ベッドの設置場所として一般的にあまり好まれないのが、ベランダ寄りです。
しかし、ベランダ寄りにはいいこともあるのです。
ことによっては、ベランダに寄せてもいいくらいです。
では、どんないいことがあるのでしょう。
これからベッドを買う方も、仕方なくベランダ寄りにベッドを配置して色々困っている方も、一緒にその良し悪しと対策を見ていきましょう。
ベッドの設置場所の王道は部屋の真ん中?
まず、ベッド設置のベストポジションとその理由を確認しておきましょう。
ベッドの配置の仕方の定石といわれるのは、「窓のない壁に頭を向けて、部屋の真ん中に置くこと」です。
ホテルの部屋がいいお手本ですね。
ベッドの位置がベランダや窓から遠いので、暑さ寒さの影響を直接受けずに済みますし、日光に煩わされることもありません。
ホテルの家具の配置を参考にレイアウトできるなら、理想的な寝室ができるでしょう。
ですが、ホテルと違って一般家庭の部屋はそれほど広くはありませんし、必ずしも寝室専用の部屋を確保できるわけでもありません。
眠るだけでなく、生活の場でもありますから、両方のバランスを考えて家具を配置しなければなりません。
ベランダに通じる大きな開口部は部屋の大きな魅力であると同時に、弱点でもありますから、それをどう考え、どう扱うかが問題となってきます。
ホテルの場合は眠ることを主眼に置き、ベランダや窓は寝室にはデメリット、と考えた場合のレイアウトになっています。
基本的な考え方として覚えておいて損はないでしょう。
ベランダ寄りに配置するメリット:ベッドのお手入れが楽!
ベッドをベランダ寄りに配置した時の一番のメリットは、なによりベッドのお手入れが楽なことです。
お布団はすぐにベランダに干すことができますし、取り込むのも簡単です。
お布団をすぐに外に出せるのであまりホコリを立てずに済みますし、窓の開口部が大きいのでお布団を動かした時に出たホコリはすぐ出ていってくれます。
ベッドのお手入れで一番大変なマットレスのお手入れが楽なのも、ベランダのそばだからこそです。
ひとり暮らしでなかなか昼間に時間が取れなくても、朝、お布団をめくって仕事に行くだけで、毎日、お布団と一緒にマットレスも日に当てることができます。
マットレスを干したい時も、本を積み重ねてはさんだあとに窓を開ければ、日差しとともに自然の風に当てることができます。
本来なら扇風機を数時間かけて乾かすのですが、マットレスを直接日に当てて乾かせるので、早い上に殺菌効果まで期待できます。
マットレスのローテーションをする時に一日ベッドに立て掛けておけば、さらに効果的です。
メンテナンスの面では、ベランダ寄りにベッドを配置すると間違いなく楽ができるのです。
ベランダ寄りに配置するメリット:太陽光の効能
お日様にあたることができるので、健康面でプラスの効果があるのもメリットといえるでしょう。
眠りに明るさは邪魔なものですが、現代人の眠りを妨げているのは、明るすぎる部屋の灯りと、テレビに携帯、パソコンです。
明るくなったから目が覚める、というのが人間の自然な目の覚まし方です。
早起きができるようになりたい方は、ベランダ寄りにベッドを配置してみましょう。
ベランダ寄りに配置してあれば、寝たままカーテンを開ければ、すぐに朝日を浴びることができます。
朝、日光を浴びることで睡眠サイクルが夜型から朝型になり、早起きが楽になる効果が期待できます。
また、病気などで長期に渡る自宅療養をしている方にとっても、ベランダ寄りは季節を感じられるいい場所だといえるでしょう。
ベッドに座ってベランダの戸を開けるだけで、日向ぼっこも可能です。
日向ぼっこは骨粗しょう症にもいいですし、心臓疾患や高血圧にいいという研究結果も報告されています。
手の届く範囲に草花があれば、水やりを楽しむこともできるでしょう。
楽しく健康的に療養するためのアイデアのひとつとして、ベランダになるべく近い場所にベッドを配置できないか、一度考えてみてはいかがでしょうか。
ベランダ寄りに配置するメリット:防災対策
ベランダ寄りにベッドを配置するメリットとしては、もうひとつ防災の面での考えもあります。
一般的に地震や台風のときに危険なのは窓ガラスの近くですね。
しかし、一方で、外への避難経路を確保しやすいというメリットがあるのです。
このように考えますと、メリットとデメリットの両方でもあるともいえます。
しかし、ガラスの飛散に対しては、カーテンを厚くしたりガラス飛散防止シートを貼ったりなどの、手厚い対策をすることでデメリットを軽減することができます。
そして、台風や強風の時は、窓が割れることの他にも外れてしまうこともあることから、離れて眠ることで、このリスクも避けることができます。
それでは、そもそも離れるので、意味がないと思う方もいることでしょう。
たしかに台風や強風のときには、離れてしまいますが、地震の時は逆にガラス飛散の対策をして、ベランダよりに近い方がいいのです。
地震のときに危険なのは、ガラスよりも、背の高い家具の方です。
過去の震災で人の命を脅かしたのは、ガラスではなく背の高い家具であり、出入り口をふさいだのもまた、大きくて重たい家具でした。
ガラスの飛散にしっかり備えた上で、背が低く平らなベッドが窓際にあれば、家具が障害物になる可能性は低くなります。
また、マンションではベランダに必ず避難経路が設置してありますので、ベッドがベランダ寄りに設置してあれば、少なくともベランダ側の通路は確保できるのです。
このようなことから、ベランダに配置することによる防災対策としてのメリットも十分にあるということです。
デメリットにはこう対処しよう!
