人生の1/3を占めるといわれるほど、人間にとって重要なものの1つが睡眠です。
仕事や勉強などで疲れて帰ってきたら、お布団やベッドでゆっくりと眠りにつき、翌日の英気を養いたいですよね。
しかし、中には、「ぐっすりと眠れない!」、「眠くてもどうしても眠れない!」と、お悩みの方もいらっしゃると思います。
そこで、今回は最近話題の、玉ねぎの持つ睡眠効果や、その利用法についてご紹介していきます。
どうしても眠れない!不眠の原因とは?
玉ねぎの持つ睡眠効果が知られるようになってきた昨今ですが、玉ねぎ以外にも、呼吸法やツボ押しなどいろいろな安眠法が紹介されていますよね。
どうして、このような多くの安眠法が話題になるのでしょうか?
それは、今現在、たくさんの人が不眠で悩んでいるという実態があるからです。
ある財団法人が行っている調査によると、日本人のうち約21%もの人が不眠症に悩んでいるといわれています。
まずは、その不眠の原因を見ていきましょう。
《ストレス》
翌日に、重要な仕事や試験など心理的に負担がかかることがあると、人は不安や緊張から、なかなか寝付けないものです。
眠れないため、「眠らなくては、眠らなくては」と考えると一段と眠れなくなってしまう、という悪循環に陥る場合もあります。
《体内時計のずれ》
時差のある海外に行ったり、夜勤などで日常の生活リズムがずれてしまう場合だと、体内時計が狂ってしまい、眠れないということがあります。
また、日中に長い時間昼寝をしてしまったり、ずっと家にこもって日光を浴びてないという場合も、体内時計は狂う時もあり、不眠になってしまうこともあります。
《病気》
鬱病などの精神疾患、関節リウマチなどの痛みやアトピーなどのかゆみがある病気、また、腎臓病などで頻尿になっている場合などは、やはり、なかなか寝付けなかったり、頻繁に起きてしまう方がいらっしゃいます。
《加齢》
20歳をピークに、人間の睡眠の質は徐々に低下していってしまうと考えられています。
特に、40歳以上になると急激に低下するといわれているため、年をとるとともに、短時間でも、良質な睡眠を心がけることが必要です。
《環境》
眠る時に、明るすぎたり、騒音でうるさかったりすると寝つけないものです。
また、蒸し暑い夏の夜は眠れなかったりするなど、気温や湿度も睡眠に関係する一因です。
《刺激物》
よく、眠る前にはカフェインはダメ、といわれますよね。
これは、カフェインが覚醒作用を持つためであり、このほかも、タバコのニコチンも同じような働きを持っています。
また、アルコールも刺激物にあたり、眠る前に飲むことで、夜中、目が覚めやすくなるという特徴があります。
どうやったら安眠できるの?
上記で見てきたように、不眠の原因はさまざまです。
では、不眠になった時はどうすればいいのでしょうか?
《慢性的な不眠》
例えば、慢性的な痛みやかゆみで眠れない日が長く続いていたり、ずっと不安な状態が続いていて眠れない、という時などは医療機関を受診することをおすすめします。
もともとの原因を改善しない限り、なかなか不眠も改善されないからです。
また、市販の睡眠改善サプリなどを試しても眠れないという時なども、医療機関を受診することをおすすめします。
《一時的な不眠》
例えば、海外に行くなどして、たまたま生活リズムが狂ってしまったり、環境の変化があって一時的に眠れなくなったり、という時は、市販の睡眠改善薬・サプリを試すのもいいかもしれません。
ただ、薬に頼る前に、いろいろな方法を試してみることをおすすめします。
では、安眠するための方法を見ていきましょう。
【生活習慣を整える】
①適度な運動をする
人間は、体も脳も疲れてくると眠くなり、安眠へと繋がっていきます。
ただ、運動不足だと脳は疲れていても体は疲れておらず、眠りたくてもなかなか眠りにつけない、ということが起こります。
そのため、30分~1時間程度の運動を定期的に行い、適度に体を疲れさせることが重要です。
②日光を浴びる
人間の体内時計は25時間周期といわれています。
そのため、1日が24時間という日常生活時間に合わせるには、朝に日光を浴びて体内時計をリセットする必要があります。
体内時計が狂ってしまうと不眠の一因にもなってしまいますので、朝起きたら太陽をきちんと浴びることが大事です。
③起床時間を一定にする
就寝時間がまちまちであっても、起床時間が一定であれば生活リズムは整ってきます。
そのため、夜更かしをしても、起きる時間は変えないことが大切です。
④食事の時間を一定にする
1日3食、食事の時間を一定にすることも、生活リズムを整える上で重要です。
バランスのとれたきちんとした食事を、なるべく同じ時間帯にとるようにしましょう。
⑤眠る前の飲み物などに注意する
