ストーブや暖房器具を使用する際、定期的に換気扇を回す、または換気をしていますか?
使い方を間違えれば、一酸化炭素中毒を引き起こし、死に至る可能性もあるのです。
しかし、「一酸化炭素中毒」という言葉は聞いたことはあるけれど、換気をするだけでいいのか疑問に感じる人もいるでしょう。
詳しいことはよくわからない、という人も多いのではないでしょうか?
そこで、一酸化炭素中毒とはなぜなるのか、症状、予防方法などを詳しくご紹介します。
ストーブでの一酸化炭素中毒を防ぐには定期的に換気扇を回すのが大切
人間は、酸素がなければ生きていけません。
肺に入った酸素は、ヘモグロビンと結合して、全身へと運ばれます。
そして、酸素は細胞内ミトコンドリアによって、エネルギーと変わります。
しかし、一酸化炭素で満たされたところで呼吸をしたら、一酸化炭素は酸素の230倍~270倍もヘモグロビンと結合しやすくなります。
そして、一酸化炭素ヘモグロビンと変わります。
一酸化炭素ヘモグロビンは、全身に運ばれて、細胞内ミトコンドリアの働きを阻害します。
そして、酸素も足りなくなって、いろいろな症状が生じることを、一酸化炭素中毒と言います。
一酸化炭素は無色・無臭で、火事や、換気が悪いところでストーブ・ガス器具などを使用すると生じます。
特に、マンションなどの鉄筋コンクリートの建物では、一酸化炭素がたまりやすいです。
また、不完全燃焼防止装置がない湯沸かし器や、風呂釜から生じる一酸化炭素による一酸化炭素中毒事故がよく起こっています。
その他にも、煙草の煙にも、一酸化炭素が含まれています。
しかし、換気扇が回っているような換気が良いところで煙草の煙を吸う場合は、一酸化炭素中毒にはなりません。
知識がなければ、ストーブ使用で死に至ることも
一酸化炭素中毒の症状は、一酸化炭素中毒だけの特別な症状ではないということを認識しておきましょう。
また、一酸化炭素とヘモグロビンが結合したときの割合をご紹介していますが、この数値には個人差があります。
換気扇を回したりしないで、ストーブを使っていると、次のような症状が生じることがあります。
まず、低濃度吸入時の症状は、軽い頭痛や吐き気などの症状が起こります。
また、一酸化炭素濃度が高かったり、その状態の時間が長かったりすれば、強い頭痛、めまい、視力障害などの症状が起こります。
一酸化炭素は、心筋ミオグロビン(ヘモグロビンが心筋の酸素と結合して、貯めておくタンパク質)とも結合しやすいため、心筋虚血になって、胸が痛くなることもあります。
火事になって、火を消すのに時間がかかってしまうときや、自動車内が排気ガスで満たされたときなどは、たったの数十分で昏睡や痙攣が生じることがあります。
そして、死亡してしまうこともあります。
異変に気付き、換気扇を回した後も注意を!
ストーブなどを使用しているときに異変に気づいて、換気扇を回してからも注意が必要です。
一酸化炭素中毒になると、時間が経ってから症状が出ることもあります。
一酸化炭素中毒の症状がよくなってきても、数日以上経って症状が出ることがあるのです。
身体への酸素の供給がスムーズにいかなくなるため、重症になると、脳への大きな損傷が生じることもあります。
手足がしびれる、いつも頭痛がする、注意力が下がる、錯乱する、幻覚をみる、というような症状があります。
また、同じ場所を動き回るので、誰かがそれを止めると抵抗する、という症状もあります。
すぐに後遺症が出なくて、数年後に次のような後遺症が出たという例もあります。
まず、認知症です。
これは、脳への血流が悪くなって認知機能が下がったことによって生じます。
それから、高次機能障害、記憶障害、注意障害です。
また、遂行機能障害になることもあります。
遂行機能障害になると、時間を守る事が出来なかったり、自分で計画を立てられなかったりします。
社会的行動障害になって、暴力的になったり、あるいは何事にも無関心になることもあります。
後遺症は、それぞれの環境や中毒症状になっていた時間で変わってきます。
軽度な中毒症状の場合は、数ヶ月から1年くらいで後遺症が治ることもあります。
しかし、重い後遺障害の場合は、完治は厳しいと言えるでしょう。
また、中毒症状が軽くても、しばらくは経過を観察してください。
