汚れた衣服を軽快に洗ってくれる洗濯機は、生活していくうえで必要な家電です。
しかし、洗濯機も使用開始から数年すると「排水弁」と呼ばれる場所が原因で、洗濯槽に水が溜まらずに流れてしまう事態が起こりやすくなります。
水が溜まらなければ、洗濯機も仕事をしてくれません。
洗濯機の使用年数が経過しているご家庭や、不測の事態に備えたい方へ、水が溜まらない原因とされる洗濯機の排水弁についてお話していきます。
予期せぬ事態発生!洗濯機の水よ溜まれ
毎日のようにお世話になっている洗濯機の水が、ある日突然、溜まらなくなったらどうしますか?
洗濯機のスタートボタンを押したのに、まったく水が溜まる気配なく、回り始めもしない、垂れ流し状態…。
このようなときは、慌てて水漏れ業者や購入した家電量販店、もしくは洗濯機のメーカーへ連絡を取ろうとするかもしれませんが、とりあえずは、ひたすら流れている水を止めましょう。
本来なら水が溜まるべき場所に溜まらないということは、水を止める役割がある場所に不具合が生じているはずです。
洗濯機の排水機能を管理するのは、「排水弁」と呼ばれる場所です。
排水便には、洗濯機の水を溜めたり、水を排水させたりする役割があります。
当然のことながら、排水弁が閉じずに開きっぱなしだと、水は溜まらず排水溝へ流れていってしまい、逆に開かないで閉じたままだと、排水はできなくなります。
洗濯機の排水弁が故障すると、このような現象がよく起こります。
さて、洗濯機の排水機能の不具合の原因が、排水弁だということがわかりましたが、排水弁とはどのようなものなのでしょうか。
原因場所は洗濯機の排水弁!排水弁とは?
洗濯機の水が溜まらない原因の排水弁は、洗濯機の中でも重要なパーツです。
その重要なパーツは、日常の洗濯をする時には目につきません。
なぜなら、普段は滅多に日の目を浴びない洗濯機の中に存在しているからです。
メーカーによって、微妙に場所の違いはありますが、ほとんどの洗濯機は裏側内部の洗濯槽の下部にあり、排水ホースと連結している黒いゴム製です。
構造はとても複雑になっていて、排水弁モーターが作動し、ワイヤーで排水弁を引っ張り、強制的に排水弁を開かせるような仕組みになっています。
排水弁は、洗濯が終われば開いて排水し、排水が終われば自動でバルブが閉まります。
洗濯機は、水の量を計算して、排水弁を開けるタイミングを正確に割り出しているのです。
このようなことから排水弁は、洗濯機にとってなくてはならない存在なのです。
なぜ洗濯機の排水弁が作動しなくなるのか
多くの場合は、排水弁に溜まった汚れや固形物が引っかかり、排水弁がうまく作動できないため、水が溜まらなくなったり流れなくなったりすることが原因です。
引っかかってしまう異物は、衣類のポケットから取り忘れた硬貨や、ヘアピン等が多く、これを撤去すれば排水弁は通常に作動します。
汚れが溜まって作動しない場合には、汚れをきれいに掃除してあげることで、排水弁は閉じることができて、水が溜まるようになります。
そして、排水弁が開いたままになるのは上記の理由だけではありません。
ワイヤーの損傷・スプリングの損傷・モーター自体の故障・配線が切断されているなどの理由もあります。
反対に、排水弁が閉じたままになると、排水ができなくなってしまいます。
この時も同様に、排水弁に異物が溜まり、開く動作ができません。
排水溝の詰まり・排水パイプの詰まり・ホースの折れ・つぶれなども原因と考えられます。
排水溝や排水パイプ、ホースの折れを直したり、つぶれを直すのは簡単にすぐできます。
しかし、洗濯機の内部にある排水弁を修復作業をすることは、果たして自分でもできるのでしょうか。
複雑そうな場所でも自分で修理をしてみよう
修復作業を行う際、漏電をしないために、水道の蛇口は締まっているか、コンセントは抜いてあるかを確認します。