コーヒなどカフェインが入っている飲み物には興奮作用、タバコには覚醒作用、そして、アルコールには眠りを浅くする作用や利尿作用があるため、なかなか寝つけなかったり、眠りが浅くなったりします。
そのため、眠る前には、これらはとらないようにするのが賢明です。
「コーヒーやお茶などを夕食後にどうしても飲みたい!」という時は、寝る時間の3、4時間前にはとるように心がけましょう。
⑥眠る環境を整える
安眠には、やはり、静かな環境が大事です。
そのため、光や音をなるべく感じないような環境にしましょう。
どうしても難しい場合は、遮光カーテンやアイマスクをつけるなど、工夫をして環境を整えるようにしましょう。
【ストレス解消をする】
①趣味を持つ
自分が好きなことをしている時間はとても楽しく、リラックスできたりストレス発散できたりするものです。
そのため、ストレスを溜めないよう、自分の好きな趣味を見つけることも大事です。
②寝る前のリラックスタイムで癒される
副交感神経が優位になると、脳は眠りへとモードを切り替えます。
そのため、眠る前に、いかにリラックスモードで副交感神経を優位にするかが重要です。
ぬるめのお湯にゆっくりと浸かったり、読書や音楽鑑賞などもおすすめです。
このように、生活習慣を整えたり、ストレス解消を図ったりと、安眠するためのさまざまな方法があります。
このようなオーソドックスな方法は昔から知られていますが、最近よく聞かれるのが、玉ねぎの睡眠効果です。
TVやネットでもとり上げられており、徐々に知られてくるようになりました。
次項では、その玉ねぎの睡眠効果について見ていきましょう。
玉ねぎが持っているといわれる睡眠効果!本当なの?
日本でも知られてくるようになった玉ねぎの睡眠効果。
西洋では、昔から、「安眠には玉ねぎがよい」ということは知られており、民間療法として用いられてきました。
でも、「玉ねぎが眠れない時には効くらしいよ!」といわれても、疑問に思う方もいらっしゃると思います。
臭いも独特なので、なかなか玉ねぎと睡眠が結び付かないですよね。
では、本当に効果があるのでしょうか?
ある保育園児たちへの実験は、よく知られています。
お昼寝の時間帯に、普段は寝付きの悪い10人の保育園児に協力してもらい、行った実験です。
簡単な実験で、お昼寝時、枕元に切った玉ねぎを置くだけです。
10人を2つのグループに分け、1つのお部屋はいつもと同じ環境、もう1つのお部屋には、枕元に切った玉ねぎを置いておきました。
すると、いつもと同じお部屋の園児たちは、通常通り眠りませんでした。
もう一方のお部屋の園児たちは、いつもとは違い、自然とお昼寝をしてくれる、という結果になったのです。
根拠としては少し弱いですが、この実験結果からは、「玉ねぎは睡眠効果がある」という結論になります。
睡眠に効果的といわれる玉ねぎ、どんな成分?
玉ねぎの持つ睡眠効果を実証する実験をご紹介しましたが、ではなぜ、そういう結果が出るのでしょうか?
玉ねぎの持つ成分を見ていきましょう。
《硫化アリル》
玉ねぎには独特の臭いがあり、この臭いの成分が「硫化アリル」です。
別名「アリシン」ともいわれ、ネギ類独特の臭いの元となっています。
玉ねぎを切ると涙が出てしまうのは、壊れた細胞から硫化アリルが出て気化し、それが放出されることで、目や鼻を刺激するからです。
普通の感覚からすると、この硫化アリルの臭いは刺激的なものですが、脳は逆にリラックス効果を得ているといわれます。
硫化アリルの臭いを嗅いでいる時に脳波を調べると、リラックスした状態の時に出るα波が測定されるので、脳は癒されているという状態になっているようです。
そのため、眠りにつきやすくなる、という結果になります。
《グルコキニン》
玉ねぎには、血糖値を下げる効果があることで知られているグルコキニンも含まれています。
血糖値が下がると、脳のエネルギーとなる血糖も不足することになり、脳を休ませるために眠気を催すようになります。
また、グルコキニンには鎮静効果もあり、高ぶった神経を鎮めてくれるので、より一層、安眠効果を得られます。
《ポリフェノール》
赤ワインに多く含まれることで知られているポリフェノールも、玉ねぎには含まれています。
ポリフェノールは血流をよくする効果があり、血流がよくなることで体が温まり、眠気を誘うという効果があります。
このように、玉ねぎに含まれる成分には安眠効果を得られるものが多数含まれているため、玉ねぎに睡眠効果があるといわれる所以になっています。
玉ねぎをどうすればいい?睡眠効果を上げる方法
上記でご紹介したように、玉ねぎには人を安眠へと導く睡眠効果があることが分かりました。
では、睡眠効果をより高くするためには、どうすればいいのでしょうか?
