お布団を買ってしばらくして気になってくるのが、汚れです。
しかし、お布団のクリーニングは、お店に持って行くだけでも大変ですし、どれくらいの頻度で出せば良いのか、迷うところですね。
そこで、布団メーカーやクリーニング店の考え方、さらにホテル・旅館のクリーニング頻度を参考に、一般家庭のクリーニングの最適頻度を探ってみました。
お布団をクリーニングに出すタイミングは?
お布団をクリーニングに出すタイミングは、本当に分かりにくいものです。
しかし、一般的には掛け布団を切り替える時期、つまり季節の変わり目が洗い時とされています。
梅雨入り前の5月頃に洗えば、梅雨のじめじめ対策になりますし、9月10月頃にもう一度洗えば、夏の汗を洗い流して、冬場に暖かく眠れますね。
ですから、もし定期的に洗うなら、年2回少なくとも年1回という頻度がベストということになりそうです。
しかし、「そこまで洗わなくても」という方も多いでしょう。
そこで、次に考えたいのは「お布団が汚れたら」というタイミングです。
汚れたらといわれても、見た目はそう変わらないのが普通ですので、汚れは以下のポイントで判断します。
①お布団が硬く、底突きする
②干しても、なかなかじめじめがとれない
③暖かくなくなった
使用頻度にもよりますが、3~4年経てばだいたいこのような状態になってきます。
こうなれば、クリーニングに出す頃合いだと考えて良さそうです。
では、プロはどう考えているのでしょう?
ホテル・旅館のお布団の推奨クリーニング頻度
まず、ホテルと旅館の場合は、厚生労働省からの通達で推奨頻度が決まっています。
「旅館業における衛生等管理要領」によると、お布団や枕は、「6月に1回以上」を基準に丸洗いするのを推奨しています。
また、お布団や枕、毛布などの寝具は、適度に日光消毒とはたきを行うようにも定められているのです。
さらに、60度以上でかつ30分以上の加熱消毒を、一月に1回以上の頻度で行うことも推奨しており、この方法と同等の効力がある方法なら他の方法でも良いともされています。
このように日頃のお手入れに関しても、厳しい基準を設けています。
家庭の基準を、ホテルや旅館の基準に合わせる必要はありませんが、ここから読み取れるのは、日常のお手入れの大切さです。
一月に1回60℃30分間の加熱処理を行うことは一般家庭では無理ですが、逆にこれは簡単にはお布団を干せない旅館やホテルの事情によるものでしょう。
要は、日頃からお布団を干したり、ホコリを吸い取ったりできれば良いのです。
ただ、最近では窓を開けられないタワーマンションが増えてきました。
ホテルに似た環境にあるマンションに住んでいる場合には、半年に1回のクリーニングが1つの目安になるかもしれませんね。
お布団メーカーの推奨クリーニング頻度
しかし、お布団を作る立場からすると、お布団をクリーニングに出すのは極力控えてほしい、というのが本音なようです。
理由は、中綿を傷めたくないからです。
お布団の中綿は、水に弱く、洗うと傷んでしまうものが多いです。
例えば羽毛は、羽に付いた小さなとげが絡み合うことで空間ができ、ふわふわの感触を作っています。
しかし、水洗いするとその小さなとげが取れてしまい、ふんわりとした形を保てなくなるのです。
また、羽毛には表面に油が付いているのですが、洗えばそれが落ちて却って汚れやすくなってしまいます。
それに、目の詰まった布で覆った羽毛布団は、もともとダニやホコリが侵入しにくく、クリーニングの必要はないと考える羽毛布団メーカーさんは少なくありません。
他の素材、例えば木綿綿や羊毛布団も、水を含めば絡まったり縮んだりするので、本来は水洗いに向きません。
つまり、洗う頻度が上がれば上がるほど、どのお布団も機能が低下していくことになります。
良いお布団を作ることを第一に考えている職人さんのことを考えると、洗わないで欲しいという気持ちも、分かるような気がしますね。
お布団メーカー推奨「打ち直し・リフォーム」
では、お布団メーカーが勧めているのは何かというと、打ち直しです。
羽毛布団の場合は、リフォームと呼びます。
打ち直し・リフォームとは、中綿の傷んだ部分を丁寧に取り除き、新しい綿や羽毛を詰め直すことです。
昔は、お布団を洗う技術がなかったので、お布団をきれいにするには打ち直し・リフォームしか方法がありませんでした。
