「つい電車でウトウトしていたらよだれが垂れてた!」、「朝起きたらよだれの跡が!」という経験、ありませんか?
気をつけているつもりでも、よだれが垂れてしまう場合、ありますよね。
そんな睡眠中のよだれ、どうして出てしまうのでしょうか?
今回は、その原因と対策方法をご紹介していきます。
「よだれが垂れてしまうなんて恥ずかしい!」とお悩みの方、ぜひ参考にしてみて下さい。
唾液って何?よだれとの違い
今回は、睡眠中のよだれについてご紹介していきますが、そもそもよだれとは何なのでしょうか?
よだれ=唾液という認識の方が多いかと思いますが、正確には少し違います。
まずは、唾液について見ていきましょう。
唾液とは、耳下腺などの大唾液腺と、口の中の粘膜に広く分布している小唾液腺から出る分泌液で、1日に1~1.5ℓは分泌されているといわれています。
安静時には、1時間あたり平均19㎖分泌されますが、睡眠中は、1時間あたり平均2㎖と少なくなります。
そんな唾液にはいろいろな役割があり、主に口の中をきれいに保つ働きをしてくれています。
では、その役割をくわしく見ていきましょう。
【消化作用】
唾液には、消化酵素である「アミラーゼ」が含まれており、食物に含まれるデンプンを分解し、体内に消化吸収しやすくしてくれます。
そのため、唾液が少ないと消化が思うように進まず、胃への負担が大きくなります。
【粘膜保護作用】
唾液には、ネバネバとした「ムチン」と呼ばれるタンパク質が含まれており、これにより、口の中の粘膜が傷つかないようにコーティングしています。
【食塊形成作用】
唾液に含まれているムチンが食物をまとまりやすくしてくれており、それにより食物が気道に行かず、スムーズに嚥下(えんげ)できるようになっています。
【潤滑作用】
唾液が潤滑油のような働きをしてくれることで、咀嚼(そしゃく)する時や言葉を発する時にスムーズに行えるようになっています。
【抗菌・自浄作用】
唾液には、ラクトペルオキシダーゼやラクトフェリンといった抗菌物質が含まれており、これにより口の中の細菌を取り除いてくれます。
そのため、唾液の量が減ると、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。
【中和作用】
糖や炭水化物を摂取すると、口の中にいる細菌がこれらを代謝して酸を作り出してしまい、虫歯の原因にもなってしまいます。
そのため、口の中を酸性から中性に戻そうとする中和作用が唾液にはあり、唾液の緩衝能といわれています。
【修復作用】
唾液には、口の中の傷を修復してくれる「上皮成長因子」や、脳神経が老化するのを防止する「神経成長因子」が含まれており、傷の修復や神経の回復を促しています。
このように、唾液はいろいろな役割を果たしています。
では、よだれとの違いは何なのでしょうか。
簡単にいうと、よだれとは、無意識のうちに口の中から垂れてしまう唾液のことです。
そのため、睡眠中によだれの量が多いと、口の中の唾液の量が減ってしまい、唾液本来の役割が果たせなくなってしまいます。
ただでさえ、睡眠中には唾液の分泌量は少ないので、できるだけよだれが垂れないようにする必要があります。
睡眠中のよだれ、何が原因?
上記で、睡眠中のよだれは少ない方がよいとしましたが、では、なぜよだれが垂れてしまうのでしょうか?
その1番の大きな原因は、口呼吸です。
起きている間は意識して口を閉じられますが、睡眠中は無意識のため、口呼吸をしている方は、どうしても口を開けたまま眠ってしまっていることが多くなります。
そうすると、口の中が乾燥してしまうため、それを防ぐように大量の唾液が分泌されてしまいます。
その、多く分泌された唾液が開いた口からこぼれ落ち、朝起きた時によだれの跡がついているということになってしまうのです。
では、なぜ口呼吸になってしまうのでしょうか?
