室内において、湿気の溜まりやすい場所はどこでしょう。
風通しの悪い収納スペース周辺などはもちろんですが、実は窓際も湿気が溜まりやすい場所です。
寝室などにベッドを配置する際は、窓際に近づけすぎないことを念頭に、カビが発生しない十分な配慮が必要です。
窓際の湿気の最大原因である結露や、寝具類のメンテナンス、室内の除湿方法など、ベッドや寝具をカビから守る湿気対策について考えてみましょう。
窓際の湿気に注意!
室内で湿気が溜まりやすい場所というと、押入れやクローゼットという密閉した空間が思い浮かびますが、実は窓際も湿気に注意すべき場所です。
梅雨や秋の雨の多い時期など、日本は1年を通して多湿の気候であるうえ、花粉や黄砂などが舞う季節も、窓を開けて換気ができず、室内はどうしても湿気が溜まりやすくなります。
それに加えて、窓際は内外の気温差で起こる結露によって、さらに湿気に悩まされる場所です。
結露は、冬場暖房で暖められた室内の空気が、室外の冷気で冷え切った窓際に流れる際に、その温度差で空気中の水蒸気が飽和状態になり、水滴となって窓に付着する現象のことです。
窓ガラスが水滴でびっしょり濡れるほど、湿気を帯びた結露と、多湿な気候が相まって、窓際は想像以上に湿度の高い場所であることがわかりますよね。
室内にベッド等を配置する時は、窓際に湿気が溜まりやすいことをしっかりと考慮しましょう。
窓際にベッドを置くデメリット
ベッドを窓際に配置した場合には、どのようなデメリットが考えられるでしょうか。
まずは、日差しが入りやすく、室外の音が聞こえすぎることが挙げられます。
日差しが入ること自体はメリットのように思われますが、夏場は早朝から日差しが強く、不本意な時間に起こされてしまいますし、道路を行き交う車の音や、人通り、たとえ静かな住宅地であっても、何かと室外の音は気になるものです。
また、冬は冷気が窓ガラスを通して直接伝わってきますし、夏は暑さに悩まされます。
特に南側に面している窓際は、日中気温が上昇するうえ、強い紫外線で日焼けし、お肌に影響が出ることはもちろん、ベッドや寝具が黄ばんでしまうこともあります。
さらに、前章で説明した結露も大きなデメリットです。
湿度が上がり湿気を多く含む結露は、カビが発生する原因をつくります。
このような理由から、ベッドを窓際に配置することはあまりおすすめできません。
しかし、ワンルームマンションなど、どうしてもベッドを窓際に置く場合には、ぴったりと壁にベッドをくっつけず、少なくとも10~15cm離して対応しましょう。
窓際はベッドや寝具のカビに注意!
先に触れましたが、窓際は湿気によってカビが発生しやすく、このカビは寝具の天敵です。
カビはアレルギー疾患の原因としてよく知られていますが、その他にも、肺真菌症やカビ肺炎という怖い病気を引き起こします。
さらに、このカビが生える環境をダニは好むため、カビの発生する場所にはダニが繁殖していることも、念頭に入れておかなければなりません。
ここでしっかり理解しておきたいのが、カビが発生する条件です。
高温多湿の環境に、カビの餌ともいえる栄養素があれば、どんどん増え続けます。
湿気が溜まりやすい窓際はもちろん、窓際にベッドを配置しているとマットレスやお布団も湿気を吸い、掃除が行き届いていなければ、皮脂や髪の毛、フケなどのカビが好む餌も豊富にあるため、発生しやすい条件を満たしているといえます。
窓際の結露をはじめ、ベッドの配置場所や寝具のカビ問題からもわかるように、衛生的で快適な睡眠を得るためには、湿気対策がとても重要になってきますね。
そこで次章から、湿気対策について考えてみましょう。
ベッドや寝具の湿気対策
例え窓際に配置していなくても、ベッドや寝具は湿気に弱く、しっかりとしたメンテナンスが必要です。
