誰でも小さい頃からケガなどをして、消毒用アルコールにお世話になってきました。
一般的には、傷口にバイキンが入らないように消毒作用に優れているものですが、その他の用途もたくさんあります。
そして、よく耳にするエタノールにも消毒効果があります。
身近にあるエタノールと消毒用アルコールの違いや作用などを探ってみましょう。
エタノールと消毒用アルコールは実は同じもの?
聞いたことがあるけれど、実際は詳しいことはわからない、となりやすいエタノールですが、厳密にいうとエタノールはアルコールの一種です。
別名をエチルアルコールやエチルハイドレートと言われ、そして酒類の主成分であることから、酒精とも呼ばれています。
エタノールは、唯一アルコールの中で飲んでも毒ではない、身近なものです。
他のアルコールはとても有害なものが多いため、日常生活ではほとんど使われることがないそうです。
人がエタノール(アルコール)を摂取すると、中枢神経系を抑制する効果で「酔う」という症状が出ます。
さらに、長期にわたり摂取し続けるとアルコール中毒になり、脂肪肝や肝硬変などの原因にもなるので、飲んでも毒ではないアルコールですが、やはりほどほどがいいようです。
その他のエタノールの種類には、消毒や除菌、掃除、燃料など用途により種類があります。
エタノールの性質は、用途に合わせた割合で水と混合でき、水だけではなくいろいろな有機溶媒とも混和することもできます。
身近な商品で言ったら、消毒用アルコールや消毒用エタノールなどと表記されているものですね。
身近にあるエタノールの種類【その1】
では、身近にあるエタノールの種類をご紹介していきましょう。
最初に、医薬品として販売されている消毒用や、消毒用アルコール(エタノール)は、私たちが通常ドラックストアで最も身近に目にするものです。
不純物がないので、肌に使用できる医療品として指定されているものが多くあります。
消毒用のエタノールは80パーセント、水20パーセントの割合のものが殺菌効果が高く、100パーセントのものは逆に殺菌効果が弱いのが特徴です。
不純物が少なく、水とエタノールだけで構成されている消毒用エタノールは飲むことはないものの、酒税がかかって販売価格が高くなっています。
それとは逆に価格が安く、飲用できないイソプロパノール(アルコールの一種)を含み、酒税がかからない消毒用エタノールもあります。
こちらは、傷などには向いておらず、手の消毒のみに適しているようです。
そして、インフルエンザ流行時期などに使われる、薬用ハンドジェルは、アルコールが肌の油を奪ってしまう性質を予防するために、保湿成分が含まれています。
こちらは医療品ではなく、日常的には問題はなく使用できます。
身近にあるエタノールの種類【その2】
また、同じように日常的に使用しているエタノールを、掃除用として活用する方法があります。
なかには、掃除用エタノールというのも存在します。
アルコール濃度は、製造元によりバラつきがありますが、殺菌・消毒効果を期待するならアルコール濃度が80パーセント程度のものを選んだ方がよいですが、掃除用とするなら、濃度が高い方が効果があります。
精密機械などの洗浄や清掃、パソコンの掃除などに使用したい場合には、無水エタノールを使うとよいでしょう。
無水エタノールは純度が高く、酒税がかかるために価格はやや高めになっています。
純度が高いため、消毒効果や殺菌能力は弱いものの、油汚れなどの洗浄効果には非常に優れています。
油汚れには最適な無水エタノールですが、消毒用としては不向きです。
消毒用アルコールまたは消毒用エタノールは、無水エタノールと水をを8:2の割合で薄めたものです。
無水エタノールは99.5パーセント以上のエタノールなので、もし消毒用として使う場合には、精製水で80パーセントまで薄める必要があります。
このようにあまり知られていないエタノールには、濃度の違う種類がたくさんあるのです。
消毒用アルコールとエタノールは同一ものということと、エタノールの種類がわかったところで、消毒用アルコール(エタノール)について、もう少し詳しくお話していきましょう。
消毒用アルコール(エタノール)の詳細
