キッチンで作業をした後、腰痛に悩まされたことはないでしょうか?
その理由は、キッチンの高さが自分の身長と合っていないことが原因かもしれません。
また、キッチンの高さが合っていないと、調理しにくくストレスを引き起こすだけでなく、ケガなどにもつながりやすくなります。
そこで今回は、キッチンの高さと身長の関係や、使いやすい高さのキッチンを決めるときのポイントをまとめてみました。
キッチンの高さが身長に合っていないときに起こること
キッチンの高さが自分の身長と合っていないと、不自然な姿勢のまま作業することになり、心身ともにストレスを感じます。
そのため、新築で家を建てたり、リフォームする際は、キッチンの高さは自分の身長に合ったものを購入しなければいけません。
一度購入してしまえば、「自分には高さが合わないから」と言って買い替えることが難しいものですから、じっくり選びましょう。
そこでまず、キッチンの高さが合わない場合、どういったことが起こりやすいのかをご紹介します。
一番懸念されるのが、日本人の国民病とも言われている「腰痛」が引き起こされる場合があるということです。
身長の割に低すぎるキッチンで作業する場合、腰痛になりやすいと言われています。
それは、無意識に腰をかがめながら作業してしまうからです。
腰に負担がかかるのが辛いので、シンクなどに体をもたれかけながら洗い物をするという方もいらっしゃるようです。
そうすると、体の前面に水がかかってしまうことが多くなります。
また、腰が痛くなるので、背の高い人が両足を開き気味にして踏ん張るように作業するという場合もあります。
そのような姿勢で作業すると、腰をかがめずにすみますが、膝に負担がかかってしまいます。
キッチンで作業をするたびに腰や膝など体に負担がかかるとなると、キッチンに立つのが億劫になってしまいますよね。
楽しく作業ができるようなキッチンにするためには、高さと身長のつり合いがとれていないといけないのです。
キッチンパーツによって作業しやすい高さの違い
キッチンには、食材を切る作業台や調理をするコンロ、洗い物をするシンクなどのパーツがあります。
最近のキッチンは見た目が美しく見えるという理由やIHの普及などで、これらが全て同じ高さに作られていることがほとんどです。
ただ、すべてのパーツが自分にとって都合が良い高さということにはならないのです。
たとえば、作業台の例を挙げてみましょう。
硬いかぼちゃなどを切る場合、少し低めの作業台の方が力が入れやすく切りやすくなります。
逆に、高めの作業台だと力が入れづらく、包丁が上手く使えずケガをしてしまうかもしれません。
そして、ポテトサラダなどを作って混ぜるとき、高めの作業台だと肩が凝ってしまうかもしれませんが、少し低めだと混ぜやすいものです。
また、コンロでは重いお鍋を使って調理することもありますので、低めの方が鍋の上げ下ろしの際、楽だということが言えます。
さらに、煮物をするときにお鍋の中が見えにくいという理由で、コンロが高いと使いにくいということもあります。
逆にシンクは、底が下がって洗面器のようになっているため、高めの方が使いやすく感じます。
このように、作業しやすいと感じるキッチンの高さと身長との関係は、作業の種類とキッチンのパーツによって異なるのです。
キッチンの身長に対する高さの基準
実は、キッチンの高さにはJIS規格があります。
80・85・90・95cmという5cmごと、4種類から選択できるようになっています。
そして、身長から割り出す理想のキッチンの高さを求める計算式があり、基準は身長÷2+5cm(端数は切り上げ)となっています。
この計算式から割り出すと、身長150cmの人は80cmの高さのキッチン、身長160cmの人は85cmの高さのキッチンが、体に一番負担がかかりにくく使いやすいということです。
計算式の基準は、食材を切るという作業のときの体勢によって決められています。
キッチンの高さを決める場合は、上記の計算式でご自身の適切な高さを割り出し、JIS規格の4種類の中から一番近いものを選ぶという方法をとるのが一般的です。
