夜寝る時に使う寝具も、体の調子を整えるためにたくさんの種類がありますよね。
背中や腰の痛みを和らげるために、低反発マットレスを使用する方も多いと思います。
そんな低反発マットレスですが、きちんとお手入れできていますか?
知らないうちに湧いて出てくる、アレルギーの原因ともなるダニの退治はできていますか?
今回は、低反発マットレスの効果的なダニ退治の方法や、お手入れ方法を学んでいきましょう。
低反発マットレスとは
今や人気となり、いくつもの種類が出ている低反発マットレスですが、その素材や特徴を知っていますか?
低反発マットレスというのはその名の通り、反発力が少ない(=身体にかかる圧力が分散され、一か所に圧力がかかるのを防いでくれる)マットレスです。
低反発マットレスは、NASAがロケットを打ち上げる際、中にいる宇宙飛行士にかかる衝撃を和らげるために開発された素材でした。
低反発素材は、圧力を受けてもゆっくり形が戻ることで衝撃を吸収してくれるという特徴があります。
その素材で主に使われているのが、「低反発ウレタン」と呼ばれるものです。
皆さんも、一度は触ったことがあるのではないでしょうか?
手で押すとその形が残り、ゆっくりと元に戻っていくのを経験したことがあると思います。
その機能から、包まれるような寝心地の良さが特徴で、人気の商品となっています。
そして、現在では、様々な種類の低反発マットレスが販売されており、ダニ退治に欠かせない機能を持ったものも販売されています。
ダニの生態とダニ退治
一口に「ダニ」と言っても、住宅に出るダニに吸血性のダニは少ないと言われています。
一番多いのが「ヒョウヒダニ」と呼ばれるダニで、このダニのフンや死がいが、ダニアレルギーの元(アレルゲン)になります。
そして、ヒョウヒダニは、ほぼ一年中見られるのが特徴です。
温度が20度~30度、湿度が60%~80%の環境を好みます。
人間が生活する家の中は、一年を通して温度・湿度ともにダニの好む環境なのです。
また、ダニの餌となるものは、主にホコリ、人のアカやフケです。
温度・湿度が一定に保たれ、人のアカやフケが付きやすいお布団や枕、ソファに多く生息しています。
もちろん、寝具の一つである低反発マットレスにもヒョウヒダニは住み着きます。
ヒョウヒダニは、餌がホコリや人のアカなので、人の血を吸うことはありません。
また、同じく人の生活と密着しているダニは他にもコナダニ、ツメダニ、イエダニなどがあり、コナダニとツメダニは梅雨時期と秋口に、イエダニは5月~9月に多く見られます。
中でもイエダニは主に、ネズミの体に生息していますが、何らかの理由で大発生した時に、人が噛まれるという被害が出ます。
このように、家に出るダニは主に4種類ですが、そのダニ退治の方法とはどんなものでしょうか。
やってしまってない?間違ったダニ退治
昔から、お布団のダニ退治には色々な方法があると言われています。
ですがその方法は、本当に正しいのでしょうか?
まず、天気のいい日にお布団を天日干しにする方法があります。
なかには、ダニが出てくるようにとお布団たたきでバンバン叩いて、そのまま干してしまうという方もいることでしょう。
しかし、実はこの方法、ダニ退治には全く効果がありません。
ダニは熱に弱く、50℃の環境なら20分で死滅すると言われています。
しかし、天日干しだけで50℃まで上げるのは難しく、黒色のビニール袋をかぶせるというのもありますが、それでは湿度も上げることになり、ダニの好む環境を作り出しているようなものです。
また、お布団たたきで叩いても、生きているダニはお布団の内部に入り込み、逆に死がいや卵などのアレルゲンをお布団の表面に出しているだけなのです。
そこで、スプレー型の殺虫剤を散布するという方法もありますが、定期的に散布すれば効果は見込めるかもしれませんが、いつも寝るお布団を殺虫剤まみれにするのは嫌ですよね。
もちろん、お布団や低反発マットレスに普通の掃除機をかけるという方法もあります。
しかし、アレルゲンとなるダニの死がいやフン、餌となるフケやアカを吸い取るという点では効果がありますが、生きているダニには全くと言っていいほど効果はありません。
このように、ダニ退治に効くと言われる方法は色々ありますが、効果的にダニを退治できる方法はあまり知られていないのです。
効果的なダニ退治の方法とは
昔から言われていた様々な方法が、実は、ダニ退治に効果がないと言いましたが、では効果的なダニ退治の方法はないのでしょうか。
先ほどダニが熱に弱いことがわかりましたが、実は乾燥にも弱いです。
ダニは、湿度が55%以下の環境が1週間続くと、生きていられません。
そこで効果的なのが「布団乾燥機を使う」ことです。
60℃まで温度を上げられる布団乾燥機であれば、ダニを退治することができます。
そのあとは、掃除機で丁寧に吸い取りましょう。
縦、横にゆっくりと丁寧に掃除機をかけます。
布団専用ノズルに付け替えて行うとより効果的です。
また、スチームアイロンを使う方法もあります。
スチームアイロンは100℃以上の温度を当てることができるので、ダニ退治には最も手軽で効果的なアイテムです。
夜行性のダニをおびき出すために、退治を始める一時間ほど前に部屋を暗くし、そのあと掃除機をかけます。
そして、固く絞った濡れタオルを当て布にして、スチームアイロンの蒸気をダニの繁殖する場所に当てます。
そのあとに布団乾燥機で十分に乾燥させれば、ダニ退治の方法として効果的です。
しかし、普通のお布団ではできるこの方法も、低反発マットレスではできないことばかりです。
それは、なぜなのでしょうか?