ベッドをベランダ寄りに配置した時の主なデメリットは以下の4つです。
○夏は暑くて冬は寒い。
〇雨戸が無い場合は朝が眩しい。
○冬、ガラスの結露が掛け布団に付く。
○同じく冬、ベッド自体が結露する。
そして、これらの原因はただひとつ、外気の影響を直接受けやすいからです。
とにかくガラスを通して伝わってくる熱と冷気を遮るしかありません。
そこで、遮光カーテンを使って対策をしましょう。
遮光カーテンは、光だけでなく熱や冷気も遮ってくれますのでお勧めです。
対策として考えるのであれば、カーテンは必ず床につけましょう。
ただ、残念なことに、カーテンは冬に困る冷却装置になってしまいます。
カーテン上部から入った暖かい部屋の空気が、冷たい窓ガラスに冷やされてカーテンの下の部分から吹き出てくるのです。
可能ならカーテンレールの上の空気の入り口部分もふさぎたいところです。
もし、難しいのであれば、床の吹き出し口だけでもふさいでおくといいでしょう。
吹き出し口をふさぐことは、冷気が直接ベッドに吹き付けるのを防ぐことにもなるので、ベッドの結露も防げます。
また、結露防止用の細長い窓ガラス専用のヒーターを設置するのもいいでしょう。
ヒーターが、窓付近の空気を直接温めるので、マイナスの空気の循環を止めてくれる優れものです。
他には、緩衝材のような窓ガラスに張って使う断熱シートを使うのもいいでしょう。
ただ、その際に複層ガラスなど一部不向きな窓がありますので、まずは貼りたい場所のガラスの種類を確認してから買うことをお勧めします。
このような対策で、一番大きいベランダのガラスの防寒防暑対策をすることは、部屋全体の住環境をよくします。
ベッドの配置場所に関わらず、頑張っておきたいところです。
ベランダ寄りのベッドが向かない部屋
ベランダをどう使うかによって、あるいは使う人のライフスタイルによって、ベランダ寄りにベッドを配置しない方がいいケースがあります。
ベッドを置いた時、ベランダに向かう通路が50cm以上ない部屋は、向いているとはいえません。
最低でも50cmはほしいところです。
ベランダ寄りに配置する場合は、できることなら、肩幅以上あると歩く時に楽です。
仮に50cm以下で配置してしまった場合、毎日ベランダに洗濯物を干しに出たり、植木に水をやりに行ったりするたびにストレスをため込むことになり、快適な生活から遠くなってしまいます。
通路が50cm以下でも配置したい場合は、乗り越えて行きやすい低めのベッドか、折りたためるソファベッドを選ぶことをお勧めします。
このようにベッドの種類次第では大丈夫ですが、ベランダに向かう通路が狭いとストレスになる可能性があることを頭に入れておきましょう。
また、北向きの部屋も、冬の時期の風が冷たいため、向いているとはいえません。
中にはマンションなどで、静かで落ち着けるという理由で北向きの部屋を寝室にするご家庭もあるようです。
基本的に北向きにベランダがある部屋は少ないでしょうが、このように北向きの部屋にベッドを配置する場合は、部屋の真ん中に設置して暖かく眠れるようにしましょう。
他にも、極端に朝が早い仕事や二交代三交代制の仕事についていて、就寝時間が昼間になる、という方もベランダ寄りに配置することを避けた方がいいでしょう。
外の音が聞こえやすく、出入りが多くなりがちなベランダ寄りは、昼間寝るのには向きません。
そういう方は、ベランダから頭を遠くに置ける配置にするか、ベランダのない部屋を寝室に選んだ方がゆっくり眠れます。
このように部屋の環境や、生活環境によっては、ベランダ寄りにベッドを配置することを避けた方がいいこともあります。
ベッドから空が見える楽しさ
屋根に干してあるお布団で、気持ちよさそうに丸まっている猫を羨ましく思ったことはありませんか?
ベランダ寄りにベッドがあれば、そんな猫に似た気分が味わえそうです。
夜、カーテンを開ければベッドから流星を見ることができるかもしれません。
ベランダ寄りのベッドの楽しさは、ベッドにいながら外とつながることができることです。
対処しなければならないことはたくさんありますが、その内容はベッドの置き場所に関係なく、やっておいて損にならないことばかりでした。
これを機に、一度ベッドの配置を見直してみるのもいいのではないでしょうか。