最近は、毎日の健康維持のために「睡眠」が改めて注目されています。
日中の活動で疲れた脳や身体の疲れを回復するには質の高い睡眠が必要ですが、思ったような睡眠がとれていない方も多いのではないでしょうか。
そんな悩みを解決するため、「マットレスを新しくしてみよう」と言う方も増えています。
しかし、一概にマットレスと言っても中身は見ることができませんし、種類も多すぎてその違いが分かりにくいのが現状です。
今回はそんな多くのマットレスの中でも、二大有名メーカーと言われるフランスベッドとシモンズの特長を徹底検証していきます。
有名マットレスメーカー「フランスベッド」
会社名に「フランス」という国名が入っていますが、フランスベッドはフランス共和国とは関連のない生粋の日本の企業です。
まだお布団の生活が大半だった日本にベッドを普及させようとした創業者が、それにふさわしい商品名を社内公募したところ「フランスベッド」が採用されたということです。
当時フランスは日本人にとって憧れの国であり、欧米の生活に近づくベッドというアイテムには良いネーミングだったのかもしれませんね。
しかし、その商品は日本の気候や日本人の体形を考えたものであり、現在でもその考えを貫いて商品作りをしています。
マットレスの構造の中心となるのは「高密度連続コイルスプリング」と言われるもので、一本の鋼線によって複雑な形状に編み上げることによってスプリングユニットが形成されます。
この構造はシモンズなどでは採用されていないもので、国内ではフランスベッド独自のものとなります。
その耐久性に優れた構造は、日本国内のホテルや宿泊施設はもちろん、官公庁施設や豪華寝台列車などにも採用され、国内ベッドメーカーでは最も高いシェアを誇っています。
有名マットレスメーカー「シモンズ」
一方、シモンズは1870年にアメリカで誕生したベッドメーカーです。
シモンズを一言で説明するならば、ポケットコイルマットレスの量産化に成功したメーカーだということになるでしょう。
ポケットコイルマットレスとは、つづみ型のばねを不織布などで作った袋状のものに入れ、それを均等に並べ接着するユニットを形成したものです。
量産化以前は、製造に手間がかかることから非常に高価なものとなり、一部の富裕層しか手に入れることができなかったようです。
しかし現在では、フランスベッド以外の多くのメーカーがポケットコイルを使ったマットレスを主力商品として製造する時代になりました。
その元祖はシモンズと言っても良いでしょう。
発祥はアメリカですが、現在は日本法人としてその多くのマットレスを国内工場で製造しています。
近年、外資系高級ホテルなどの進出によりマットレスメーカーとしてのシモンズの名前が認知され、今では豪華客船を始め、眠りにこだわりを持った多くの宿泊施設で採用されています。
日本の老舗メーカー「フランスベッド」のマットレスの構造を検証
フランスベッドが製造するマットレスの最大の特長は、高密度連続コイルスプリングです。
一本の鋼線を複雑に編み上げることで作られるユニットは、腰や背中など荷重が強くかかるところの部分的な落ち込みを防ぎ、長い期間使用していても型崩れが少なくなります。
マットレスのよく使う部分だけがへこむことを「へたり」と言いますが、その状態が出にくくなり、長期間に渡り寝姿勢を崩すことなく使用できる可能性が高くなります。
また、連続したスプリングはかかった荷重を押し上げる作用がありますので、寝返りがしやすいという特長もあります。
適度な寝返りは睡眠中に体内の血流を促し、筋肉の疲労回復にも必要不可欠ですが、その寝返りを助けてくれるので、無駄なエネルギーを使わずに済みます。
加えて、鋼線のみでユニットを形成しているので、マットレス内部の空間が多くあり、通気性にも優れています。
乾燥地域が多いアメリカ生まれのシモンズに比べ、通気性の良い構造を重要視している点は、湿気が多い日本の気候を十分に考慮していると言えるでしょう。
アメリカ生まれの老舗メーカー「シモンズ」のマットレスの構造を検証
一方、シモンズのマットレスですが、その最大の特長はポケットコイルスプリングです。
つづみ型のスプリングを不織布などの袋に詰め、均等に並べたユニットは、フランスベッドのマットレスとは対照的に、荷重がかかる部分だけが沈み込みます。
例えば、お尻の部分など荷重が大きくなり、出っ張りが大きな部分は深く沈みこみ、頭部や脚部などのさほど荷重がかからない部分はほどんど沈み込みません。
したがって、マットレスに横たわった時のフィット感が非常に高くなります。
また、袋に入れるスプリングの鋼線の太さや長さによって、マットレスの硬さやクッション感が大きく変わりますので、使う方の体型や好みに合わせてマットレスを選ぶことが可能です。
最近ではマットレスの片面に機能を集中させ、マットレスの裏表を定期的に変えて使用するローテーションを不要としたタイプもあり、使う方の利便性も考えられています。
フランスベッドのマットレスに適しているのはどんな人?