そして、洗濯機の裏側にあるネジ止めされている金属、または、パネル板を外します。
この時に外したネジや部品は、なくならないよう、紙などにセロハンテープで付けて、違う場所に保管しておきましょう。
パネル版を外し、数年間に蓄積されたほこりを払ってから排水弁を探します。
排水弁は剥き出しにはなっておらず、多くのものはプラスチック製のパイプの中に入っていて、比較的わかりやすい場所にあります。
わからない場合には、排水経路を辿っていくと見つけやすくなります。
見つけたらまず、モーターに繋がっているスプリングのワイヤーを取り外した後、キャップも外します。
キャップを外すと、中から汚れた排水弁と、金属製のスプリングが出てくるので、家庭用洗剤などを使ってきれいに洗ってあげましょう。
パイプの中は指やハケ、または、柔らかいものを入れて、洗濯機に水が溜まらない原因になった異物を取り除きます。
その後、柔らかい布などを指や割りばしに巻き付けて、パイプの中の汚れもふき取ってあげるといいでしょう。
きれいになった排水弁と、スプリングをパイプの中へ元の状態に戻します。
スプリングのワイヤーを排水弁にひっかける作業に、少し力やコツが必要になってきますが、作業の所々で写真を撮っておくと便利です。
最後は、保管しておいたネジでパネル版を取り付けて完了ですが、正常に作動するかどうかの確認も忘れずにしましょう。
洗濯機の排水弁の詰まりを防止しよう!
排水弁の修理・修復作業を外部に依頼した場合、およそ6,000円の工賃+出張費等がかかってきます。
モーターなどの故障の場合は、外部へ依頼するしかありませんが、排水弁の汚れや物の詰まりは、日頃の定期的なお手入れで未然に防ぐことができます。
排水弁の開閉の妨げになる異物を洗濯機に入れないように、洗濯の前には、ポケットの中を確認する習慣をつけたり、洗濯機についているごみポケットのごみは、こまめに撤去するように心がけましょう。
また、市販の洗濯槽クリーナーなどを定期的に使用し、洗濯槽のごみやカビの掃除もしておきましょう。
その他にも、排水溝周辺のほこりが溜まりすぎないよう、掃除機で吸い取ったり、排水溝にはパイプクリーナーを使ったりするのもおすすめです。
洗濯機から出る排水は、洗剤・皮脂カス・垢などの汚れなので、「ヘドロ化→化石化」しないように清潔を保つことが、詰まりを防ぐ秘訣になります。
排水弁のある洗濯機の後ろ側や、コンセントのある場所も、ほこりが溜まらないようにしておけば、想定外の火事防止にもなります。
こんな場所にも排水弁
洗濯機の不具合が起こって、排水弁の存在を知った方もいるのではないでしょうか。
排水弁=ドレン弁のことです。
ちなみに、マンホールにも排水弁はあります。
水道本管の水を逆流させて洗う作業の時、汚れた水を捨て、工事が終われば水道配管内に残っている異物などを流し出すための働きをしており、「泥吐弁」とも呼ばれているそうです。
また、シュノーケリングで使うシュノーケルにも排水弁が付いています。
パイプに入った水を息を吐いて簡単に排出することができます。
身近な場所では、トイレのタンクの中にも排水弁はあります。
タンク内の水を便器に流す時に開き、その後にタンク内に水を再び溜めるために弁を閉じるようになっています。
その他にも、電気温水器・自動洗米機・電気を使わずに水をくみあげる水撃ポンプ・スプリンクラーなどにも、排水便が使われています。
排水便は、私たちの生活の周りの「水の動きを調整」している大切な役割を持っているのです。
排水弁と上手にお付き合いしていこう
洗濯機には、排水弁という重要なパーツがあることが、おわかりになりましたか?
排水弁はゴム製なので、使用期間が長くなり、経年劣化が進むと不具合が生じやすくなりますが、排水弁の動きを妨げないためにも、ほこりやごみが溜まらないようにしましょう。
日の目を浴びない排水便は、知らないところで頑張って仕事をしてくれているのです。