もう海外旅行で悩まない!ベッドメイキングのお礼のあれこれ

LCC航空券や、格安航空券が増えて、海外旅行がグッと身近になりました。

海外のホテルで、非日常な生活をすることは刺激的ですが、滞在国の習慣や、マナーで悩む人は多いのではないでしょうか?

ホテルのベッドメイキングに対して、お礼のチップを「払うのか」「払わないのか」、また、いくら払ったらいいのかもそのひとつです。

旅先で悩まないように、「ベッドメイキングのお礼」について学んでいきましょう。

ベッドメイキングは思ったより大変な仕事

ベッドメイキングのお礼の話の前に、ベッドメイキングが実は大変な仕事ということをお話していきます。

ホテルの客室係が、毎日きれいにベッドの周辺を、快適な状態に整えてくれるのが、ベッドベッドメイキングです。

日本でも海外でも、ベッドメイキングは、私たちが気持ちよく滞在できるように、作業をしてくれる方の細かな仕事によって成り立っています。

有名ホテルでも行われている、プロのベッドメイキングの仕方とは、どのようなものなのでしょうか?

<プロのベッドメイキング>

まずは、最初に枕カバーからセットし始めます。

枕の中心に折り目を入れ、二つ折りにしてから、カバーの中に枕を入れます。
シワを伸ばして角を張り、カバーの先を折り返して、手早く折り込みます。

シーツは、足元側からマットレスの下に入れ込み、折り目が三角になるように意識して折り込んできれいに仕上げます。

ベッドの両サイドに垂れているシーツも、引っ張りながらマットレスの下に入れ込みます。

二人で行うとシワがなく、きれいに仕上げることができますが、一人で作業をしている客室係の人もいるので、単純作業と思われがちですが、心配りと技も必要になってきます。

最後は、枕カバーとシーツもきっちり引っ張って、垂れている余計な部分がないように仕上げます。

他にもベッド以外に、タオルにも、たたみ方の基本があります。

タオルの素材だけではなく、柔らかく使い心地を見た目でも感じてもらえるように、折り目を正面に向けないなどの心配りもされています。

一部屋だけではなく、ベッドメイキングの係の人は、たくさんのベッド・客室の数だけ作業を行うのですから、大変な業務をこなしているのです。

そう考えると、部屋に入って来た時に、ピンと張られたシーツやふんわりとしたタオルを見ると、感謝の気持ちから自然にお礼をしたくなりますね。

ベッドメイキングのお礼=チップ?本来の意味は?

先の項で、ベッドメイキングは、大変な仕事だということが分かっていただけたかと思います。

そこで、ベッドメイキングのお礼についてお話ししていきましょう。

ベッドメイキングに対して、お礼のお金を枕元に置くことは、別名「ピローチップ」とも呼ばれています。

「ありがとう」の感謝の気持ちをこめたチップは、コミュニケーションのひとつとされています。
日本人の考えや習慣では、「サービス=無料」サービスは受けて当たり前という認識があります。

逆にアメリカなどでは、「サ-ビス=有料」という考えが基本となっています。

つまり、「サービスのお礼=チップ」なので、海外のチップの習慣がある国に行った時には、きちんと意味を把握してから渡すようにしましょう。

日本での「お礼=心づけ」は、チップ本来の意味とは違っていて、あくまでも感謝の気持ちをお金で表すものなので、あげてもあげなくてもいいチップとは意味が違ってきます。

チップは、日本の「心づけ」とは違って、評価に近いのです。
チップ文化のアメリカでは、チップが賃金の一部と考えられています。

そのため、チップをもらうことが多いレストランのウェイターや、ホテルのベルマン・ドアマンなどの給料は、低く設定されていることがほとんどです。

しかし、ベッドメイキングのような、直接お客様と接する機会が少ない仕事をする人の給料は、若干高めに設定されているようです。

アメリカは、このような仕組みをとっているため、チップを払わない人や、払ったチップが相場よりも安い場合では、「非常識なお客様」と思われてしまうことが多々あるそうです。

海外でのベッドメイキングのお礼の相場

海外でのチップは、働いている人にとって収入の一部と考えられていますが、私たちは、宿泊先のホテルでどのくらいの金額を、ベッドメイキングのお礼として渡したらいいのでしょうか。

アメリカでは1回2ドル程度、カナダでは料金の10%~15%、フランスは1から2ユーロ、ドイツ・イタリアも1ユーロ、富裕層の集まる香港では10ドル程度、エジプトでは枕銭として1から2ポンド程度となっています。

