室内のインテリアには関心があっても、玄関や玄関に続く階段などは意外とほったらかし、という方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、素敵な玄関アプローチに欠かせない、タイル張りの実例やDIYハウツーをご紹介していきます。
家族だけでなく、通りすがりの人でさえもが、思わずその先も見たくなってしまうようなセンスの良い玄関アプローチを目指してみましょう。
玄関&階段実例その1 コンクリート調のタイル張りで魅せる純和風テイスト
最初にご紹介するのは、和の佇まいが心和む純和風の玄関です。
ここでは、日本の古き良き暮らしに欠かせなかった土間に注目していきます。
近年、その土間が見直され、玄関に取り入れられることも増えてきています。
土間と言えば、やはりコンクリートのような質感が一番に思い浮かびますね。
ここでは、コンクリート調のタイル張りを生かした、純和風の玄関アプローチをご紹介しましょう。
コンクリート調タイルの質感はマットで、表面はかたく平らな仕上がりが特徴です。
色合いは黒やグレーといった色がほとんどで、クールで無機質な雰囲気を醸し出しています。
加えて、玄関に続く階段には小石が敷き詰められたタイルなどを合わせ、部分的にナチュラルな優しさを足していく魅せ方が土間を引き立てるポイントになっています。
また、植木や庭石などをプラスしながら玄関アプローチを演出することで、純和風の自然な雰囲気がさらに増します。
この時、玄関へと続くアプローチには低木を、そして階段が一段一段余裕を持たせた広めの造りですと、ゆっくりと静かに流れる和の世界を演出することができます。
このように、ナチュラルな石や植木の表情と、コンクリート調タイルの土間の無機質な雰囲気が、お互いに引き立て合い、洗練された中にも、優しく美しい純和風の空間に仕上げることができます。
玄関&階段実例その2 デザイン性のあるタイル張りで魅せる和風モダンテイスト
次にご紹介するのは、石材のタイルを使った和風モダンな玄関アプローチです。
最近よく見かける古民家風の建物は、日本の昔の情景が思い浮かびますが、同時に現代的な要素もあり、モダンでありながらもとても落ち着きます。
このように、昔ながらの和風の素材と洗練されたモダンなデザイン性を掛け合わせた和風モダンは、現代でも違和感なく和の雰囲気を感じることができ、人気が高まっています。
実は、和風の玄関や階段で最も多く使われているタイルは、石風のものです。
石風と言っても、砕いた石を敷き詰めたようなタイルから、表面がフラットなタイル、デザイン性のあるタイル、また、石の形をそのまま活かしたものなど様々な種類があります。
石材のタイル張りとなると、和風一色になると思われがちですが、同じ石材のタイルでも選び方次第で雰囲気を変えることができます。
上質感が漂う和風モダンには、表面がフラットであり、マットな質感のタイルがおすすめです。
次に、色選びですが、グレーなどのシックなモノトーンの色を選びましょう。
また、シックな色を基準としたグラデーション配色も統一感が生まれ、和風モダンにはおすすめです。
デザイン性のある石材を選んだり、タイル貼りの際の並べ方に動きを出すなどの工夫をしていくことで、まとまりのあるモダンな印象になり、洗練された雰囲気の玄関アプローチを造ることができます。
玄関&階段実例その3 テラコッタ調のタイル張りで魅せる洋風テイスト
最後に、洋風にアレンジしたい時のタイルの使い方を見ていきましょう。
洋風の雰囲気におすすめなのが、テラコッタ調タイルです。
テラコッタは素焼きのタイルのことを言いますが、元々は土を焼いたもので、その自然な色むらや素朴な風合いがあたたかい雰囲気を醸し出してくれます。
では、テラコッタ調のタイル張りを活かした実例から、参考になるポイントをご紹介していきます。
まず、質感はテラコッタ特有の優しい質感、素焼きの素朴感をより感じられるものを選びましょう。
色選びは難しくなく、元々のベージュを基本とした優しい色合いをそのまま生かしていくことができます。
そして、洋風の玄関アプローチに相性の良い素材を組み合わせていくことをおすすめします。
その一つとして、まずは枕木をご紹介します。
鉄道線路で本来の役目を終えた枕木は、使い込んだ独特のアンティークな雰囲気が魅力で、洋風の雰囲気ととても相性が良いのです。
フェンスのように立てて使ったり、地面に埋めて玄関に続くステップや階段として使ったりと、自由な発想で楽しむことができます。
また、ハーブなどのグリーンもテラコッタとの相性が良いですね。