ただし、計算式から求められた数字だけで決めてしまうのも危険です。
計算式だけにとらわれず、自分にとってベストな高さのキッチンを選ぶために、次章からキッチンを選ぶ際の細かな注意点についてご説明します。
キッチンの高さを選ぶときの注意点
キッチンに立つときには、スリッパを履くことが多いですね。
キッチンの高さを考える場合は、いつも履いているスリッパの高さも計算に入れるようにしましょう。
部屋の中でも、数センチの厚みのあるスリッパを履く方もいらっしゃいます。
また、キッチンマットの厚みも考えなければいけません。
スリッパとキッチンマット合わせて5cmにもなれば、JIS規格で1サイズ違ってくることになります。
ということは、新築で家を建てたり、リフォームをする予定がないという方が、身長に対して高いと感じているキッチンをお使いの場合は、スリッパやキッチンマットで多少調節するということができるということです。
そして、キッチンが身長のわりに低すぎる場合にときどき見られるのが、椅子に座ってのキッチン作業です。
腰痛を我慢するのは辛いと思いますので、時に椅子に頼ることも必要かもしれませんが、キッチンを行ったり来たりするときに椅子が邪魔になってしまいます。
こういったことがないように、キッチンを新たに購入する場合の高さ選びは、慎重に行わなければいけませんね。
キッチンの高さ選びは身長と感覚的観点が大切
計算式だけにとらわれず、他に気にしなくてはいけない基準は、感覚的視点です。
今使っているキッチンを基準にし、比べてどう感じるのかということを見るのです。
たとえば、「今のキッチンは低すぎて腰が痛くなる」という不満があるとします。
当然のことながら、新しいキッチンの高さは今のキッチンより高いものを希望されているはずです。
JIS規格の計算式で割り出すと、今のキッチンは5cmほど自分の身長に対して低いということがわかっているにもかかわらず、シンクで洗い物をするとき以外の作業では、さほど不便に感じないと思っているかもしれません。
腰の高さや姿勢など、同じ身長でも体型や体の癖が違うことも関係してきますので、数字だけに頼らず、実際キッチンに立ったときの体の感覚を大切にして選びましょう。
新しいキッチンを選ぶときはショールーム活用を
新しいキッチンを選ぶときは、ショールームを活用することをおすすめします。
プロのアドバイザーの意見も聞いてみてください。
今のキッチンに立ったときの体の感覚と、ショールームで試してみるキッチンの感覚を比べてみるのです。
まずは、前述した理想のキッチンの高さを求める計算式で、JIS規格の4種類の高さの中から自分の身長に一番合う高さを割り出しておきましょう。
その上で、ショールームなどで実際に体が動かしやすいか、作業しやすいかを遠慮せず確認してください。
そのためには、シュールームに行く前に自宅で準備していただきたいことがあります。
まず、今お使いのキッチンの高さに関して、どの部分のどういった点に不満があるのかを書き出しておくのです。
複数個ある場合は、それに優先順位をつけてください。
そして、普段使っているスリッパやキッチンマットも持参するようにします。
そうした準備をした上で、ショールームでは「シンクでの洗い物のときはちょうど良いけれど、調理台はもう少し低い方が良い」などパーツによって、使い勝手の違いを試すようにします。
シンクや調理台が高めの場合は、蛇口の位置やコンロをIHにするなど、工夫や変更をする対応ができるものがあるので、プロのアドバイザーに相談してみましょう。
このようにして、心ゆくまでいろいろな高さのキッチンを試してみることが、自分にピッタリのキッチンの高さを見極めるポイントになります。
身長に合った高さのキッチンで楽しく作業しよう
新しいキッチンを選ぶときには、身長に合ったものを選ぶということが大切です。
計算式で自分に一番合う高さを割り出した上で、JIS規格の4種類のキッチンの高さから選ぶだけでなく、感覚的な視点も重要です。
ショールームに出向き、プロのアドバイスを受けて慎重に選ぶことをおすすめします。
自分の身長に合ったキッチンを選んで、楽しく作業ができると良いですね。