すぐ異変に気づけず、換気扇を回さずストーブ使用を続けてしまうことも
一酸化炭素は無色・無臭の気体なため、ストーブなどの不完全燃焼が起きていても、すぐには気づきません。
一酸化炭素が生じたら、しばらくしてから頭痛や吐き気を感じます。
この時にすぐに換気扇を回したり、窓を開けたりして換気をすれば、症状は重くなりません。
しかし、一酸化炭素が生じていることに気がつかないでいると、症状は重くなっていきます。
そして、昏睡状態や痙攣などが起きます。
暖房器具を使っているときに、頭が痛くなったり、吐き気を感じたりすれば、換気をしてください。
一酸化炭素中毒の症状と程度は、一酸化炭素濃度、曝露時間、呼吸の状態などによって、変わります。
一酸化炭素濃度が1000ppm以上あるところに、数十分~数時間くらいいれば、一酸化炭素ヘモグロビンが70%くらいになり、昏睡や痙攣が生じたり、死亡したりします。
狭くて密閉度が高く、火元が大きく、一酸化炭素にさらされている時間が長いほど、死亡する危険が増えます。
換気扇によって換気されてない状態で異変が起きたら…
一酸化炭素中毒の疑いがあるときは、異変が起きた人のまわりにストーブなどの火元があるか、確認してください。
換気扇が回っていないような換気が悪い場所で、バーベキューなどをすると、頭痛や吐き気などを感じる人が出てくることがあります。
その場合は、一酸化炭素中毒を疑いましょう。
そして、すぐに火元を消して、窓を開けて、換気の良い場所へ避難してください。
それでも頭痛や吐き気を感じる人がいれば、救急車を呼んでください。
また、古い湯沸かし器や風呂釜を使っている人も、一酸化炭素中毒に気をつけてください。
お風呂に入っているときに体調が悪くなれば、一酸化炭素中毒である可能性を考えて、窓を開けて、換気をしてください。
しかし、換気をしても、一酸化炭素中毒の症状がある場合は、救急車を呼んでください。
救急車を呼ぶときに、「ストーブを使っているときに、突然体調が悪くなった」というように説明しましょう。
もし、年配の人、心臓や肺に病気がある人、幼い子供がいる場合は、一酸化炭素中毒の症状がなさそうにみえても、病院に連れて行きましょう。
一酸化炭素中毒の症状がないことを、はっきりと本人が伝えることができる場合は、病院に行かなくても大丈夫です。
しかし、年配の人や幼い子供の様子がどこかおかしいときは、救急車を呼んでください。
一酸化炭素中毒を予防するには換気扇を回すのが一番の近道!
一酸化炭素中毒を防ぐには、火事や不完全燃焼を起こさないようにするのが一番です。
換気扇を回したり、窓を開けたりして、換気を1時間に数回、数分ほどするようにしましょう。
部屋の温度が下がると思うかもしれませんが、実際には数分の換気で急に温度が下がることはありません。
そこで、換気ランプがすぐ点く場合の原因をご紹介します。
石油ファンヒーターの排気口が壁に近いときや物で埋まっているときは、一酸化炭素や二酸化窒素濃度がとても高くなるので、石油ファンヒーターの換気ランプがすぐにつくことがあります。
その場合は、 壁から離して、排気口の近くに物を置かないようにしてください。
排気口にホコリがたまっているときも同じです。
空気の取り込み口や吹き出し口も、常にきれいにしておきましょう。
また、寝たばこはやめてください。
ガス会社に診断をしてもらい、不完全燃焼防止装置のないガス器具は使用しないでください。
ストーブなどの暖房器具を使用するときは、換気扇などを回して、しっかりと換気をしてください。
火事に気をつけていても、地震などで出火してしまうこともあるため、消火グッズの場所と使い方を知っておいてください。
それから、もし発火しても、一酸化炭素の濃度が高くならないように、いつでもドアや窓を開けられる状態にしておきましょう。
また、空気と人の通り道を確保する準備も必要です。
ストーブや暖房器具を使う時は、定期的な換気をしっかりしよう
今回、ストーブや暖房器具で引き起こる可能性のある一酸化炭素中毒について詳しくご紹介しました。
今後、役に立ちそうな情報はありましたか?
正しい知識を持っていれば、便利なものですが、間違った使い方をすると大変な事態になりかねません。
また、万が一のことがあっても、慌てず対応出来るでしょう。