それぞれのマットレスの特長は理解できても、フランスベッドとシモンズのどちらを選んだら良いのかが分からない方も多いと思います。
それではどのような方に、それぞれのマットレスが適しているかを見てみましょう。
まずはフランスベッドのマットレスですが、しっかりとした硬さがお好みの方や初めてベッドを使われる方に適しています。
なぜなら、部分的な沈み込みが少ないことから身体をしっかりと支えてくれる安心感があり、これまでお布団を使われていた方にも、極端なクッション感などが少ないことから、違和感なく使うことができると考えられるからです。
また、寝返りに苦労している方にも適しています。
先述の通り、寝返りは質の高い睡眠には必要不可欠なものですが、最近では寝返りが不足していることが一因の腰痛で悩む方も多いようです。
腰の部分は体重の45%ほどの重さが集中するため、柔らかすぎるマットレスでは腰を持ち上げて寝返りする動作に大きな力が必要となり、非力な女性の方などは必要な寝返り自体が減少する傾向にあると言われています。
最近ではマットレスの表面近くに高反発の素材を入れて、更に身体の動きを助けてくれるタイプもあります。
加えて、通気性にも優れていることから、汗かきの方や寝室の湿気が気になる方にも適したマットレスと言えるでしょう。
シモンズのマットレスに適しているのはどんな人?
では、シモンズのマットレスはどのような人に適しているのでしょうか。
まずはマットレスの沈み込みを必要としている人、特に横向き寝の姿勢が多い方には適していると言えます。
横向きの姿勢で横たわると仰向けの姿勢に比べてマットレスとの接地面積が小さくなり、身体の各部分が強くマットレスと接することになります。
特に横向きの際には片方の腕が体に挟まれた体勢になりますが、その部分がスムーズに沈み込むことで腕の圧迫が軽減され、しびれなどの原因を防ぐことができます。
沈み込みの度合いも使用する鋼線の太さや長さによって様々な種類のマットレスが揃っていますので、お好みに合わせて選ぶことが可能です。
各部分が適度に沈み込むことから生まれる、包み込まれるような心地好さでシモンズのマットレスを選ばれる方も多いです。
また、ポケットコイルスプリングはスプリング同士が連結してないため、荷重がかかる部分のみが沈む構造になります。
したがって、ダブルベッドなど大きなサイズのベッドに二人で寝た場合でも、隣に振動が伝わりにくいという特長があります。
隣で眠る人の動きが気になって眠れないという方にはコイルが連続しているフランスベッドのマットレスよりも適しているかもしれません。
フランスベッドとシモンズのマットレスはどちらも高品質
フランスベッドとシモンズのマットレスについてご説明しましたが、それぞれに良い特長があります。
どちらのマットレスも多くは国内で製造されており、その品質は多くのマットレスメーカーの中でも最上位クラスと言えるでしょう。
重要なのはマットレスが使われる方に合っているかどうかということですので、それぞれのマットレスの持つ特長を理解して、自分に合っているかどうかをチェックすることが大切です。
マットレスを変えることで、睡眠の悩みが解消されると嬉しいですね。