皆さんは、畳のことをどれぐらい知っているでしょうか?
畳にも実はサイズがあり、それが場所によって違うことなどはご存知でしょうか?
例えば、同じ8畳でも地域によって畳のサイズが違うのです。
物件を見るときによく見かける言葉ですが、実際どんなものなのか。
そうしたことについて、紐解いていきます。
実はどれくらいの大きさ?畳のサイズについて
日本では、部屋のサイズを○畳と表記することが多くあります。
それで、大体の大きさを想像する方も多いのではないでしょうか?
○畳といった単位は、日本独特の単位でもあり、外国の方にはわかりづらいこともあるようです。
では、その畳のサイズはどれくらいの大きさなのでしょうか。
実は、その寸法は一定ではありません。
昔間、京間、中京間、江戸間、団地間、六二間、六一間など、他にもその歴史から様々な尺度があります。
この違いの一説をご紹介しましょう。
以前、関西方面では家の大きさは畳の大きさをもとに作られていました。
それに対し関東方面では先に家を作り、作られた家の柱から柱の間を1間として畳を作っていました。
こうして、畳の大きさに差が出た、といわれています。
しかし、現在では、不動産公正取引協議会連合会では、1.62平方メートル以上の広さを1畳とすることとしています。
そのため、部屋探しのときは、それを基準に探すといいでしょう。
ですが、「以上」なので特定されているわけではありません。
よく使われているのは、京都をはじめとする関西で使われている京間、中京地方や一部東北で使われている中京間、東京を始めとする関東地方では江戸間などです。
また、アパートやマンションなどの集合住宅で使われている団地間もあります。
それぞれ大きさが違ってきます。
そのため、実際、8畳などと数字が書かれていても、部屋を見て、測っていくのが一番安心な方法です。
畳の特徴と機能性について
家具のサイズが微妙に合わないかもしれませんので、同じ8畳サイズでも、実際に測ってみた方が良さそうですね。
そんな畳ですが、古くからの歴史があります。
畳のサイズがほぼ一定にも関わらず、廃れずになくならなかったのは、ただ日本人の和の心があるからではなく、その特徴と機能性があるからです。
自由にサイズを変更できるフローリングとは違った特徴と機能性を、今回は5項目に分けてご紹介していきます。
①高い断熱性と保温性
畳の床には、材質に空気がしっかりと含まれています。
空気は熱を伝えにくく、畳は床下からの冷えた空気を断熱してくれます。
畳の厚さは、地域によって異なりますが、室内の熱を逃さない機能を備えているのです。
②優れた吸放湿性
高温多湿な日本風土の住まいに畳は最適です。
夏は涼しく、冬は暖かいという畳の利点を生み出しているのは、畳の表面のイグサと畳床です。
畳床とは、畳の芯となる部分を指します。
イグサがスポンジとなって湿気を吸収し、畳床のなかの空気が湿気を放出しながら、効率的に呼吸しているわけです。
1畳の自然吸湿能力は、約500mlと言われています。
ゆっくり湿気を吸収し、吐き出しているのですね。
③弾力性と安心する自然の色合い
畳の表面のイグサがスポンジ状の構造で空気をたくわえ、フワフワした感触を生み出しています。
また、畳床にも空気はたっぷり含まれている状態です。
こうして蓄えられた空気がクッションとなり、横になれば心地よく、唐突に転んだときでも衝撃を和らげてくれます。
また、畳の色合いは、森などの自然を連想させる心地よい色合いになっています。
④リラックス効果がある天然イグサの香り
畳の香りは、懐かしい香りだと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それはイグサによるものです。
イグサの香りには鎮痛効果があると言われています。
また、東大工学部の研究によると、人体にあまりよくない二酸化窒素をイグサが吸着する働きがあることがわかっています。
そのため、畳は室内の空気を浄化し、人間に森林浴と同じようなリラックス効果をもたらしてくれているのではないでしょうか。
⑤吸音や遮音効果
畳のお部屋はフローリングのお部屋に比べて、静けさを感じます。
それは実際に、畳の構造がさまざまな音を吸収してしてくれるからです。
しかし、吸音するからといってドタバタと歩くと、マンションなどでは隣人に聞こえてしまうので、程ほどにしましょう。
畳は新調もできる
実は、畳を替えたいというときに、3つの方法があります。
それは、裏返し・表替え・新調の方法です。
それぞれ、畳を3つの部分に分けて考えます。
中身に値する畳床・畳の表面に値する畳表・縁の3つです。
これらを分解して、それぞれの方法で畳を替えていきます。
これは、どんな畳のサイズでも変わらない方法です。
裏返しは、畳床はそのままで、畳表を裏返し、縁を新しくします。
表替えは、畳床はそのままで、畳表を新しくし、縁も新しくします。
新調は、畳床、畳表、縁それぞれ全てを新しくすることを指します。
