かんたんベッドメイキング~シーツは三角に折って仕上げる~

ベッドメイキングと聞くと何をイメージしますか?

ホテルの客室を思い出しがちですが、実は病院や介護施設でもとても重要な技術とされています。

看護や介護の現場では、シーツのコーナーを三角に折り込む“三角折り”が主流になっています。

今回は、このベッドメイキング技術“三角折り”について学びたいと思います。

場所や環境によって変わるベッドメイキング

ホテルの客室の、汚れ1つないシーツやリネンで整えられた美しいベッドは、とても気持ちが良いものです。

ホテルのベッドメイキングは、宿泊客に快適に過ごしてもらうことが大きな目的です。

気分よく快適にゆったりと休んでほしいという、言わば「おもてなし」の心を代弁したものです。
それゆえ、時にホテルの格や質を判断する材料にもなります。

では、看護や介護の現場におけるベッドメイキングとホテルのベッドメイキングは何が違うのでしょうか。

もちろん「気分よく快適に」という目的は、看護や介護の現場においても重要です。
しかし、それ以上に医療ケアとしてのベッドメイキングが求められます。

寝たきりの患者や入居者の場合、シーツのシワ1つで褥瘡(じょくそう)と呼ばれる床擦れを発症してしまいます。

こういった場合、シワを伸ばして圧迫部位を作らないようにシーツをセットしなければなりません。
体の状態によって、わざと足元に余裕を持たせたりすることもあります。

シーツの折り返しも三角だけではなく、いろいろな方法があります。

看護・介護においては、ベッドメイキングは立派なケアの1つなのです。

看護・介護の現場では基礎中の基礎~シーツを三角に折る理由~

シーツのセット方法はいろいろなパターンがあります。

そのうち、看護・介護の現場でのスタンダードは、シーツを三角に折り込む方法と言われています。

もちろん、施設によっては他のセット方法を採用しているところもあります。

ただ“三角折り”と呼ばれる方法は基礎中の基礎とされており、看護学校やヘルパー講座などで必須の技術として学びます。

では、なぜシーツを三角に折る“三角折り”がスタンダードになっているのでしょうか。

それは、他の方法より三角折りの方がシーツが重なる部分が大きくなるからです。

重なる部分が大きければ大きいほど摩擦力が増し、シーツがずれにくくなります。
シーツがずれにくいということは、長時間ベッドをきれいな状態に保つことです。

少しの動きでシーツがずれてしまうようでは、上記にもあるように褥瘡(じょくそう)の発症や悪化につながります。

たかがシーツ、されどシーツ…ですね。

それでは具体的にベッドメイキングを学んでいきたいと思います。
看護や介護の現場だけではなく、自宅でも活用できますのでお試しください。

ベッドメイキングのポイント①~必要備品の準備~

ベッドメイキングを始める前に、必要なものをあらかじめ準備します。

新しいシーツ、枕カバー、マットレスパッド、布団カバーなどは、はじめに使用するものを一番上にし、使用する順に重ねておくとスムーズです。

そのほか清掃用品も準備しておきましょう。

ゴミ袋はもちろん、粘着テープつきローラーなどを準備しておくとマットレス清掃に便利です。

また、シーツ交換時はほこりや塵が舞い上がります。

自宅のベッドルームで行う場合は、可能であれば窓を開けて換気したり、マスクを着用することをおすすめします。

看護・介護の現場では、ベッドメイキングを行うことを周知してから始めます。

窓を開けさせてもらったり、ベッドを仕切るカーテンがあればカーテンを閉めるなど、同室の方へ配慮しているようです。

ベッドメイキングは、「素早く丁寧に」が基本です。

不慣れなうちは備品の準備に加えて、シーツを三角に折る手順を頭の中で復習しておきましょう。

ベッドメイキングのポイント②~シーツの交換~

シーツの交換はシーツを取り外すところから始まります。

使用しているシーツの上には、皮膚、髪の毛、フケ、食べカスなど、目に見えなくても多くのゴミが溜まっています。

何も考えずにシーツを外してしまうと、これらのゴミが部屋に落ちてしまいます。
シーツを外すときは、ゴミを落とさないようにシーツの端から巻き込むようにゆっくりと外します。