消毒用アルコール(エタノール)とは医療分野で使用される外用のアルコール製剤です。
消毒用アルコールには、エタノールが76.9から81.4volパーセント含まれており、イソプロピルアルコールを添加したものは、消毒用エタノールipと呼ばれています。
アルコールには、メチルアルコール、プチルアルコールなどのアルコール族の仲間があります。
私たちが一般的に手に入れることができるのは、アルコールランプに使うメチルアルコールです。
一般的にメチル自体は、消毒には使うことはありません。
このようなことから、消毒用アルコール(エタノール)は人体への毒性は低い「エタノール」と「イソプロパノール」、消毒用エタノールとイソプロパノールは、医薬として日本薬局方で規定がされています。
消毒用アルコール(エタノール)を有効な濃度で使うことにより、細菌などのたんぱく質の変性や、溶菌などの殺菌作用を発揮するのです。
ある程度の水がある状態は溶菌作用が優れ、そして高濃度の場合には脱水作用が起こり、変性作用が強くなります。
その殺菌効果が最も高いのは、70パーセントから80パーセントの濃度の水分配分です。
消毒用として使用するためには、水分配合の割合は重要なのです。
消毒用アルコール(エタノール)のはたらき
水分配合が重要な消毒用アルコール(エタノール)は、アルコール剤を有効な濃度で使用すると、細菌細胞の細胞壁を壊して死滅させる効果があります。
そして、適した条件で有効なウイルスや細菌に効果を発揮します。
しかし、有効ではない条件で、ウイルスや細菌に使用しても効果は期待できないのです。
日本薬局方の消毒用アルコール(エタノール)の項目では、殺菌効果の期待できない菌があることが記載されています。
消毒用アルコール(エタノール)の効果がない細菌には、炭疽菌・破傷風菌・セレウス菌・ボツリヌス菌・ウェルシュ菌などの芽腫を形成する細菌があります。
また、ノロウイルス・ロタウイルス・手足口病・ヘルパンギーナを引き起こす原因のエンテロウイルスや、アデノウイルス感染症の原因であるアデノウイルスは、若干の効果しか望めません。
なぜなら、この細菌やウイルスたちの薬剤に対する抵抗力がとても強いからなのです。
これらの細菌やウイルスに対して、アルコールの他に除菌効果があるといわれている、カテキンなどや果物エキスを加えると、除菌効果があると一説にはあるようですが、まだ確実性は薄いようです。
効果を落とさないようにするための注意点は、水回りの除菌や手を消毒する際には、水分が混ざらないようにすることです。
アルコールは、水分配合で効果が左右されてしまう性質を忘れないようにしましょう。
消毒用アルコール(エタノール)剤の使い方
水分配合で効果が左右されてしまう消毒用アルコール(エタノール)ですが、具体的な使用方法をお話しましょう。
日常生活で、除菌といえば思い浮かぶのはキッチン関係ではないですね。
肉や魚を切った後のまな板や包丁は、必ず除菌、消毒するように心がけましょう。
洗剤できれいに洗浄し、十分に乾燥をさせてから表、裏や取っ手などにも消毒用アルコール(エタノール)をスプレーします。
それと同様に、食器や弁当箱の細かい部分の除菌消毒にも消毒用アルコール(エタノール)剤は使うことができます。
これは、手などの消毒にも同じことが言えます。
手をしっかりと洗い、しっかりと乾かした後に適量を十分に乾くまで、丁寧に揉みこみます。
そして、使用するアルコール剤は、医薬品や医薬部外品のものを使用しましょう。
その他のアルコール剤が売られていますが、薬事法では人体の消毒目的とする使用は、医薬品または医薬部外品以外は認められていないからです。
消毒用アルコールやエタノールは、これらの効果以外にも役立っています。
皮脂の汚れやタバコのヤニ落としにも効果を発揮するので、窓ガラスの掃除に使うことができます。
そして、蒸発しやすいため、二度拭きの必要がなく便利です。
正しい使い方で最大効果を!
便利で簡単に手に入りやすい除菌や消毒剤ですが、正しい使い方をしないとせっかくの除菌消毒の効果がなくなってしまいます。
また、効果の高いものは比較的、濃度が高く人体への影響が考えられるので、取り扱いには十分注意しましょう。
そして、清潔で気持ちよい生活を送りましょう。