新調の場合、古い畳を処分し、新しい畳を購入することになります。
最近では、畳表にイグサだけでなく健康畳や和紙畳といったものも使われているため、畳業者に頼むときに、値段の差や機能性をしっかりと確認するとよいかもしれません。
古くなり、へこみや傷がみられる具合によって、畳を替えることも必要です。
また、縁には様々なデザインがあるので、例えば8畳など多数の畳の一部を替えるだけでしたら、今の縁と同じ柄がいいでしょう。
しかし、全て新調する場合などでは、模様替えのように縁のデザインを選べる場合もあります。
こちらも、畳業者に確認をとるとよいかもしれません。
畳の敷き方で意味が変わる!8畳の場合の敷き方
畳の敷き方にも、実は意味があります。
敷き方によって、吉の敷き方である『祝儀敷き』と、凶の敷き方である『不祝義敷き』に分かれます。
昔は、畳も大切なものであり、ずっと敷いていたわけではなく、なにか冠婚葬祭などの祝義の日や、不祝義の日に合わせて敷き直していたようです。
祝義のときの敷き方としては、現在の一般的な敷き方になっています。
4枚の畳の角が一ヶ所に集まらないように、敷いていきます。
8畳の場合の祝義敷きは、真ん中に2枚、その周りに4枚敷くことで正方形のサイズになります。
不祝義のときの敷き方としては、畳の角が十字になるように同じ方向に畳を並べる敷き方です。
今でも、お寺などでは、こういった敷き方をするようにしているようです。
8畳の場合の不祝義の敷き方は、横(もしくは縦)2列に同じ方向に並べていきます。
そのため、長方形のような形になります。
畳の敷き方一つで意味は全く違うことは、現代ではあまり知られていないようです。
そのため、「葬儀だったのに、元々の敷き方のままだった!」ということもあるのではないでしょうか?
しかし、現在の畳は、取り外しも難しいため、そこまでこだわらなくても大丈夫なようです。
また、畳は長年使うほど、1枚1枚、寸法が変わってくるので部屋のサイズに合わなくなってしまうかもしれません。
さらに、部屋によって畳は決まった場所、決まった向きもあります。
賃貸マンションで一人暮らしをするなら8畳サイズ?
1Kの8畳サイズの部屋は、都心での賃貸マンションに住む部屋としては、一人暮らしの方に多いサイズの部屋ですよね。
中には一人暮らしが初めてで6畳の部屋を選び、住んでみた結果、手狭になって8畳の部屋に移り住むことも多いようです。
8畳となると少しゆとりをもった広さになるので、最低限の家具・家電を配置しても、余裕が出てきます。
そのため、インテリアなどにこだわりたい人にもおすすめできる部屋の広さになります。
かといって、広すぎるというわけではないので、お掃除も楽です。
特に畳の場合、正方形の形をしていることが多いので、お掃除も行き届きやすいのではないでしょうか。
また、冷暖房も効きやすく、光熱費の節約にも繋がります。
ただ、ある程度の広さ、ゆとりがあると言っても、8畳を広いと感じるかどうかは、貴方次第です。
実家でしたら、今まで暮らしていた環境やライフスタイルによって、抱く感想は大きく変わります。
もし一人暮らしをしていても、今まで10畳の部屋に住んでいたなら、8畳だと「少し狭いかな」と感じるかもしれません。
また、地域などにもよりますが、同じ地域での比較からすれば、基本的に部屋を広くする程、家賃も上がっていきます。
その辺りも吟味しながら、住む地域や、家賃、設備など決めていくことが大切です。
8畳サイズの部屋ってどんな感じ?
8畳サイズの部屋は、一人暮らしならば広く使え、インテリアに凝るのにもちょうどよい広さです。
(二人暮らしになってしまうと手狭になってしまいます。)
例えば、シングルベッド、2掛けのソファ、机、テレビ、本棚、パソコンデスクを別に設置しても、余裕をもって配置できます。
配置の方法も8畳が畳なら大体の確率で正方形なので、家具の配置は考えやすいのではないでしょうか。
また、フローリングで長方形の部屋であっても広さが充分あるので、その分、模様替えもできるぐらいの配置の余裕はあるでしょう。
家具やインテリアにこだわりたい方には、ちょうど良く使っていけると思われます。
以前、10畳の部屋に住んでいた方は家具を少し減らさないといけなくなるかもしれませんが、これから一人暮らしを始めて家具を選べる場合には充分な広さです。
また、上記に挙げた基本的な家具だけの部屋なら、友人や恋人が訪れてもゆっくりできる空間を持たせることが出来ます。
よく知り合いが遊びに来るという場合にも、ぴったりサイズのお部屋です。
日本人の和心に密接した畳の知識
いかがでしょうか。
さりげなく使っている○畳という言葉も、実は奥深く歴史がある言葉の一つでした。
実際、地域によってサイズがばらけていることや、敷き方に決まりがあることを知っていた方は少ないのではないでしょうか?
もし、これから物件探しを始め、気になった部屋が見つかったら「大体これぐらいの広さ」と想像せず、内覧をした方がよいでしょう。