最後は三つ折ほどの大きさに折りたたみ、洗濯に出しましょう。
シーツを取り外したらマットレスを掃除します。

どれだけ気を付けてシーツを取り外してもゴミは落ちてしまうものです。
粘着テープつきローラーなどを使って、マットレス上のゴミを取り除きます。

この時、足元のゴミを枕元へ運んでしまわないよう注意しましょう。
ポイントは、枕元から足元に向かって掃除をすることです。

マットレスの清掃が完了したら、いよいよシーツ交換です。

まずベッドの横に立ち、自分がいる側の半分にシーツを広げます。
この時、シーツの表裏を確認しましょう。

シーツにも表裏がきちんとあり、肌触りのよい面が表になります。

反対側にもシーツを広げたら、いよいよベッドメイキング最大の難関です。

シーツのコーナーを三角に折り込んでいきます。

ベッドメイキングのポイント③~シーツのコーナーを三角に折り込む~

シーツを広げて表裏を確認したらシーツの端を処理していきます。

まず頭側のマットレスを持ち上げ、シーツでマットレスを包み込むようにしてマットレスの下に挟み込んでいきます。

足側のシーツも同様の手順で、マットレスの下に挟み込んでいきます。
四隅ごとに同じ手順でしっかり挟み込んでいきましょう。

この挟み込みがしっかりできれば、シーツのコーナーを三角に折り込むベッドメイキングがやりやすくなります。

では、いよいよ“三角折り”です。

まず、側面に垂れ下がったシーツの裾を頭側から30㎝ほどのところでつまんで上に持ち上げます。
そうすると、マットレスのコーナーを頂点にした三角形になります。

持ち上げたシーツは、そのままベッド側に倒します。

まだ側面に垂れ下がっているシーツを足側に引っ張り、シワをのばしてからマットレスの下に折り込みます。

次に、ベッド側に倒したシーツを戻していきます。

戻す時にもう一方の手で頭側の端っこのシーツを押さえて、指1本分程度の重なりを作ります。
そのまま側面を押さえつつ三角形を崩さないようにおろしてマットレスの下に挟み込みます。

シーツをマットレスに挟み込むときは手の甲を上にしておくのがポイントです。
そうすれば手を引き抜くときにシーツが崩れてしまうこともありません。

頭側が終了したら足側からシーツを引っ張ってシワを伸ばし、足側のコーナーも同様の手順で整えます。

三角に折り込む以外にも!ベッドメイキングいろいろ!

ベッドメイキングには、その他にもいろいろな方法があります。

今回はシーツを三角に折り込む“三角折り”を見てきました。

他にも、四角に折り込む“四角折り”、ホテルでよく使われる“キャラメル折り”などが1枚のシーツを使ってベッドメイクする方法です。

どの方法も、マスターできればシワなく美しいベッドが仕上がります。

最近では、ボックスシーツやワンタッチシーツ、敷布団カバーなど時間も手間もかけず、簡単に交換できる製品もあります。

しかし、手間と時間をかけて美しく整えられたベッドはとてつもない贅沢な時間を与えてくれます。

アクセントに枕やクッションをたくさん置いてみたり、デュベタイプのベッドカバーやベッドスローを使ってみてもいいですね。

ベッドメイキングは日常のプチ贅沢

看護や介護、ホテルといった現場で培われたプロの技術には、使う人への思いやりが詰まっています。

使う人のことを考えて、1枚の布地で快適な空間を作り出すベッドメイキング。
シワ1つない美しく整えられたベッドは、少しだけ贅沢な気分にさせてくれます。

最近では、手順を動画で説明しているサイトもありますので一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。