十分に睡眠時間を取っているはずなのに、目覚めがすっきりしない。
そのような場合は、質の高い睡眠が取れていない可能性があります。
睡眠には湿度や温度などの室内環境が大きく作用しています。
ここでは、睡眠と湿度、温度の関わりを解説していきましょう。
質の良い睡眠とそうでない睡眠
睡眠は、なるべく質の良いものにしたいですよね。
同じ睡眠時間を取っていても、深くぐっすりと眠れる時と、何となく目覚めがすっきりしない時があります。
このように目覚めがすっきりしない時は、「質の悪い睡眠」の可能性が高いです。
質の悪い睡眠だと十分な時間を取っていても、肉体の疲労が改善することがありません。
逆にいつもよりも少ない時間であっても、質の良い睡眠であれば、疲労感が残りません。
質の悪い睡眠を取り続けていると、最終的には体調不良となり、様々な不調を引き起こす可能性があります。
では、質の良い睡眠とそうでない睡眠はどのように区別できるのでしょうか。
それは、睡眠時の環境にある、と言われています。
正確には、睡眠時のお部屋の明るさや温度と湿度にあると言っても過言ではありません。
睡眠をとるための寝室の環境を整えることが、より質の良い睡眠を得る最大の秘訣なのです。
寝室の環境がどれだけ大切かということをこれから解説していきましょう。
温度や湿度などによる寝室の環境が睡眠にどう関わるか
では、実際に寝室の環境が睡眠にどのような関りを持つのかを、検証していきましょう。
寝室の理想的な室温を考えると、冬場は16度から19度、夏場は26度以下くらいが良いでしょう。
湿度は、季節に関係なく50%前後が快眠しやすいと言われていますが、お布団の中の理想的な湿度は32度から34度です。
理想的と言われる室温で寝室を整えられている場合は、冬場は真綿の掛け布団を1枚、夏場は綿毛布やタオルケットを1枚かけるだけで、良い温度を保つことができるでしょう。
冬はお布団を多くかけることで、寝室の温度を低くする人もいますが、お布団の中と外との温度差が大きければ、お布団内の温度と湿度の調整が難しくなるので、あまりお勧めではありません。
起きた時に血圧が急上昇するリスクも高くなります。
なるべく、室温を適切な温度に設定するようにしましょう。
さらに、冬場は湿度が低くなり、室内の乾燥で鼻やのどの粘膜を痛めてしまいがちです。
このような理由も睡眠の質が落ちてしまう原因に繋がることがあるため、加湿器などで湿度の調整が必要となるでしょう。
逆に夏場は湿度が高くなりがちです。
そのため、お布団の中で汗をかいた場合には、お布団内の湿度が90%にまで達することもあるので、寝具は夏用に変え、通気性の良い敷きパッドやすのこを使うなどの工夫が大切となります。
この場合は、室内のエアコンも除湿モードを利用するなどの調整がお勧めです。
温度と湿度が高くなる夏の睡眠を快適に!
夏場は温度、湿度共に高くなる季節です。
この夏に、理想的な睡眠を取るためにはどうしたら良いのでしょうか?
エアコンを一晩中つけっぱなしにしていても暑さで寝付けなかったり、暑さで夜中に起きてしまうなど、なかなか熟睡できないことも多いですよね。
熱帯夜になると、外気温だけでなく室内温度も高温となる場合があり、熱中症を発症する人も多くなります。
寝苦しいことから寝不足になり、体調を崩す原因となることもありますね。
夏場の問題として、温度だけでなく湿度が大きく関わっています。
一晩中エアコンを付けっぱなしにする人は、28度以上に設定して、「除湿運転」で湿度を取ることがお勧めです。
そして、湿度は50%から60%にすることが適切です。
また、エアコンを付けっぱなしにしたくない人は、タイマー設定でお部屋を冷やすことで湿度もコントロールできるでしょう。
「切りタイマー」を3時間くらいで設定することで、入眠直後の深い睡眠が温度や湿度の変化に阻害されることなく、そのまま良い睡眠を保つことができる、と考えられます。
良い睡眠を確保できたかどうかは、起床時のすっきり感で判断できるはずです。
乾燥する冬の睡眠を快適に!
