デスクワークを支えてくれる椅子は、作業タイプによって選ぶ基準が違います。
今現在、オフィスや家庭で多く使われているのは、レバーひとつで高さを調節でき、回転できるタイプのものです。
昇降の動力として油圧式とガス圧式がありますが、安価なガス圧式が主流となっています。
今回は、油圧式ガス圧式の椅子が故障したときの対処法をはじめとして、椅子の種類や椅子を選ぶ時の注意点などについてまとめてみました。
油圧式の椅子が故障すると油漏れ
デスクワークなどで使用されているシリンダー式の椅子には2種類があることをお伝えしました。
そして、ここでは、油圧式の椅子についてお話をしましょう。
油圧式の椅子は、上部です。
昔は、特にこのタイプが多く出回っていました。
しかし、最近ではガス式が主流になりつつあるため、販売台数も減ってきています。
そして、この油圧式の椅子にも寿命があり、故障します。
その寿命のサインは、「油漏れ」です。
油漏れをしたら、買い替えましょう。
残念ながら、油圧式の椅子の修理は、無理なことの方が多いです。
しかし、油漏れを買い替えと言っても、実際に油漏れをしてしまったら困ってしまいますね。
そこで、買い替えの前に、まずは応急処置をしなくてはいけません。
油が漏れると床に油汚れが付いてしまいます。
油は一度付いてしまうとなかなかやっかいです。
応急処置の方法としては、ティッシュなどで油がにじみ出ている箇所をガードします。
そしたら、その上からガムテープで固定しましょう。
そして、椅子の下に新聞紙など敷物を敷きます。
これで応急処置ができました。
しかし、あくまで買い替えまでの応急処置です。
もし、油漏れをしたら早急に買い替えをしましょう。
ガス圧式、油圧式の椅子の故障で爆発事故?
以前中国で、油圧式椅子が故障して爆発したというニュースがありました。
このとき、油圧式の椅子は危険だという憶測が流れたのですが、本当でしょうか?
実は中国でのこの事故は、油圧式ではなくガス圧式の椅子の爆発だったのです。
ということなら、ガス圧式の椅子が危険なのかと心配になってきますが、中国での事故は悪質な粗悪品のための事故だったと言われています。
現在、日本で販売されている椅子は、部品等も日本製のものはほとんどないとも言われています。
しかし、だからと言って無闇に不安がる必要はありません。
爆発事故を起こした椅子は、製造コストを抑えるため、高圧の空気を充填した可能性があります。
また、使用する際近くにストーブなどを置いて、ガスが高温になった可能性も考えられます。
では、日本ではどうなのでしょうか。
日本ではガス圧式椅子に、窒素ガスを使用しています。
この窒素ガスは爆発の恐れはありませんので、このような事故が起こる可能性は低いでしょう。
とは言え、椅子のすぐ近くにストーブなどを置き続けることは、控えた方が良いですね。
そして、しっかりしたメーカーからの購入が安心です。
異常に安いものには手を出さないということと、品質保証書が付いているものを購入して、できれば日本のメーカーが管理しているものを選ぶのが望ましいです。
安全のためJOIFA(日本オフィス家具協会)では、使用中に「何かいつもと違う」という違和感を感じた場合は、使用を中止して販売元に問い合わせることを推奨しています。
油圧式は交換不可能だがガス圧式椅子は自分でシリンダー交換が可能!
ガス圧式の椅子も油圧式の椅子も座面の下にはレバーが付いています。
座面に座らず、もしくは座面からお尻を浮かせた状態でこのレバーを上に引くと椅子は上がり、反対に椅子を下げたいときには同じ状態でレバーを下に引くだけ、というとても簡単な動作です。
その便利さゆえに、現在オフィスや家庭の書斎で使用されている椅子のほとんどが、このレバー1つで操作できるタイプのものになっています。
便利なだけあり、使用者が増えてきていますが、その分、寿命を迎えて故障している方もいます。
故障したときの症状としては、油圧式の椅子は油漏れ、ガス圧式のものはガスシリンダー内のガスが徐々に抜けてくるにより、上手く作動しなくなることです。
このとき、油圧式は買い替えを検討することになりますが、ガス圧式の椅子であればガスシリンダーだけを交換することができます。
ネットでも汎用性シリンダーが多く出回っていて、費用は2,000円~3,000円程度で購入できる場所もあります。
ただし、この値段はあくまで安いタイプの椅子の場合です。
グレードが高い椅子のものだとシリンダーだけで10,000円以上のものもあります。
このように交換することができるとお伝えしましたが、実は交換作業は結構大変です。
機械いじりなどが苦手だという方は、「シリンダーを購入して自分で修理する」、「メーカー送りで修理してもらう」、の他に「買い替え」も選択肢に入れてみるのも良いかもしれません。
安い椅子の場合は買い替えがベストだと思います。
シリンダーのサイズはメーカーによって違うので、修理を考える場合はまず、椅子を購入したメーカーへ問い合わせてみましょう。
ただし、ガス圧式椅子でも、上下昇降とリクライニング機能の両方が付いているタイプのものは、自分でシリンダーの交換をするのは、まず無理だと考えてください。
メーカーへ送り、修理してもらうことになるでしょう。
故障したガス圧式の椅子を自分でシリンダー交換する方法!