しかし、現在では、お布団を水洗いすることが常識になったからか、リサイクルする綿や羽毛を洗うようになりました。
ですから、現代の打ち直し・リフォームは、「とても丁寧なクリーニング」といっても良いかもしれません。
しかも中身をほどいて洗うので、普通の水洗いより傷みを抑えて、よりきれいに洗うことができます。
お布団の中にたまっていたホコリや傷みやすい部分がなくなるので、打ち直しのあとはホコリが出にくくなるのが特徴です。
もちろん、ふわふわ感がアップして偏りもなくなり、寝心地も良くなります。
では、どのくらいの頻度で打ち直し・リフォームを行えば良いのでしょう。
ある専門店のお勧めは、綿布団の場合、掛け布団が5年に1度、敷布団が3年に1度です。
羽毛布団なら、10年以内、7~8年目に1回です。
メーカーさんによって頻度に多少の違いがありますが、気にするほどではありません。
これは、お布団文化の長い歴史の中で培われてきたお勧めの頻度ですから、覚えて置いて損はないのではないでしょうか。
クリーニング店の推奨頻度
では、最後に、洗濯のプロの考えはどうなのか知りたいですね。
お布団を洗う意味を考えると、汚れ取りとダニ退治が主な目的になります。
そうなると、やはり年1回から2回の頻度でクリーニングを勧めるお店が多いようです。
お布団の主な汚れは汗によるもので、これは水で洗いわなければ落とせない種類の汚れだからです。
しかし、お布団が新しいうちはそれほど気にしなくてもいいのですが、5年も経てば、洗わなくても中綿は傷んでいます。
そろそろ打ち直しや買い換えを考え始める時期ですので、クリーニング店を選んだ方が良いかもしれません。
お布団のクリーニング店には、タイプが2つあります。
1つはクリーニングの専門店、もう1つはお布団屋さんがクリーニングサービスを兼ねている場合です。
クリーニング専門店は洗いのプロですから、もちろんお布団をふかふかにしながらきれいに洗ってくれます。
一方、お布団屋さんが兼ねている場合は、洗う前にお布団のコンディションをチェックしてくれるところが多いのです。
お布団の状態を見た上で、打ち直しや買い換えの時期だと教えてくれたり、傷みがひどい場合には、お店によっては洗うのを断るところもあるようです。
10年15年という古いお布団を持ち込んで、洗うのを断られたり買い換えを勧められたりした場合は、お布団に限界が来ているということになります。
お布団にも寿命がありますし、打ち直し・リフォームですら2~3回が限界です。
それでも洗って使うかどうかは、使う側の気持ち次第ですが、1度プロのアドバイスを聞いてみるのも悪くはありませんね。
お布団のクリーニング頻度は、こうやって決めよう!
では、実際のところ、家庭ではどうやってクリーニングのタイミングや頻度を決めれば良いのでしょう?
それには、「どうして洗いたいのか?」を考えれば良いのです。
洗いたい理由を、もう少し踏み込んで考えてみましょう。
①「ダニが嫌!」「汚れが許せない!」という場合
そう考えている方は、クリーニング店お勧めの、年に1回から2回以上、ホテル・旅館並みの頻度が良いのではないでしょうか。
②「そこまでではないけれど、洗いたい」という場合
そういう方は、数年置きがベストです。
クリーニング店とお布団メーカーの意見を参考にした案です。
③「汚れが目立ってきたらで良い」という場合
お布団のコンディションが悪くなった時が、クリーニングのタイミングと考えます。
3年から5年くらいでしょうか。
お布団メーカーがお勧めする頻度に近いといえます。
④「クリーニングに出すのは面倒だ」という場合
この場合は、クリーニングには出さずに買い直す、という方法があります。
下取りサービスのあるお布団屋さんなら、お布団を捨てる手間もないので1番楽な方法かもしれません。
日頃のメンテナンスと共に考える
お布団は毎日洗える訳ではありません。
ですから、クリーニングとクリーニングの間で大切なのは、お布団を干したりカバーをまめに洗ったりという、日常のメンテナンスの方です。
そこを頑張ると、お布団も良い状態を保てますし、クリーニングの間隔を空けることもできます。
日頃のお手入れを考慮に入れた上で、ご自分の生活スタイルに合ったクリーニング頻度を見つけてくださいね。