一方、冬の快眠環境のポイントを考えてみます。
冬でも湿度や温度は睡眠に大きな影響を与えています。
冬は筋肉が緊張することも多くなり、血管が収縮して血流が悪くなるため、寝付きが悪くなりがちです。
ですので、冬場は室温を18度以上に保つことを目標とし、暖房器具だけでなく、カーテンも厚手のものに変えるなど室内の温度を逃がさない工夫をしたいものです。
できれば、暖房は夜中に切り、朝の起床時間にはお部屋が暖まっていることが最適なので、タイマー設定をしておくと寝起きもスムーズですね。
湿度は50%から60%に保つことが理想で、加湿器や観葉植物、濡れタオルで効果的な加湿を行うと良いでしょう。
冬場には電気毛布や湯たんぽは、大いに活用します。
その理由は、お布団が冷たくなることを防げるからです。
お布団が冷たいと、寝付けが悪くなる原因ともなります。
しかし、電気毛布は一晩中使うと、体温調整力が狂ってしまったり、肌が乾燥することから、ご使用は眠りに付く間だけが良いでしょう。
また、夜中にトイレに行くことが多い人にとって、トイレや廊下と寝室との温度差も睡眠を妨げる原因となります。
できれば、トイレなどにも暖房器具を置き、10度以下にならないようにすることをお勧めします。
温度や湿度の調節だけではない!眠れないときの対処法
寝室の温度や湿度、明るさなどの環境が睡眠に大きな影響を与えていることは、分かって頂けたと思います。
しかし、それでも良い眠りに入れない原因は様々です。
身体的な疲労が強すぎる場合や、精神的なストレスが大きい場合、また、何らかの原因で神経過敏になりすぎている場合などは、寝付きが悪くなることがあります。
それが慢性化してしまうと不眠症になり、さらに肉体的に体調不良を引き起こす原因となりますので、早めに対策を立てたいものですね。
人間の眠気は体の内部の温度(深部体温)が下がる時に、発生すると言われています。
深部体温を下げるには、その前に深部体温を上げる必要があります。
入浴は就寝する1時間から2時間前を目安にすると良い、と言われているのはそのためで、少しぬるめのお風呂にゆっくり浸かって体を温めると、心地よい眠気に誘われるはずです。
また、就寝直前にはスマホやパソコン、テレビなどを見ないこともお勧めです。
液晶画面にはブルーライトが発生していて、このブルーライトが眠気を覚ます覚醒作用があるのです。
就寝直前までパソコンなどを操作していると、なかなか寝付けない状態になってしまうのです。
睡眠の質を上げるために!
そもそも、睡眠の質を上げるメリットはどこにあるのでしょうか?
私たち人間は、眠ることで肉体的な疲れを取るばかりでなく、脳の疲れも取り、朝、すっきりとした快感を得ることができます。
しかし、睡眠時間がいくら長くても目覚めがすっきりしない時は、質の良い睡眠が取れていないことになります。
逆に短い時間でも熟睡できていれば、精力的に仕事に向かえる、というメリットが生まれてきます。
学生であっても社会人であっても、やる気を維持するためには質の良い睡眠は欠かせないのです。
睡眠に関して、室内の湿度や温度、明るさなどが関係していることはこれまでに解説してきました。
ここでは、睡眠の質の上げ方について、もう少し触れていきましょう。
まず、就寝3時間前には夕食を済ませておきたいものです。
これは就寝時にはすでに消化が終わっている状態にしたいためで、朝起きた時に胃もたれなどの不快な症状をなくします。
また、忙しい生活の中でも、入浴時はシャワーだけでなく、体を湯船でじっくりと温めることがリラックス効果を生み、睡眠の質を上げることになります。
温かい飲み物は体を温め、内臓から体温上昇を促します。
体温が下がり始める時に眠気が起きることから、睡眠前のリズムを作るのにはお勧めです。
安眠効果を高めるためには、ノンカフェインが良いですね。
寝室の湿度や温度は人によって心地良いと感じる程度が多少違います。
適温を参考に、自分に合った温度を見つけましょう。
体温調節がうまくいくようになると、睡眠の質が上がることが期待できます。
良い睡眠を得るために整えたい湿度と温度!
体感温度は人によって多少の誤差があります。
そんな中で、季節や住んでいる場所によっても、湿度や温度は人それぞれの適性がありますね。
良い睡眠を得るためには、湿度と温度などの環境はとても大切な関りを持っているので、この機会に、ぜひご自分の適性温度を知っておきましょう。