コンパクトで扱いやすい「ウレタンフォーム」のお布団やマットレスは、日本人の私たちにとって、すっかり定番の寝具となりました。
しかしながら、その特徴やメンテナンス方法について、あまり知識がないまま使用している方も多いのが現状でしょう。
そこで今回は、ウレタン素材でできた寝具の特徴やメンテナンスの仕方、カビが生えてしまったときの対処法などについてお伝えしていきます。
ウレタンフォームのお布団・マットレスには種類があった!
まずはじめに、ウレタンフォームの種類について知識を深めていきましょう。
「高反発マットレス」「低反発マットレス」という名称の通り、反発力の違いで2種類に分類されるのが一般的です。
それぞれの特徴について、以下にまとめてみました。
■高反発ウレタン:硬めで安定感のある寝心地
開発当初から寝具として使用するためにつくられており、強く押し返す性質があります。
原料の多くは天然ゴムで、体圧分散性に優れているのが特徴です。
また、耐久性や寝姿勢維持力が高いため、体重が70kg以上の方や腰痛持ちの方におすすめされます。
比較的安価で扱いやすいのですが、肝心の通気性はスプリングマットレスよりも劣っている傾向にあります。
■低反発ウレタン:柔らかめでフィット感のある寝心地
もともと寝具用としてつくられたものではなく、NASAが開発した形状記憶技術が用いられています。
押し返す力や復元力は弱く、高反発ウレタンとは相反する特徴を持っています。
原料は合成樹脂がベースとなっており、深めに沈み込んでいくため包まれるような感覚で眠れるでしょう。
しかしながら、体重の重い方にとっては不向きで、寝返りの打ちにくさから生じる筋肉疲労が問題視されることもあります。
さらに、原料が石油系であることから、高反発ウレタンよりも通気性が悪く、お布団やマットレスにカビが発生しやすいというのが難点です。
最も気を付けていきたいのは「カビ」の発生!
前項でお伝えしたように、ウレタンフォームのお布団やマットレスは、どちらの反発性であっても「通気性」が弱点のようです。
高密度構造の化合物なので、どうしても湿気が溜まりやすくなります。
そうした湿気はだんだんと底面へ移行し、それが原因で結露が発生することも考えられます。
結露をそのまま放置しておくと、それがカビの繁殖へとつながってしまうのです。
この現象は、通気性を改善した高反発ウレタンの場合にも当てはまります。
よって、高性能なウレタンフォームのお布団やマットレスを愛用している方も、湿気対策を怠ってはいけないのです。
また、カビが発生しやすいのは、夏場の汗をかきやすい時期だけに限りません。
外気と室温の温度差が激しい冬場も、湿気が寝具にこもりやすくなっています。
寝具が不衛生な状態になってしまうと、さまざまな健康被害につながる恐れもありますので、日頃から気を付けていきましょう。
もし大事なお布団やマットレスにカビが生えてしまったときは、次項の対処法を参考にしてください。
お布団にカビが生えてしまったときの対処法①
ここからは、ウレタンフォームのお布団やマットレスにカビが発生してしまったときの対処法をご紹介していきます。
ウレタン自体は丸洗いできないので、側地の洗濯から開始します。
製品の洗濯表示を確認し、それに従って洗っていきましょう。
このとき、指示に従わず洗濯してしまうと、側地が縮んでしまう原因となりますので注意してください。
次に、ウレタンフォーム本体のカビ取りをしていきます。
中性洗剤を薄めたぬるま湯を用意し、布に含ませて叩くようにしながら拭き取ってください。
※中性洗剤は、粉末タイプの酸素系漂白剤でも代用可能です。
これでも心配な方は、消毒用アルコールやエタノールを含ませた布で、同様に処理するのがおすすめです。
カビが落ちたら水分を拭き取り、十分に乾燥させて作業完了です。
上記の対処法が一般的ですが、低反発ウレタンの場合には少し注意が必要となります。
低反発のウレタンフォームには、水洗い厳禁なものが多く、水と反応して「加水分解」という化学反応が起こってしまう可能性があるのです。
