寝る前に考え事をしたり、忙しかったりと、普段と少しでも違う出来事が起きたりするだけで、ちゃんと眠れないことってありますよね。
ぐっすり眠れなかった日は、平衡感覚が鈍ったり、場合によっては、動悸がしたりすることもあります。
睡眠不足の時、私たちの体の中ではどんな事が起きているのでしょうか。
今回は、「睡眠不足は血圧にどう影響する?」というお話しをしていきます。
そもそも血圧ってなに?睡眠不足が続くと体調不良に
血圧という言葉はよく耳にしますね。
ですが、「血圧とは?」と聞かれた時に、なかなかしっかり説明できる人は少ないのではないかと思いますので、簡単にご説明します。
血圧とは、血管の内側の壁を押す力のことを言います。
心臓から送り出された血液の圧力によって血管壁が押される力です。
厳密には、心臓から送り出される血液の量と、血管の硬さによって血圧の数値は決まります。
また、「上の血圧」、「下の血圧」とはよく耳にしますが、これはどういう意味なのでしょうか。
「上の血圧」とは、血液が送り出された時の最も高い血圧のことを言い、最高血圧、収縮期血圧とも言われています。
逆に「下の血圧」は、血圧が送り出された時の最も低い血圧のこと、となりそうですがそうではありません。
送り出された血液が全身を巡り、心臓に戻ってきた時の最も低い血圧のことを表し、最低血圧とも言われますが、正しくは拡張期血圧と言います。
一般的な血圧の正常値は、130/85mmHgとなります。
130が上の血圧、85が下の血圧です。
mmはミリメートル、Hgは水銀を意味します。
例えば、130mmHgの場合だと、水銀柱式血圧計の水銀柱を130mm押し上げる圧力があるということになります。
では、男女別による20代から70代までの平均の血圧の正常値を見てみましょう。
●20代
男性 120/74mmHg
女性 113/70mmHg
●30代
男性 122/78mmHg
女性 112/71mmHg
●40代
男性 131/84mmHg
女性 125/77mmHg
●50代
男性 138/87mmHg
女性 133/81mmHg
●60代
男性 143/84mmHg
女性 141/81mmHg
●70代
男性 147/80mmHg
女性 146/78mmHg
このように、年齢を増すごとに血圧は高くなっていきます。
しかし、上記で述べたように、血圧は性別や年令を問わず130/85mmHg未満が正常値とされています。
40代を過ぎた頃からは男女ともに血圧は高くなり始め、60代以降では正常値を上回る傾向にあります。
いくら健康に気をつけていても、睡眠時間がとれず寝不足が続いてしまうと体に負担がかかり、血圧も高くなってしまう場合があります。
ただの寝不足と甘く見ていると、自律神経全体の乱れにも繋がってしまいます。
特に40代以降は、普段から健康管理には十分気をつけたほうが良いと言えるでしょう。
睡眠不足による血圧の調整は自律神経が関わっている!
ご存じの方も多いとは思いますが、実は血圧を調整しているのは、自律神経です。
自律神経とは、血圧はもちろん、体温調節、呼吸、脈拍など、私たちが自分で制御できない体の働きを調整し、体を管理してくれています。
つまり、人の生命維持のためには欠かせない機能というわけです。
そして、自律神経はさらに、2つの神経に分けられます。
それは、交感神経と副交感神経と呼ばれる、相反する働きを持つ2つの神経です。
聞いたことがある人は多いと思いますが、いったいこの神経はどんな働きをするのでしょうか。
●交感神経
例えば、ランニングなど運動している時や、人混みの中を歩くなど緊張している時、脈拍は早くなり、汗も分泌され、神経は興奮状態になります。
このように活発に動いたり、体に負荷がかかっている時に働く神経が交感神経なのです。
瞳孔拡散、気管支拡張、血管収縮、なども起こります。
瞳孔が拡散する原因には、アドレナリンやノルアドレナリンという神経伝達物質が関わっています。
何かが原因で睡眠不足になった時は、交感神経が優位になってしまい、血圧も高くなっています。
就寝前はゆっくり過ごし、気持ちを穏やかにすると良いでしょう。
●副交感神経
副交感神経は、ゆったりとリラックスしている状態の時に働きます。
例えば、ゆっくり食事をしている時や、暖かい場所で寛いでいる時に副交感神経は働きます。
副交感神経が優位になると、心臓の機能が抑制されるので血圧は安定します。
また、消化機能も活発になります。
胃酸の分泌、腸管運動の促進、大量の唾液の分泌などにも関わっています。
いろいろと忙しい毎日ですが、なるべくリラックスして食事をしたり、ゆったりと休日を過ごせるようにしましょう。
「睡眠不足とは無縁!」という人の血圧と健康状態
睡眠と血圧はとても密接な関係にあります。
毎日、十分な睡眠がとれていると、副交感神経が優位になります。
そのため、血圧も安定します。
質の良い睡眠をとろうとした場合は、リラックス効果により血圧、体温も下がり、それに合わせるように、脳内でメラトニンというホルモン物質が作られ、深い眠りにつくことができるようになります。
また、十分な睡眠には、ダイエット効果もあるのです。
規則正しい生活で、睡眠時間も十分にとれていると、脳内のレプチンというホルモン分泌されやすくなるため、食べ過ぎるの防止に繋がります。
レプチンとは、食事の際などに「お腹がいっぱい!」という信号を体に教えてくれるホルモンです。
特に女性は、無理なダイエットをするよりも、規則正しい生活と質の良い睡眠で体質管理したほうが美容にも良いと言えるでしょう。
そして、1番のメリットは、病気の予防です。
私達の体の中で、病原菌と戦ってくれる白血球は、寝ている間に作られます。
睡眠をとることで、様々な病気のリスクを避けることができるので、普段から規則正しい生活をして、寝不足は避けるようにしましょう。
睡眠不足による血圧や健康へのリスクとは?
