おしゃれ感満載な、コンクリート壁で囲まれた部屋に憧れる人も多いです。
しかし、壁に何かを飾ろうとしてもコンクリート壁でネジを打ち込むことができない、と諦めていませんか?
ところが、コンクリート壁もネジを打ち込むことができるのです。
コツがわかると簡単なので、そのコツを掴んであなたらしいコーディネートを楽しんでみましょう。
その部屋の壁は本当にコンクリート壁?
ひと目でわかる打ちっぱなしのコンクリート壁でなければ、壁の構造がコンクリートなのか、わかりにくいものです。
「うちは鉄筋コンクリートのマンションだから、コンクリート壁に囲まれているに違いない」と思っていても、改めて壁の造りを確認しておきましょう。
構造は鉄筋コンクリートでも実は、内側の部屋の部分の壁は石膏ボードになっているものが多いのです。
ノックするように壁を叩いてみると、コンクリート独特のペチペチという音がすれば、その壁の面はコンクリート壁、と判断できます。
反対に、空洞があるような軽い音がすれば、GL工法と呼ばれるコンクリート構造の壁の上に石膏ボードが貼られている壁です。
その他の確認方法としては、虫ピンや針などが壁の中に刺さり、抜いた時に白い粉状のものが付いたら石膏ボードが間に入っている壁です。
逆に、針が刺さらない場合はコンクリート壁です。
この石膏ボードは、ネジやくぎを打ち込むと中の石膏がぼろぼろと出てきてしまいます。
さらに、強度がないため、重たい物を吊り下げると、落下してしまう可能性もあるのです。
このようなことから、石膏ボードの壁には「アンカー」と呼ばれる、補強するものが必要になります。
コンクリート壁にネジを打ち込む前に知っておこう
石膏ボードが壁の内側に貼ってある壁と、打ちっぱなしと言われるコンクリート壁の鉄筋コンクリート造りは、耐火性に優れていて丈夫です。
その上、広い空間が作れるためデザイン性に富み、部屋の使い方で自由にカスタマイズできる、というメリットがあります。
そして、石膏ボードを使用していない完全なコンクリート壁の防音性は高く、木造住宅との差はかなりあるそうです。
しかし、コンクリート壁は熱伝導率が高く、一般の木造住宅に比べて、夏は暑く、冬は寒い部屋になりがちです。
また、コンクリートは、セメントと水が硬化する化学反応を利用しているので、硬化していない余った水分が抜けるのには、長くて約5年近くかかります。
その水分がゆっくり抜けている間は、部屋の中は湿気が多くなり、結露やカビが起きやすいという特徴があります。
このように、新築のコンクリート壁の部屋は換気と、エアコンなどを活用した除湿が必要になります。
そして、汚れが目立ちやすいこともデメリットの一つなので、コンクリート壁にネジを打ち込む作業時は、他の面に汚れなどが付かないように注意しましょう。
コンクリート壁にネジを打ち込む準備
では、最初の準備としてまず、道具を揃えましょう。
コンクリート壁は、とても強度の高いものなので、作業にドリルは必要です。
回転するだけの一般的な電気ドリルでは、穴を開けるのに時間がかかってしまいます。
そこで、効率よく作業をするためにも、回転と縦方向への前後の動きを持つ「振動ドリル」や「インパクトドライバー」という回転と打撃力に優れ、締め付けの強さがあるドリルや、破壊力があり、深い穴を開けることができる「ハンマードリル」などから選んだ方がいいでしょう。
「ハンマードリル」は工事現場で道を砕いているドリルですが、家庭用の小型のものも販売されています。
これらの価格は、どれも10,000円以上はするものなので、ホームセンターなどのレンタルを利用してもいいかもしれません。
次は、ネジも準備しましょう。
コンクリートに直接打ち付けるタイプの「コンクリートビス」は、コンクリート壁に打ち付けた時、部屋のコーナー部分まできれいに見えます。
しかし、コンクリートの中にネジを引掛けて止めるネジなので、強度はあまり強いとは言えず、壁に固定するには便利と言えるでしょう。