主に、3つの原因が考えられます。
《顎や口の筋力の低下》
1口で30~50回は噛むことが理想的といわれる咀嚼ですが、昔に比べて現代人は回数が減っているといわれています。
柔らかい食物を好む傾向になったり、忙しい日常生活の影響で早食いになったりと、環境や好みの変化も影響しています。
その結果、顎や口の筋力が低下し、口を閉じたままにすることが難しくなり、口呼吸になってしまいます。
《枕の高さが合わない》
睡眠中の理想的な姿勢は、仰向けです。
横向きやうつぶせで寝ると、鼻腔がうっ血してしまい、自然と口呼吸になってしまいます。
そのため、仰向けが鼻呼吸には1番適していますが、この時重要なのが、枕の高さです。
枕が高すぎると、その高さにより気道が圧迫され、それをリカバリーし呼吸しやすくするために、口呼吸になってしまいます。
《鼻づまりなどの病気》
蓄膿症や慢性的な鼻炎など、常に鼻がつまっている状態だと鼻呼吸がしづらく、どうしても口呼吸になってしまいます。
このように、口呼吸になってしまう原因がいくつかありますが、原因を改善し、鼻呼吸にした方が健康のためにもおすすめです。
では、このまま口呼吸でよだれが多い場合、どんな悪影響があるのでしょうか?
次項で見ていきましょう。
睡眠中のよだれの原因、改善せずに放っておくと?
よだれの主な原因として口呼吸が挙げられますが、では、口呼吸を改善せずに放ったままにしておくと、どうなってしまうのでしょうか?
体への影響を見ていきましょう。
【病気にかかりやすい】
鼻呼吸をしていれば、鼻の粘膜や鼻毛が、ウイルスや細菌などの異物が体内へ侵入するのを防いでくれます。
しかし、口呼吸であると、粘膜や鼻毛などの役割を果たすものがなく、ウイルスや細菌がそのまま体内へ取り込まれてしまいます。
そのため、風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなってしまいます。
【睡眠時無呼吸症候群の原因になる】
口呼吸の場合、舌の筋肉が弱くなっている場合が多いため、仰向けで寝ていると、舌が喉の奥の方に落ちてきてしまい、気道を圧迫してしまいます。
気道が完全に塞がれてしまうと、睡眠時無呼吸症候群を発症してしまいます。
【疲労回復ができない】
口呼吸で舌が気道を圧迫してしまうと呼吸しづらくなってしまうため、呼吸を促すよう、睡眠中でも脳が働いており、浅い眠りになってしまいます。
結果、疲れがとれにくいということになります。
【いびきをかきやすくなる】
いびきも、口呼吸により舌で気道が圧迫されるために起きてしまうものです。
圧迫され狭くなった気道を空気が通ると、振動していびきとなってしまいます。
【歯や口臭トラブルの原因となる】
口呼吸により開いた口から唾液がよだれとして流れ出てしまうと、唾液による抗菌・自浄作用や中和作用が低下してしまい、虫歯や口臭の原因となってしまいます。
このように、口呼吸をすることで、あらゆるトラブルを招くことになってしまいます。
睡眠中のよだれの改善方法!(筋力低下が原因の場合)
上記のように、口呼吸をしていると、睡眠中によだれが出るなどの様々なトラブルが起きてしまいます。
では、どのようにして改善すればよいのでしょうか?
まずは、顎や口の筋力低下が原因で口呼吸になっている方におすすめの、改善方法を見ていきましょう。
《唇をつまむ方法》
これは、口輪筋を鍛える方法で、やり方はとても簡単です。
①指で、上唇を軽くつまんで、20回引っ張る
②指で、下唇を軽くつまんで、20回引っ張る
③唇をぎゅっと尖らせたまま3分キープする
この一連の動作を、1日3回以上行って下さい。
《あいうべ体操》
口周辺の筋肉を鍛える方法で、インフルエンザ予防のために小学校で取り入れるところが多くなっている、おすすめの体操です。
口呼吸から鼻呼吸へと移行することにより、インフルエンザにかかる子どもの数が減少したということで、TVでも取り上げられています。
この体操もとても簡単です。
①「あー」と口を大きく開く
②「いー」と口を大きく横に開く
③「うー」と口を強く前に突き出す
④「べー」と舌を突き出して下に伸ばす
この一連の動作を1セットとし、1日30セットを目安に行って下さい。
《小顔運動》
口まわりの筋肉を鍛える運動で、小顔になれるとTVでも数多く取り上げられている運動です。
①歯と唇の間に舌をいれ、右回りに口内を一周することを10回行う
②次は、左回りに一周を10回行う
この動きを1セットとして、1日5セットを目標に行って下さい。
睡眠中のよだれ改善が期待できる枕!
次に、枕が合わずに口呼吸になっている場合です。
枕が高すぎても低すぎても駄目で、睡眠中のよだれを改善するには、自分に合った枕を選ぶことが必要です。
では、どのようなポイントに注意して選べばよいのでしょうか?