睡眠は、自律神経と深く関わっています。
そのため、睡眠不足になると高血圧になる可能性が高くなります。
具体的には、睡眠時間が5時間以下の人は、通常7時間睡眠をとる人に比べ、高血圧の発症率は2倍に増えます。
不規則な生活や、睡眠時間が足りない生活を続けて高血圧を放っておくと、動脈硬化を起こす原因にもなり、やがては脳卒中や心臓病などの病気を引き起こしてしまう可能性があるのです。
また、その他のデメリットも多く、意識の低下による記憶力への障害、反応速度が鈍る、ケアレスミスや頭痛、腰痛、肩こり、骨密度の低下、不安感の増幅、イライラ、肥満の原因のなる、などが挙げられます。
さらに、美容への悪影響も多く、新陳代謝による肌荒れ、ストレスや疲れによって引き起こされる細胞劣化や老化現象、体の歪み、便秘、生理不順、低体温、もともと持っている場合のアレルギーの悪化などにも影響を及ぼしてしまいます。
睡眠不足を続けている生活を送っている人は、病気になりやすい、ということが分かりますね。
健康被害が増えるばかりではなく、認知症になるリスクも高くなると言われています。
「睡眠時間が短い」と思っている人は、将来も健康でいられるように、日頃から睡眠時間をしっかりとれるよう心がけるようにしましょう。
睡眠不足による高血圧が原因の動脈硬化って?
先ほど、睡眠不足が原因で起こりえる病気の1つとしてご紹介しましたが、そもそも動脈硬化とは、どんな病気なのでしょうか。
動脈とは、心臓から送り出される血液を全身に運ぶ、太い血管のことを言います。
本来であれば、動脈は弾力性がありしなやかで、簡単には破れたりしない強さも持ち合わせています。
しかし、睡眠不足による高血圧や、悪玉コレステロールの増加などが原因で、血管壁が硬くなり、塊ができてしまいます。
そうなると、血管壁が狭くなり、スムーズに血液が流れない状態になってしまいます。
さらに、血管壁の塊が何らかの原因により破れてしまうと、これを修復しようとかさぶたができるのですが、これがまた、さらに血管を狭くしてしまう原因となり、酸素や栄養が行き渡らなくなってしまうのです。
動脈硬化は、放っておくと大変な病気に発展する可能性があるので、普段から十分な睡眠をとったり、食事の量や脂肪などには気をつけるようにしましょう。
高血圧が引き起こす脳卒中や心臓病のリスクはどうすれば減らせる?
睡眠不足が原因の1つでもある動脈硬化は、放っておくと脳卒中や心臓病になるリスクがあります。
では、普段からどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
睡眠時間で見た場合、睡眠時間を5時間から7時間にした場合の脳卒中の発症リスクは16パーセント、7時間以上の場合は21パーセントも下がったそうです。
これだけはっきりした差がでる、ということは、睡眠が人の体に及ぼす影響はとても大きいことがわかります。
また、心臓病においては、睡眠時間が6時間未満の場合、心筋症や心筋梗塞の発症率は上昇します。
5時間以下の場合では心臓疾患の発症率は、さらに上昇します。
また、睡眠以外の原因については、喫煙、脂質異常、ストレス、慢性疲労などが考えられます。
普段から7時間以上はしっかり睡眠時間はとるようにしましょう。
そして、睡眠以外でも、予防できることはあります。
脳卒中や心臓病は、塩分、糖質、コレステロールの取り過ぎ、喫煙に気をつける必要があります。
また、無理のない有酸素運動をすることもリスクを下げる要因になります。
普段から睡眠、食事、運動を意識することで、高血圧も防げます。
将来も健康でいるために、普段からしっかり自己管理したいものですね。
睡眠不足による高血圧を予防する4つの方法
「睡眠不足は血圧にどう影響する?」というお話をしてきましたが、要点は下記の通りです。
1 40代以降は高血圧になりやすいので、睡眠時間はしっかりとりましょう。
2 血圧は自律神経と密接に関わっているので、就寝前は気分を落ち着かせましょう。
3 塩分、糖質、コレステロールなど、食事面でも高血圧の予防をしましょう。
4 無理のない有酸素運動で、高血圧の予防をしましょう。
楽しく生活できるように、日頃から体調管理をしっかりしましょう!