その方法を見ていきましょう。
《枕元に置く方法》
これは、上記でご紹介した実験でも使われた方法です。
①玉ねぎを数枚スライスする
②スライスした玉ねぎをみじん切りにする
③みじん切りにした玉ねぎを容器に入れ、枕元に置く
《玉ねぎを食べる方法》
玉ねぎには、体内に入れることで睡眠効果を得られる成分も含まれています。
そのため、眠る前に食べることで安眠を促す方法もあります。
【眠る前にオニオンスライス】
生の玉ねぎの方が玉ねぎの成分をダイレクトに摂取できるので、食べる時は生をおすすめします。
できれば、オニオンスライスにしてドレッシングをかけたり、鰹節とポン酢をかけていただいたり、という方法がおすすめです。
【眠る前にオニオンスープ】
どうしても、生の玉ねぎの辛みが苦手という方もいらっしゃると思います。
そういう方におすすめの方法が、オニオンスープにすることです。
玉ねぎは、熱を加えると、栄養成分が溶け出してしまいます。
しかし、スープにすることで、溶け出した栄養分も一緒に摂取することができ、安眠効果も十分に得られます。
では、オーソドックスなオニオンスープの作り方を見ていきましょう。
準備するもの:
玉ねぎ1個、バター5g、サラダ油5g、固形スープの素1個、水300cc、塩・こしょう適量
①玉ねぎを縦にスライスする
②鍋にバターを入れ、溶け出したら油とスライスした玉ねぎを入れ、弱火でじっくりと炒める
③玉ねぎが薄茶色になったら、スープの素と水を入れて沸騰させる
④沸騰したら、弱火にして塩・こしょうで味を整える
コンソメ味が嫌だな、という方は、固形スープの素の代わりにだしの素で代用可能です。
また、もっと体を温めたいという方は、刻んだ生姜を一緒に煮込んだり、すりおろし生姜を入れたりするのもおすすめです。
睡眠効果アップにはぜひ玉ねぎを!その際の注意点とは?
睡眠効果を得るための、玉ねぎの使い方や調理方法を見てきましたが、いくつか注意点もあります。
では、その注意すべきポイントも見ていきましょう。
《玉ねぎの量》
スライスした玉ねぎを枕元に置く場合、注意してもらいたいのがその量です。
玉ねぎの量があまりにも多すぎると、目や鼻への刺激が強すぎて、かえって睡眠効果を妨げてしまいます。
睡眠効果を得られると思って、「丸々1個の玉ねぎをスライスして置きました!」ということでは、硫化アリルの刺激が多すぎて眠れなくなってしまいます。
そのため、数枚をスライスしてみじん切りにしたものを枕元に置いて下さい。
目安は、眠る時に玉ねぎの臭いが気にならない程度の量です。
《玉ねぎの交換頻度》
「一晩みじん切りにした玉ねぎを置いたら、ぐっすりと眠れた!」ということで、昨晩使った玉ねぎをそのまま使おう、ということはしないで下さい。
睡眠効果のある硫化アリルは、玉ねぎを刻んだ時に発生する成分のため、一晩枕元に置いておくと成分が消えてしまいます。
そのため、たまねぎを置いて安眠効果を得たいという方は、毎晩、新しく刻んだ玉ねぎを置いて下さい。
《玉ねぎを食べる量》
眠る前に、玉ねぎを生で食べたりスープで飲む際は、その量に十分注意して下さい。
「オニオンスライスは低カロリーだからたくさん食べても平気!」と思うかもしれませんが、食べる量が多いと、その分胃腸の負担も増えます。
体は、睡眠へと集中させるはずだった力を、食べたものを消化することに注いでしまうため、結果的に睡眠の質が低下する、ということが起こるかもしれません。
そのため、眠る前に食べる量は、少量にしておきましょう。
以上のような注意点に気を付けながら、玉ねぎを活用していきましょう。
玉ねぎのリラックス効果で快適な睡眠を!
玉ねぎの持つ睡眠効果や、その利用方法をご紹介してきましたが、いかがでしたか?
「味も美味しく栄養分も高いけれど、臭いがきつい」という印象の玉ねぎですが、大きな睡眠効果があるということが分かりました。
西洋で、「玉ねぎが安眠に効く」と昔から伝えられてきたのも納得です。
もし、「なかなか眠れない」、「眠りが浅くてきつい」という方がいらっしゃれば、一度、試してみてはいかがですか?
個人差はありますが、お手軽で安心な方法なので、おすすめですよ。