シルクと言えば高級なイメージですが、シルクのお布団は他の素材のお布団と具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
また、他のお布団のようにお洗濯は出来るのでしょうか。
そして、お洗濯出来るのか不安なお布団と言えばもう一つ、羽毛布団がありますよね。
羽毛布団を洗濯機に入れても良いのでしょうか。
今回はそんなシルクのお布団と羽毛布団の洗濯についてご説明します。
シルクについて
シルクが発見されたのは今から4,500年ほど前のことです。
中国の王妃がお湯の中に蚕の繭を落としてしまい、それを箸で拾い上げると糸が箸に巻き付きました。
これが絹糸の始まりです。
この糸を織物にして西へと売るために、現在の長安とトルコのアンタキアを繋ぐ長い道が作られました(シルクロードのことです)。
絹糸は金と同じくらいの価値があるとされていたので、蚕から糸を作る技術は誰にも教えられず、余程のことがない限りは隠されていました。
日本には弥生時代に、朝鮮半島から持ち込まれたことがシルクの始まりです。
今では、シルクは高級素材のひとつとして扱われており、ほとんどは衣類に加工されています。
特徴としては何と言ってもそのつやの良さが挙げられます。
これは繊維の断面が三角形になっているので、光が当たるとプリズムのように跳ね返すからです。
さらさらとした感触に、熱があまり伝わらないので夏は涼しく、冬は暖かさを感じられます。
これを活かして毛布が作られることもあるようです。静電気が起こりにくいのも嬉しいですね。
難点は紫外線に弱く、直射日光を浴びると色が変わってしまいます。
水分をこぼすとシミになりやすいのですが、摩擦に弱いので洗濯がやりにくいというデメリットを抱えています。
シルクのお布団の特徴
高級素材であるシルクは毛布にも使われています。
湿気を吸い取りやすいため、汗をどれだけかいても常にさらさら感が維持出来ます。
吸収した汗は自然と空気中に逃げていくので、こまめに干す必要がありません。
湿気が籠もらないというのは非常に有り難いことでしょう。
何しろカビが発生する確率が減るのですから。
また普通のお布団は中の綿が埃へと変わり、ハウスダストを引き起こすことがありますが、シルクのお布団に使われている真綿は耐久性に優れているのでそう簡単に埃を出すことがないのです。
これなら埃などでアレルギー反応が出る人でも安心して使えます。
難点は手入れがなかなか大変だということでしょう。
真綿には動物性のタンパク質が含まれているので、滅多に起こることではないのですが、虫が湧く可能性があります。
だからといって日光に弱いシルクは天日干しが出来ません。
その上、一般家庭で洗濯も不可能という厄介な素材なのです。
おまけに品質劣化のペースも早く、大体5年ほどもすれば、質はだいぶ落ちてしまいます。
値段が高く、性能面でも決して悪くはないものの、長持ちしないというのはデメリットですね。
シルクのお布団の洗濯やお手入れについて
シルクの毛布と言えば、一般家庭での洗濯は不可能と言われていました。
しかし最近は家で洗えるタイプも存在しているようです。
洗濯機が使えるものには「洗濯ネットを使用すること」「中性洗剤で洗うこと」「自然乾燥させること」といった表記がされています。
湿気を逃がしやすい素材なので、風通しの良さそうな場所で陰干しさせましょう。
ドライクリーニングが出来るかどうかは洗濯表示のところに記されています。
ただし出来るタイプでも、クリーニング店によっては対応していない場合があるので、引き受けてくれるかどうかをきちんと確かめましょう。
日光に弱いシルクは、上述した通り陰干しを行います。
乾くペースは速く、1時間ほどで乾きます。
なお干している最中に、いつもの癖で叩きたくなるかもしれませんが、絶対にやってはいけません。
シルクの繊維は細かいため綿埃が出ることはないのですが、タンパク質の塊のようなものなので、ダニが好む環境なのです。
陰干しや掃除機を掛けるのはこまめにやりましょう。
ダニは乾燥した場所を苦手としているので、後はカバーを厳選すれば問題ないでしょう。