そもそも、人間は、正しく立っている時の姿勢を、そのまま横になった時もキープできると快適に眠ることができます。
ただ、人間の背骨はS字状になっているため、どうしても敷布団と体の間に隙間ができてしまいます。
この隙間のうち、首の部分を埋めてくれるのが枕です。
そのため、この隙間を自然に埋めてくれ、安定感のある枕が理想的といえます。
では、理想的な枕の条件とはどういうものなのでしょうか?
《高さ》
体型などにより、理想的な枕の高さは違ってきます。
そのため、正しく立っている時の姿勢を寝ている時にとれるような寝姿勢を目標にしましょう。
ポイントとしては、2つあります。
【肩口から頭にかけての傾斜が10~15度】
この角度であれば、頸椎の角度も自然なままで、肩や首の筋肉も緊張することなく、リラックスした状態で眠ることができます。
さらに、頭の位置が心臓よりも上にくるので、血流の乱れを防ぐこともできます。
【顔の傾きが0~5度】
顔の角度が若干傾き加減であれば、気道を圧迫することなく、睡眠中も楽に呼吸ができ、寝やすくなります。
ただ、太り気味の方や顎の下に脂肪がついている方だと、傾きが0度の方が呼吸しやすいという場合もあります。
そのため、自分の体型に合った角度を見つけることが重要です。
《硬さ》
枕の硬さはとても重要です。
硬さが合わず、首の隙間が埋められない場合、後頭部が圧迫されたり首の付け根や肩の筋肉が緊張しっぱなしになるため、朝起きた時に首や肩が痛くなることがあります。
そのため、枕を選ぶ時に必ずフィット感を確かめる必要があります。
人によって自分に合う硬さは違うため、自分の頭に合ったフィット感かどうか、その硬さで首の隙間が埋められているかどうかを確認して下さい。
《素材》
安定感とは関係ありませんが、素材も重要なポイントです。
現在売られている枕には、そば殻やフェザー、低反発など、いろんな材質で作られたものがあります。
そのため、アレルギー反応を起こさないか、臭いは大丈夫か、通気性が悪くて蒸れないかなどもとても需要です。
自分の好みに合わせた枕を選ぶようにしましょう。
以上のような基準をもとに、自分に合った枕を選びましょう。
それにより、よだれの原因となる口呼吸を防げるはずです。
鼻呼吸を促す商品グッズ!
よだれの原因となってしまう口呼吸は、様々な悪影響を及ぼしてしまうので、できるだけ改善する方が健康にもいいですし、清潔になりますよね。
しかし、体操や小顔運動をしたり、枕を買い替えたりと、「ちょっと面倒くさいなあ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
では、もっと手軽に口呼吸を改善する方法はあるのでしょうか?
ここでは、手軽にできるグッズをご紹介したいと思います。
《マウステープ》
鼻の下から下唇の下にまで、唇が開かないように止めるテープです。
これにより、睡眠中も唇が開かず、自然と鼻呼吸ができるとあって、人気のグッズです。
《鼻腔拡張テープ》
「ブリーズライト」という商品が有名ですが、鼻の上部にテープを貼り、鼻腔を拡張することで鼻の通りをよくするテープです。
これにより、鼻づまりなどで口呼吸になっている方の、鼻呼吸への移行を助けてくれます。
《口閉じ器具》
口の中に、樹脂製のマウスピースのような形の器具を入れて、口が開かないようにするものです。
前歯と上唇の間に器具を差し入れ、さらに器具の上に舌を置くと、段々と舌に器具が吸い付いてきます。
このように、口に器具を挟むと、外部よりも口の中の方が圧力が低い陰圧効果により、口が開かなくなるという仕組みです。
《顎固定のサポーター》
頭全体につけるサポーターで、顎をしっかりと固定してくれるので、睡眠中にも口が開かないような仕組みになっています。
伸縮性や通気性のよい素材を使っていたり、お洗濯して何度も使えるようになっている商品も多いので、毎日使う上でも使いやすい商品です。
このように、手軽に使える商品もたくさん売られています。
口呼吸が気になる方は、ぜひ利用してみてはいかがですか?
よだれの原因を改善して、快適な睡眠を!
睡眠中のよだれの原因やその改善方法をご紹介してきましたが、いかがでしたか?
主な原因である口呼吸は、歯や口臭トラブルの原因となったり、病気にかかりやすくなったりと、様々な悪影響を体に与えてしまいます。
そのため、口呼吸を改善することが、健康のためにもとても重要です。
口呼吸でお悩みの方は、ぜひとも今回ご紹介した改善方法を試してみられてはいかがですか?
自分に合っていれば、翌朝すっきりとした朝を迎えられますよ!