪化したり、副作用が出やすい薬でもあるので使い方には気をつけましょう。
また、6ヶ月以下の赤ちゃんには使えません。
そのため、何も考えずに安易に市販のステロイド薬を塗らないようにしてください。
もちろん、6ヶ月以下の赤ちゃんには殺虫剤も厳禁です。
ダニに神経質になりすぎない
どんなに退治してもダニはゼロにはなりません。
ネズミに付くイエダニなどの吸血ダニとも、家にいる目に見えないチリダニやツメダニとも、永遠に付き合っていかなければならないのです。
日頃お布団を洗ったりお掃除を丁寧にしたりと、シンプルな方法を使っていれば、いざという時、殺虫剤がよく効きます。
ただし、神経質になりすぎても良くないので、そこまで気にしすぎないことも大切です。