運ぶことが困難な分厚いベッド用マットレスは、立てかけて干し、裏側にまでしっかり風を通しておきます。
ベッド用マットレスを、べッドフレームから外して風を通すことで、ベッドフレームや床板の通気もよくし、しっかり乾かすことができます。
そして、ベッド下に引き出しなどの収納がついているなら、引き出しをこまめに開けて乾燥を心掛けましょう。
この時に、ベッド床下のホコリやゴミもきちんと掃除し、カビの餌となる要因はしっかり取り除くことが大切です。
また、ベッド用マットレスをはじめ、掛け布団などの寝具は、素材にあわせて天日干しや陰干しを定期的にすることをおすすめします。
雨の日や花粉が気になる時期は、エアコンを使ってもよいでしょう。
人は寝ている間にコップ1~2杯もの寝汗をかくといわれ、この寝汗が寝具に染み込み、知らない間にたっぷり湿気を帯びています。
この寝具の湿気には、除湿シートや除湿マットが効果的です。
寝汗をしっかりと吸い取り、除湿すると色が変わるセンサーつきのものなど、豊富な品揃えがあります。
ベッドの湿気対策は、衛生的で快適な睡眠への第一歩といえるでしょう。
室内の湿気対策
次に、室内全体の湿気対策について考えてみましょう。
室内の空気の湿度が高いと、ベッドフレームやその上に敷かれているマットレス、お布団などの寝具全てが湿気を吸ってしまいます。
まずはこまめに窓を開け、換気しましょう。
エアコンの除湿機能をうまく使って、湿度をコントロールするのもひとつの方法です。
少し高価になりますが、除湿器を使えばお部屋全体をしっかりと除湿できます。
近頃は、手を出しやすい価格の商品が販売されていますし、雨の日の洗濯物の部屋干しに併用できたりと、機能性に優れているものが多く、湿気対策として大いに期待できます。
低コストで済ますなら、お部屋に除湿剤を置いてみましょう。
この除湿剤もこまめにチェックし、水がいっぱいになればすぐに交換して下さい。
また、湿気が溜まりやすいとされる窓際の壁に、ベッドを配置するのが不向きなのは先ほどお伝えしましたね。
できる限り、窓際の壁からは離してベッドの配置を考え直すことも、大きな意味での湿気対策になるといえるでしょう。
窓際の湿気対策
窓際の湿気の最大の原因は結露です。
ベッドの配置を窓際から変えなくても、窓際に結露がつきにくくすることで、湿気から寝具を守ることができます。
まずは、窓際の温度が極端に下がらないようにすることが大切です。
これにはサーキュレーターで室内の暖かい空気を窓際に流すのが効果的です。
サーキュレーターをわざわざ購入しなくても、お家にある扇風機などで十分代用ができるため、お部屋の中の空気を動かすことを重視してみましょう。
また、カーテンを閉め切ったままにせず、定期的に開けて、カーテンと窓の隙間に冷気を溜めないように心掛けましょう。
結露は、冬場の室内と室外の温度差から生じるものですが、室内で使う暖房器具の種類にも影響を受けます。
灯油やガスストーブなどの開放式ストーブは、燃焼することで水素が酸化し、大量の水が発生します。
少しでも結露を減らすために、エアコンやホットカーペットなどの電気暖房器具に変えてみるのもいいでしょう。
窓際の結露による湿気対策をしっかりすることで、ベッドや寝具をカビから守り、快適な空間を維持することができます。
湿気は天敵!しっかりとした湿気対策を!
室内では、押し入れやクローゼットはもちろん、意外なことに窓際も湿気がたまりやすい場所です。
まずは、ベッドや寝具の配置を考え直してみましょう。
アレルギーや恐ろしい病気の原因ともいわれているカビは、湿気を好みます。
高温、多湿、栄養素というカビを発生させる条件をしっかり把握し、取り掛かりやすい湿気対策からはじめてみましょう。