洋風ガーデンをイメージしてみましょう。
ここでグリーンを植える時のポイントは、「ナチュラルである」、ということです。
雑草や野の花が自然に生えているように、多少不規則に植えていくことで、自然の雰囲気を再現しナチュラルな空間を楽しめる玄関アプローチが完成します。
タイル張り実践!DIYハウツー
さあ、イメージは固まってきたでしょうか。
では次に、素敵なタイル張りの玄関や階段を造るべく、ご自分でできるDIYのハウツーをご紹介しています。
まず、下地ですが、ここではバサモルタルを準備します。
バサモルタルとは、通常のモルタルより水分を少なくしたもののことを言います。
下地の水分が多いとタイルが沈んでしまうので、水の入れすぎには気を付けながら準備していきましょう。
準備ができたら、コンクリートの上にバサモルタルを敷きます。
そして、板などで表面をならしていきます。
この時、水平になるように意識しながらモルタルをならしていきましょう。
次は、水とセメントを混ぜたモルタルを塗っていきます。
このモルタルが、タイルとの接着剤のような働きをしてくれます。
タイルを配置したら、モルタルが乾かないうちにゴムハンマーで圧着していきます。
あまり力を入れすぎると沈んでしまうので、裏側に隙間ができない程度に加減しながら叩いていくと良いでしょう。
最後に、目地にモルタルを詰め、はみ出たモルタルを水分を含ませたスポンジなどで拭き取ります。
以上が、大まかな流れになります。
タイル張りはハードル高し?!ビギナー向けのDIYハウツー
次にご紹介するのは、モルタルを使って下地からするのはためらってしまう、そんなビギナーのためのハウツーです。
しっかりとタイル張りされた玄関や階段は洗練された印象で素敵ですが、手作り感のある仕上がりも素朴で温かく魅力的ですよね。
ただし、モルタルを使った作業はハードルが高いとお考えの方に、土に直にレンガを敷き詰めていく方法を見ていきましょう。
まずは、土に砂を混ぜながら全体をならしていきます。
この時、水平器を使いながら水平にならしていくことを十分に心がけましょう。
次に、レンガを配置していきます。
段差ができないように、少し埋め込むような感じで、水平に敷き詰めていきましょう。
この時に、横ズレを防ぐために淵に重さのあるものを置くことをおすすめします。
たとえば、レンガの小道の脇に、枕木や大きめの鉢などを置くといった感じです。
また、レンガの向きや配置の仕方次第で様々なパターンを生み出すことができるので、ぜひ、並べ方にもこだわってみて下さい。
お好みに応じてバスケットウィーブやヘリンボーンなど、全体の模様として配置図を考えてみると、楽しみの幅もぐっと増えます。
安全で機能的、そして美しい仕上がりにするための注意点
素敵なタイル張りの玄関や階段を完成させるためには、いくつか注意点があります。
まず一番最初の準備段階で、タイルを貼り付ける下地をきれいに掃除することです。
面倒な工程ではありますが、汚れはタイルが剥がれる原因になります。
しっかりと接着させるためにも、きれいに掃除をして汚れを取り除いておきましょう。
また、水平にすることを常に意識して作業を進めていきましょう。
水平に保たれた下地にすることで、その上に張るタイルの接着も良くなりますし、タイル貼り付け後の凹凸もなく、全体がきれいに仕上がります。
これは、安全面においても大事なことですね。
また、タイルは雨などで濡れるととても滑りやすいです。
特に、小さなお子様がいるご家庭では、滑りにくいタイルを選ぶのも大切です。
次に、タイルの大きさですが、面積の大きな場所に小さいタイルで仕上げると、目地が細かくなり、全体を見た時うるさく感じてしまうことがあります。
その場合、大きいタイルでシンプルにまとめる方が良いですね。
また、色選びにもポイントがあります。
汚れやホコリが目立たないようにするためには、中間色のグレーがおすすめです。
また、どんな外観にでも馴染んで柔らかい印象にしてくれるクリーム色は万能カラーです。
このように、作業に取り掛かる前に、しっかりとした準備と計画がその後の仕上がりに大きく影響します。
玄関アプローチを室内と同じくらい愛着のある空間へ
玄関タイルは、住まいの顔と言われるくらい重要なアイテムです。
DIYとなれば、労力も時間もかかりますが、それだけにきっと愛着も湧いてくるでしょう。
そうなれば、『行ってきます』『ただいま』の弾んだ声と共に、家族の笑顔溢れる素敵な空間が、また一つ増えることになります。
帰るのが楽しみな我が家を想像しながら、タイル張りに挑戦してみてはいかがでしょうか。