世の中には潔癖症で常に身の回りを綺麗に保たなければ気が済まない人がいます。
それとは反対に所謂ゴミ屋敷に住む人もいます。
それは両極端な特性ですが、なかには「汚いのは嫌だけど綺麗すぎると落ち着かない!」という人もいるはずです。
それっておかしいことなんでしょうか?
今回はそんな部屋が綺麗すぎると落ち着かないという人の心理を見ていきましょう。
部屋が綺麗なのはいいことだけど…
潔癖症や強迫性障害のようにこだわりが強く表れすぎてしまい、生活自体に支障をきたしてしまう場合もあります。
しかし、そうでない場合には、部屋に適度に物があり、道具などが所定の位置に概ね正しく置かれていれば違和感のない空間と感じる方が多いはずです。
一般的な日本の家庭では部屋の広さの割りに物が多く、モデルハウスのように常に整理整頓が行き届いている家庭は少なめかと思います。
これは家族暮らしの家庭に限らず、一人暮らしの場合にも同様で、生活感というのはこの適度な雑然さによって生み出されていると言えます。
モデルハウスのように全ての家具や家電がきちんと配置され、ゴミやほこりが見当たらなく、お布団に乱れもないような部屋というのは生活感を感じづらく、人が住んでいると連想しづらいため、それが違和感に繋がると考えられます。
そのため、部屋が綺麗すぎると生活感を感じづらく、落ち着かないのは当然の心理と言えます。
綺麗すぎて落ち着かない部屋を変える
引っ越したばかりの部屋ではあまり落ち着けなかったり、友人宅ではくつろげなかったりするのはごく自然なことです。
しかし、住み始めて半年経つ部屋や、親友宅ならくつろげるのではないでしょうか。
この状況は、自身の心理以外に何か変化が起きているのでしょうか。
自分の部屋はともかくとして、親友の部屋が何か変わったわけではないはずです。
落ち着くか否かは心理的影響が大部分です。
部屋が綺麗すぎると落ち着かないのも心理的なものなのです。
そのため、気の持ち様だと言われてしまうこともあるかもしれませんが、現にそう感じていることを大切にする必要があります。
そして、落ち着ける部屋へと変えていけばいいのです。
部屋が綺麗すぎて落ち着かないのであれば、テーブルの上に雑誌やリモコンなどを雑然と置いたままにしても構いませんし、ベッドやイスの上がいつも綺麗である必要もありません。
最低限掃除さえしていれば、見た目上散らかっていたとしても不衛生というわけではありません。
片付けるとしても、ほどよく生活感が残る程度でやめてしまえば、それほど違和感のない空間になることでしょう。
落ち着かない部屋に長くいるということ
皆さんが一番落ち着くのはどこですか?
多くの方にとって、それは自分の家、あるいは自分の部屋だと思います。
そもそも、何故落ち着く環境というのが存在するのでしょうか。
落ち着くというのは、ストレスが掛かっていない状態であり、逆に言えば落ち着かないと感じるのであれば、その環境には何らかのストレス源があります。
代表的なストレス源として隣家の生活音、外気の臭い、湿気、虫etc…
様々なストレス源がありますが、意外と見過ごされがちなのが視覚からのストレスです。
これは色や形、あるいは物の配置や数などからも感じられ、本人さえ気付かない内に蓄積していきます。
部屋が綺麗すぎると落ち着かないという人は、既に視覚からのストレスを強く受けています。
ストレスを感じる環境に長くいることは心身共に負担です。
ストレスを自覚していなくとも、部屋というのは長くいる空間ですから、気が付いたタイミングで変えていく必要があるでしょう。
部屋が綺麗すぎると落ち着かない心理と分離不安
心理学用語で分離不安という言葉があります。
この分離不安とは、愛着を持つ物と離れることを過度に不安視することを指します。
子供にはごく普通に見られる心理状態で、大人になるにつれ見られなくなっていきますが、大人でも1割弱が程度の差はあれこの分離不安に当たると言われています。
部屋が綺麗すぎて落ち着かないのはごく自然な心理だと先程お話ししましたが、過度に身の周りに物がないことに不安を感じる場合にはこの分離不安に当たる可能性があります。
ですが、程度の差はあれ、手の届く範囲にお気に入りの物を置いておきたいと思うものです。
それ自体をおかしいと思う必要はなく、自分自身の心理に適った環境を自ら作ることが大切です。
置き場所を決めたつもりがいつもベッドの宮にリモコンを置いてしまう、リビングに置いてあるクッションが近くになきゃ不安、そんなパターンに気付いたなら、そのパターンに合わせて環境作りをすればいいんです。
どこよりも落ち着ける空間を作ることを目指し、自分自身の部屋を少しずつ変えていきましょう。
散らかっているように見えてそうではない?
部屋が綺麗すぎると落ち着かないという人の中には、手に届く範囲に使うもの全てを置いておくという人も多いのではないでしょうか。
端から見ると散らかっているように見えますが、本人にとってはどこに何があるか分かっていて、使いたいときにすぐに手が届くため非常に合理的な選択になっています。
散らかっているように見えて実はそうではないんですね。
このような場合、確かに見栄えこそよくありませんが、本人にとってはストレスなく過ごせる環境を作ることができているわけです。
無理に整理整頓せずとも、自分にとってよりよい環境にすることができているのは素晴らしいことです。
何か一つを選択するということは他の選択肢を全て捨てるということです。
どちらも選択する余地がないのなら、思い切って一つを選択し他は綺麗さっぱり捨ててしまうほうが精神衛生上いいでしょう。
何を優先させるか明確にさせてしまえばそれほど難しくはありません。
よりよい環境を作るにはこういった考え方も重要になってきます。
心地よい住環境は人それぞれ
人には共通する心理が沢山ありますが、好みというのは人それぞれです。
心地よい住環境を実現するには、自分自身がどんな環境に心地よさを感じるか模索する必要があります。
部屋が綺麗すぎて落ち着かないという事実は、心地よい環境を作ることに活かすことができます。
ライフスタイルによる違いやデザインの好みから住環境を見直すことは一般的ですが、心理面を考慮して住環境を見直すことはまだまだ普及していません。
例えばキッチンの使いづらさによるストレスは、キッチンを使うときのみに感じるもので、次第にキッチンを使わなくなるという反応を示すのみです。
ですが、部屋全体の色や形、全体からの違和感というものは、その部屋で過ごす間ずっとストレスを与え続けるのです。
見過ごされがちですが、こういった点も考慮することが心地よい住環境を作る上で大切です。
些細なポイントではありますが、そういった些細なポイントをクリアしていくことで理想的な住環境を実現することができるはずです。
部屋が綺麗すぎると落ち着かないのはおかしくない
ここまで読んで頂きありがとうございます。
部屋が綺麗すぎると落ち着かないという人で整理整頓しなければいけないという気持ちを持っている人も多いかと思います。
ですが無理に部屋を綺麗にすることはなく、自分自身にとって快適な住環境を作ることが大切です。
皆さんがよりよい生活を送る上でこの記事がお役に立てば幸いです。