また、プラグの付いていないプラグレスのネジを選んだ場合は、「樹脂プラグ」や「プラスチックプラグ」も併せて準備をしましょう。
なぜなら、ネジを打ち込む前にプラグを開けた穴に埋め込むと、ネジの錆びを防ぐことができるからです。
コンクリート壁にネジを打ち込む方法①
道具の準備が整ったら、作業に取り掛かりましょう。
コンクリート壁に穴を開けると、大量のコンクリートの粉がでるので、作業に取り掛かる前に、ビニールシートなどを敷いて養生をしておきます。
そして、電動工具の大きな音から自分の耳を守るために、消音ヘッドホンや耳栓も準備をしておくといいでしょう。
また、電動工具やネジを打つ音は響くので、ご近所にも配慮して作業時間などを考えて作業を進めていきましょう。
では、いよいよ、作業に取り掛かります。
ネジの深さから、コンクリート壁に開ける穴の深さを決めるため、ペンやテープを使ってドリルピットに印をつけます。
同じように、取り付けるコンクリート壁の箇所にも印をつけておきましょう。
そして、壁の印にドリルピットを垂直に穴を開けていきます。
きれいに作業を進めるために、出てきたコンクリートの粉を処理しながら穴を開けていくと、ネジ穴の奥に粉が入ることがなく、根本まできちんとネジを締められるようです。
手っ取り早いのは、穴開け作業を行うと同時に誰かに掃除機で吸い取ってもらえば、後片付けも楽になります。
他にも、エアーダスターやスポイトのようなものを使って、手元だけでも粉が穴の中に入り込むことを防ぐこともできます。
コンクリート壁にネジを打ち込む方法②
ある程度ネジがコンクリート壁に入ったら、一旦止めてみましょう。
なぜなら、ネジが止まる奥まで何度も回し続けてしまうと、穴が大きくなりすぎてしまい、緩みの原因になるからです。
一度、緩んだネジの穴は時間が経つにつれて広がっていき、固定したものが落下する危険性があります。
なので、ネジはプラグ付きのもの、または、ネジを打ち込む前にプラグを入れるといいでしょう。
また、棚などを取り付ける場合には、補強用アンカーを取り付けることをおすすめします。
この補強用アンカーをハンマーで打ち込む時にも、先に開けた穴がまっすく開いていないと、うまく穴に埋まることができず、落下する恐れがあります。
もし、心配であれば、ネジの緩みを止める接着剤や封着剤を塗っておくといいでしょう。
これらは、すでに打ってあるネジが緩んだ場合にも使えますし、安いものならネット通販でも600円くらいなので、買っておいてもいいかもしれません。
しかし、接着剤に頼らず、慣れない作業ですが「まっすぐ開ける」ことを意識して作業してみましょう。
ネジ穴の修復をしないといけない賃貸住宅
さて、無事にコンクリート壁にネジを付けることができましたが、残念なことに、外さなければならないことがあるかもしれません。
その時は、市販のネジ穴補修材を開けた穴に入れて埋め、穴の周辺もきれいに修復しましょう。
こうした、ネジを打っていなかった状態にする原状回復は、賃貸に住んでいて退去する際には必ず必要となります。
オーナーや不動産会社との間で、特例ではない限り「入居した時と同じ状態」で明け渡さなければなりません。
たとえ、許可をもらってネジ穴を開けても、退去する時のことを考えてから実行するようにしましょう。
やはり、後々面倒くさいことはしたくないのなら、部屋の天井と床の間や横壁を使って、突っ張り棒や突っ張り棚を利用したほうがいいかもしれません。
もしくは何も手を加えず、壁に飾ろうとしていたものを直接、床に配置するのも一つの考えです。
デザイナーズ空間にコーディネートしてみよう
今まで見慣れない、使ったこともない工具を使ってコンクリート壁にネジをつけると、自信もつきますね。
すぐに購入するにはためらってしまう電気工具を貸してくれるホームセンターもあるので、利用してもいいですし、これを機会にDIYを趣味にしてもいいかもしれません。
デメリットもメリットもあるコンクリート壁ですが、あなたらしく演出してみましょう。