羽毛布団の洗濯方法
羽毛で出来た毛布を洗濯する場所は「自宅」「コインランドリー」「クリーニング」の3つになりますが、どれを選べば良いのでしょうか。
今回はそれぞれの利点と難点を見ていきたいと思います。
まず家の洗濯機を使う場合ですが、コストを考えるとこれが一番良いでしょう。
ですが手間は掛かりますし、失敗する可能性もあります。
またシルクなどの素材が使用されていると洗えないこともあるようです。
家では洗いにくいけれど、費用も抑えたい。そんな時はコインランドリーの出番です。
大きいものから小さいものまで様々なサイズの洗濯機が揃っているのでどんな大きさの毛布でも対応出来ます。
店によっては乾燥まで引き受けてくれる専用機が置いてあるところもあります。
しかし、かさばる毛布を持ち運ばなければいけないので、その点だけが面倒ですね。
最後はクリーニングを利用することです。
プロに任せておけば良いので、自分は何もしなくても、綺麗な毛布が手に入ります。
オプションとしてダニを防ぐ加工や、染み込んだ汗を抜いてくれることもあります。
家まで届けてくれるサービスを行っている店舗も存在します。
とはいえ費用と時間は掛かります。
頼んだ量にもよりますが、10日から2週間ほどは必要でしょう。
それぞれのメリットとデメリットを比べてみて、どれが最良の手段なのかをじっくり考えて下さい。
洗濯出来ない羽毛布団とは
羽毛で出来た毛布は基本的に洗濯機で洗えますが、洗濯してはいけないものもあるため、まずは洗っていいのかどうか、洗濯表示をきちんと確認するようにしましょう。
シルクやレーヨンなどが使われている高級なものは、洗濯機を使うのは避けた方が良いでしょう。
高級素材の繊維はとても細く、触った時に心地良さを感じられ、つやがよく出るように織り込まれています。
生地自体は繊細で摩擦に弱いので、洗濯機やコインランドリーを使うと破れてしまう可能性があります。
一番良いのはクリーニングに持っていくことでしょう。
クリーニングに頼む前に、キルティング加工がされているかどうかを調べて下さい。
キルティング加工とは羽毛の偏りを避けるために、碁盤の目のような形で縫い合わされたやり方のことを指します。
つまりこの加工が施されていないと、洗濯の最中に羽毛が片側に寄ってしまうことがあるのです。
ほとんどの毛布は加工済みですが、一応チェックをしておきましょう。
羽毛布団を洗濯機で洗ったときの失敗例
羽毛製の毛布を自宅で洗濯するのはなかなか大変な作業です。
今回は良くある失敗例をいくつかご紹介したいと思います。
・ボロボロになる
お布団の中に詰まっている空気を抜かなかったせいで、脱水を終える頃には生地が破けて羽毛が出てきてしまうことがあります。
シルクなどの素材が使われている場合は摩擦に弱いという性質を持つため、通常よりも破けやすいのです。
・変な臭いとカビにまみれる
無事に洗えたとしても油断してはいけません。
乾かすのもまた一苦労なのです。
もし中までしっかり乾燥出来ていなければ、詰め込まれた水鳥の羽が動物特有の臭いを放ち、さらに大量のカビが発生することがあります。
・肌触りが悪い
羽毛の特徴と言えばふかふかした感触ですが、洗濯時の温度や使った洗剤によってはこの感触が失われてしまいます。
羽毛布団はダウンとフェザーの2種類が入っていて、高級なものほどダウンの量が多いのです。
そしてこのダウンには1.5~1.8%の油分が含まれているのですが、50℃以上のお湯で洗った場合、油分が全て流れてしまうのです。
また家庭用の洗剤を使うとフェザーの羽枝が溶け、乾かすとひとつの束になったまま固まります。
これでは柔らかさなどあったものではありませんね。
素材によってお手入れ方法は変わる
いかがでしたか?
シルクの掛け布団は、木綿布団の1.5倍の放室性があるため、夜間に吸い込んだ汗をどんどん空気中に放出してくれます。
なので、適度に陰干しするだけでいつもサラサラの肌触りを実現してくれるのです。
ただ過度な湿気が生じると虫がわくというデメリットもあります。
お布団は素材によってお手入れ方法も良さも様々なのですね。