次は、その理由について見てみましょう。
正しい低反発マットレスのダニ退治方法
先ほど、低反発マットレスでは、通常のお布団のダニ退治はできないと言いました。
その理由は、低反発マットレスに主に使われている「低反発ウレタン」の性質のせいです。
マットレスは基本的に水洗いはできません。
特に、ウレタンは水で変質しやすく乾きも悪いので、再びダニの発生しやすい環境を作ってしまうこともあります。
また、熱でウレタンが変質してしまい、元のような使い心地が失われてしまうため、スチームアイロンや布団乾燥機の使用も難しいと言われています。
お布団クリーニングに出す方法もありますが、ウレタン素材はクリーニングの対象外になることもあります。
では、どうすれば、低反発マットレスの効果的なダニ退治ができるのでしょうか?
低反発マットレスでのダニ退治に、一番効果があるのは「乾燥させる」ことです。
できることが限られているウレタン素材の低反発マットレスの場合、熱を使う乾燥よりも、風などで内部を乾燥させてダニを退治する方法が、最も効果的だと言われています。
熱による変質を防ぐため、風通しの良い場所で陰干しをしてから掃除機をかけます。
一度だけでなく、定期的に繰り返すことで、卵から孵ったダニも効果的に退治することができます。
そして、低反発マットレスの内部を乾燥させることによって、新たなダニの発生を防ぐこともできます。
また、ダニ取りシートを使うことも効果があると言われています。
ダニは、目に見えるものではないので、はっきりとした効果を感じられるかどうかは人によって変わってきます。
しかし、湿度が高くなる梅雨時から夏の間などだけ使用すれば、費用もあまりかからずに済みますし、他の方法と併用すればさらに効果が見込めます。
低反発マットレスだけじゃない、ダニ退治後の予防
低反発マットレスだけでなく、通常のお布団でもダニ退治をした後に大切なのは、新たにダニを発生させないことです。
一番最初にしておきたいこと、それは餌となるフケやアカ、ホコリをマットレスに吸着させないことです。
汗をかきやすい上半身部分にタオルを敷き、2~3日に1度洗濯するというサイクルを作れば、ダニの餌を効果的に減らすことができます。
マットレスを、毎日洗濯して乾燥させるのは大変ですが、タオルであれば簡単ですよね。
また、防ダニ加工をされたシーツを使用するのも一つの手です。
最近では、布団用の防ダニスプレーも販売されており、手軽にダニを予防することができます。
繰り返しますが、何より大切なのが、お布団やマットレス周りを清潔に保つことです。
こまめに掃除機をかけるなどして、ダニの発生を予防しましょう。
低反発マットレスの正しいダニ退治で快適な生活を
いかがでしたか?
ダニは知らず知らずのうちに発生、繁殖し、私たちの生活を脅かす存在です。
低反発マットレスは便利ですが、だからと言って、使ったあとそのままにするとダニも発生しやすくなります。
せっかくの低反発マットレスも、ひとたびダニが発生してしまえば寝るのも嫌になってしまいますよね。
面倒と思わずに、こまめに清潔にすることが大切です。
正しいダニ退治と予防で、快適な睡眠を送りたいものですね。