油圧式の椅子が故障したときは実質交換が不可能になりますが、ガス圧式の椅子ならシリンダーを交換すれば、また使用できるようになります。
「自分でガス圧式の椅子のシリンダーを交換してみよう」という方のために交換方法をご紹介します。
交換する際は、2人で作業する方がよりスムーズに行えます。
もし、1人で作業するのであれば椅子は横にして作業を行いましょう。
まず、椅子を逆さまにしてください。
座面の下に椅子の脚部分と座面をつないでいるネジがありますので、これを分解してください。
座面と脚部分が離れないタイプの椅子もありますので、その場合はそのままでも大丈夫です。
2人で作業するときには椅子を逆さまにしたまま脚部分を外すために、心棒部分に添え木をしてガスシリンダーをしっかり持ちながらラバーハンマーで叩きます。
引っこ抜こうと思ってもなかなか抜けませんが、ハンマーで叩くとわりと簡単に外れます。
外すことができたなら、古いシリンダーを抜き取り新しいものと交換するだけです。
交換作業のとき、油の流れ出しなどがある場合があります。
床にレジャーシートなどを敷き、汚れても構わない服装と軍手を着用して行うようにします。
また、固いハンマーで叩くと椅子を傷めますので、必ずラバーハンマーを使うようにしてください。
素人の交換作業ですので、微妙なゆがみが生じることがあります。
この作業を行う際は、あくまで自己責任のもと作業してください。
もし、自信がないのであれば、メーカー送りか買い替えをおすすめします。
デスクワーク時の体を支えてくれる、大切な椅子の種類
ここまでは、椅子のシリンダーについてお話をしてきました。
実際に寿命が来て故障ときに買い替えるなら、自分に合ったものを購入したいですよね。
そこで、椅子の形状についてお話ししていきましょう。
デスクワークのための椅子の形状は、大きく分けてハイバックチェア、ミドルバックチェア、ローバックチェアの3種類があります。
いわゆる背もたれの高さが高いものが、ハイバックチェア、低いものがローバックチェア、その中間がミドルバックチェアといいます。
ただ、その高さに規定があるわけではありません。
背もたれが高いなと感じるもの、低いなと感じるものというように、わりとアバウトなんですね。
ハイバックチェアの中には頭を支えてくれるヘッドレスト付きのものがあります。
ヘッドレスト付きの椅子は疲れて頭を後ろに傾けたとき、頭を支えてくれるので、眼精疲労の予防に良いとされています。
他には、アームレストが付いているタイプ、キャスター付きのもの、背もたれの形状がS字になっているものなど用途によって最適な椅子を選ぶことができます。
アームレストは、頻繁に立ったり座ったりする人の支えになってくれるので、疲れが軽減されます。
形状の他には素材による区別があります。
レザー製、ファブリック製、人口皮革、メッシュ製などデスクワーク用の椅子は種類も豊富です。
そして、先ほどご紹介したように、昇降を油圧式で行うタイプと、安価なので今現在主流になっているガス圧式で行うタイプがあります。
ガス圧式のものは上下昇降だけでなく、リクライニングもできるタイプがあります。
会議やミーティングのときには、昇降やリクライニング機能がないパイプ椅子が活躍してくれますね。
体の症状別、快適なデスクワークのための椅子の選び方
椅子の種類や選び方は、前章でご紹介した意外にも自分の体と相談して選びたいポイントがあります。
○デスクワーク時の姿勢に応じて前傾姿勢か後傾姿勢か
デスクワークのための椅子は自分の用途に合ったものを選ぶ必要があります。
まず、デスクワークの時の自分の姿勢が、前傾なのか後傾なのかということが大切です。
地面に対して平行にものを見るのであれば前傾姿勢、地面に対して垂直なものを見ることが多い、たとえばパソコンの画面などを見て作業をするのであれば後傾姿勢に向いた椅子が理想です。
○足がむくみやすい人は足が床につくかどうか
地面に足がつかないと、太ももが座面に押しつけられて血流が悪くなりがちです。
下半身の血流が悪いと足がむくむだけでなく、上半身にも悪影響を及ぼしてしまうので注意が必要です。
椅子を身長に合わせて購入したにもかかわらず、身長の割に座高が高い人の場合によくあります。
座面の角度を調節できるタイプの椅子なら、この問題は解消できます。
○腰痛に悩むならクッション性に注意が必要
今や国民病ともいえる腰痛です。
腰痛持ちの方は、デスクワークのときの椅子選びには、特に注意が必要です。
クッション性が高すぎる椅子だと座面が沈み込み過ぎてしまいます。
ただし、お尻が痛くなりやすい人、お尻に座り跡などが付いてしまうのが嫌な人にとっては、硬めの座面より柔らかい座面のほうが適しています。
このように椅子選びには、購入時にチェックするポイントがたくさんあります。
ネットで安価な椅子が手軽に買える時代になりましたが、作業の疲れを軽減し快適なデスクワークのためには実際に何度も座って座り心地を確認して、椅子を選ぶ必要があるということですね。
○ガス圧式か油圧式か
今、日本で椅子を購入するときには、ガス圧式か油圧式かということで選択する人はあまりいません。
先ほどご紹介したように、ガス圧式はきちんとしたメーカーのもので、シリンダー部分をストーブなどで無駄に暖めたりしなければ、爆発の心配はほとんどないものです。
また、経年による故障で油漏れが起こる可能性のある油圧式ですが、経年により不具合が起こるのはガス圧式も同じと言えます。
ただ、使用中に不具合が起きたときのために自分が購入したものが、ガス圧式か油圧式かということは確認しておきましょう。
椅子選びの基準と壊れたときの対処法をしっておきましょう
椅子は購入時に自分にぴったり合ったものを選ぶことがとても大切ですね。
長年、大切な体を支えてくれるものですから、安さだけで選ぶのは避けたいところです。
良いものは、体にもやさしく長持ちします。
ただどんなに良いものでも、経年による劣化は避けられません。
自分の椅子がガス圧式か油圧式のどちらかということ、そして不具合が起きたときの対処法を知っておくことが必要です。