加水分解が起こると、ウレタンはボロボロと崩れていってしまいます。
こうしたことから、基本的に高反発ウレタンよりも水に弱いという認識を持ち、なるべく本体を傷めないように細心の注意を払ってカビ取りをしてください。
水分を吸収しないように、素早く済ませることがポイントになります。
また、カビ取り作業を行う際は、換気の徹底や保護具の装着などが必須です。
必ず安全面に配慮しながら試してくださいね。
お布団にカビが生えてしまったときの対処法②
上記でご紹介した対処法でカビが落ちなかった場合や、広範囲に渡ってカビが発生している場合、専門の業者に依頼することもできます。
ただし、水濡れに弱い低反発ウレタンは、サービスの対象外となることが多いので注意してください。
また、高反発のウレタンフォームであっても、クリーニング方法が限られています。
そのため、通常のお布団しか扱っていないクリーニング店では、受け付けてくれないことがほとんどです。
しかしながら、中には特殊な素材でも対応してくれるところがあります。
そういった専門業者の数は多くありませんが、インターネットで全国の地域に対応しているお店も存在します。
寝具のプロが状態を見極めて作業してくれるので、安心して任せられますね。
もし依頼したいお布団やマットレスが対応しているのか、自分で判断できない場合には、直接お店に問い合わせてみましょう。
製造メーカーや製品名、内容物、品質表示記載事項などの情報があれば、お店側が判断してくれます。
ウレタンフォームを清潔に保つ!日頃から注意したいポイントは?
ここでは、ウレタンフォームのお布団やマットレスを清潔に保つためのメンテナンスについてお話しします。
ポイントをいくつか挙げるので、お手入れの参考にしてみてください。
【陰干しをする】
カビ対策・湿気対策として有効なのは、お布団やマットレスを定期的に干すことです。
しかしながら、ウレタンフォームは天日干しによって劣化することがあるので、陰干しが適しています。
風通しの良いところに立てかけ、底面を乾燥させるように陰干ししてください。
この方法は、ニオイが気になるときにも有効です。
消臭スプレーをかけてから陰干しすれば、さらなる効果が見込めます。
【除湿アイテムを併用する】
こちらも、カビ対策や湿気対策に有効です。
「すのこベッド」や「除湿シート」を併用しながら、底面に溜まりやすい湿気を撃退しましょう。
【ローテーションする】
お布団やマットレスは、上下や表裏をローテーションしながら位置を変えることで、部分的な凹みを防ぐことができます。
頻繁に行う必要はありませんが、3ヵ月に一度が目安とされています。
デメリットだけじゃない!ウレタンフォームの良いところ
これまで、「通気性に劣っていてカビが生えやすい」といったような、マイナス面ばかりがクローズアップされてしまったので、最後にメリットについてお伝えしたいと思います。
選び方やメンテナンスなどに気を付けていれば、使いやすくて素晴らしい寝具だと言えます。
■軽くて運びやすい
スプリングが内蔵されたマットレスは、重くて扱いにくくお手入れが大変です。
一方ウレタンフォームは、軽くて柔軟性がありますから、力の弱い女性でも運びやすいのがメリットです。
■ホコリが立ちにくい
通常のお布団であれば、中綿の繊維がホコリとなって空中に舞ってしまうものです。
しかし、ウレタンフォームなら構造上そのような心配はいりません。
■処分が簡単
自治体ごとの規定によって差はありますが、細かくカットすれば不燃ごみとして出すことができます。
これならコストも抑えられる上に、面倒な手続きが必要ないでしょう。
ウレタンフォームの寝具にはカビ対策を!
この記事では、ウレタンフォームの寝具についてお話ししてきました。
反発性によって原料や寝心地が異なることや、湿気対策が必須となることがお分かりいただけたと思います。
カビが生えてしまったときは、自宅での対処も可能ですが、プロの業者に任せるという選択肢もあります。
日頃のメンテナンスや湿気対策を欠かさず、快適な睡眠環境を維持してください。