チップ語源の発祥の地、イギリスでは、現在は原則不要になっているそうです。

他にもよくみられるケースとして、どこの国に滞在していても、帰国前に使いきれなかった現地の低額紙幣やコインを、ベッドメイキングのお礼として、置いていくこともあります。

また、とてもきれいにベッドメイキングをしてくれた場合は、上記の金額よりもちょい足ししてみてもいいかもしれません。

しかし、すでにサービスチャージとして、宿泊代金に含まれている場合もあるので、予約時に確認をしておくことも必要です。

海外旅行でのベッドメイキングのお礼の置き方

ベッドメイキングのお礼のチップを直接手渡す人は少なく、最後に部屋を出る時に置いてくることが多いようです。

よくあるのは、枕の下にそっと置いている・枕の上に置いている・枕の横に置いている・ベッドのサイドテーブルに置いているなど、置き場所はさまざまです。

しかし、枕の下やシーツの陰に置かれたものは、気付かれない場合が多く、シーツと一緒にくるくる丸められて洗濯されてしまうことがよくあるのだそうです。

そして、なぜか枕の下に置くのは日本人で、海外の客室係には不思議に思われています。

また、ベッドのサイドテーブルに置かれたお金は、「お客様の忘れ物」と思われがちで、せっかくのお礼はそのまま忘れ物として、保管されてしまうこともあります。

このようなことから、やはり枕元、枕の上に置くのが気が付いてもらいやすいようです。

さらに、「thank you」の一言のメッセージを封筒やメモで添えると、より一層お礼の気持ちが伝わるかもしれません。

メッセージを添えると、置き場所は問わずチップだと分かりますし、感謝の意が客室係やメイドさんに伝わります。

日本・海外、お礼のしかた

日本でも海外でも、ホテルのベッドメイキングや、タクシードライバーへ渡すチップがありますが、お金以外でのお礼の仕方には、物をあげて感謝の意を表す場合もあります。

友人知人の間では、相手の好きな食べ物やお菓子をプレゼントしたり、海外でよくあるホームパーティーに招待したりすることもあります。

気心の知れた間柄でも、感謝の気持ちを込めて、手紙を書いて渡すこともあります。

友人・知人を招待する結婚式では、日本では出席してくれた人たちに対してのお礼として、「引き出物」が出席者に渡されます。

しかし、根強いチップ習慣のあるアメリカでは、「引き出物」といわれるものはなく、式の後に新郎新婦から「ありがとう」のメッセージカードが送られてくるそうです。

そして、日本では、道を譲ってくれたりした車に対して、お礼をする「サンキューハザード」などがあります。
「ありがとう」の意味を込めて、1~3回ほどハザードをカチカチします。
知らない人から、自分のした行為に対して、お礼をしてもらえることは気持ちのいいものです。

さまざまなシチュエーションで「お礼」をすること・されることは、双方気持ちがいいですね。

また、異例として、イスラム圏では「バクシーシ」と呼ばれるチップの習慣に似た、日本人には考えられないような習慣があります。

お礼の意味とはかけ離れ、お金持ちがそうでない人に、施し物をするような意味のもので、「持たぬ者が持つ者に積極的にせびる」というかたちになっています。

お礼や感謝の気持ちとは、全く違う意味を持っているものもあるようです。

なぜ日本では、チップの習慣がないのか?

日本の旅館やホテルでは、ベッドメイキングのお礼をする慣習はほとんどありません。

料金の中に、サービス料のひとつとして含まれている場合が多く、お礼としてもらうチップの性質は、個人に対するサービスとしては際立ってしまいます。

過去に行った、アジア各国での「チップを渡す比率が高い国」の調査結果では、最も高い比率のタイの89%に比べて、日本は1ケタの3%と、かなり低い比率になっています。

そもそも、日本のサービス業で働く人の賃金は、勤務先で決められた金額が、給料として支払われています。

プロとしてサービス業務を行うことが使命であり、サービスに対しての報酬であるチップへの概念がないことからのようです。

先にも述べた、心づけやお茶代などは、紙に包んだり祝儀袋・ポチ袋に入れて渡すことが慣習とされていて、そのままの硬貨・紙幣を渡す事は、相手に失礼な行為と思われがちです。

それは、やはり「お礼=心づけ」の概念からなのですが、海外の人から見れば、「日本はチップが不要な国」として不思議がられています。

気持ちよく、自然にありがとうを

「お礼=チップ」は実際、国によって賛否両論ではありますが、「感謝の気持ち」を表すものです。

「ベッドメイキングをしてくれたお礼のチップはどうしよう…」と旅行中に考えていては、せっかくの海外旅行も楽しさが半減してしまいます。

素直に「ありがとう」と思えた時に、「心づけ」として払えばいいのではないでしょうか。