コンクリートにネジを付ける、ということを試みたことはありますか?
木の壁や柱にネジを打ち付けるように、コンクリートに打ち付けると、ネジが引っ掛からずにボロっと抜け落ちてしまいます。
でも、コンクリートの壁に何かを固定したいことは、一般家庭にもよくあることです。
では、どのようにすれば、コンクリートにネジを取り付けることができるのでしょうか?
その方法を見ていきましょう。
コンクリートの種類
コンクリートは火に強く、自由に型をとることができ、大変丈夫で便利なものです。
一方、丈夫ではあるけれど、その強度を得られるところまで固まる時間が、長く掛かるという欠点もあります。
コンクリートは誰もが知っているものから、あまり知られていないものまで種類も豊富です。
いくつか代表的なコンクリートをご紹介しましょう。
●鉄筋コンクリート
よく耳にするコンクリートです。
圧力に対してはコンクリートが、引っ張る力に対しては鉄筋が抵抗するように作られ、鉄筋と複合して使用しているものです。
●マスコンクリート
ダムや橋脚などに使用されるものです。
使用される断面が非常に大きく、大型構造物に用いられます。
●プレストレストコンクリート
コンクリートは引っ張る力に弱いため、引っ張り部分にひび割れが発生することがあります。
ひび割れが発生しやすい場所へPC鋼線などを使用し、圧縮力をあらかじめ取り入れているものです。
●軽量コンクリート
これも聞いたことがあると思います。
コンクリートを軽くするため、軽量骨材を使用するか、多量の気泡を混ぜて作られたものです。
●水密コンクリート
プールや地下水など、水の浸透に対する抵抗性を求められる際に使用します。
まだまだご紹介できていないコンクリートがたくさんあります。
それぞれのコンクリートに付ける部品やネジ、部材の取り付け方法、使用場所、使用方法など、さまざまな工夫がなされています。
コンクリートに穴をあける道具
硬いコンクリートに穴をあけるのに適した道具があります。
一般的に知られている電動ドリルのように、回転機能のみのドリルでは、コンクリートに穴はあきません。
途方もない時間を費やしてしまいます。
穴をあけるのに適した道具とは、一体どういったものがあるのか、見ていきましょう。
●振動ドリル
電気ドリルのようにドリルビットを回転させるだけでなく、縦方向へ前後に動きます。
つまり、軸の方向へ、打撃するように振動させるのです。
この打撃力で、硬いコンクリートを砕きながら穴をあけることができるのです。
一般的な振動ドリルには、回転のみと、回転しながら打撃させるものと、2つの仕様が付いています。
電動ドリルと見た目がほとんど変わらないので、この2つの仕様を切り替えるスイッチが付いているかで判断をすると、分かりやすいでしょう。
●ハンマードリル
振動ドリルよりも、さらに破壊力があり、穴のをもっと深くまであけることができます。
工事現場で見かけたことがあるかと思いますが、体全体を使って道路を砕いている、大きなドリルです。
もちろん家庭用のサイズのものも販売されています。
●インパクトドライバー
こちらも振動ドリルと同じく、回転と打撃を利用して使用するものです。
打撃力もあるので穴をあけることも可能です。
電気ドリルに比べて締め付けが強いので、ネジをきつく締めることもできます。
ただ、締め付けや衝撃力が非常に強いので、ドリル自体が折れてしまう場合があります。
穴をあけることもできますが、あまり向いていません。
これらの道具は、用途によって使う道具や方法は変わってきます。
どんなコンクリートに、どうやってネジや部材を付けるか、しっかりと確認をしてから道具を揃えましょう。
また、今はホームセンターなどで、道具のレンタルもされているので、購入前にチェックはいれておきましょう。
コンクリートに付けるネジ
実際にコンクリートに付けるネジは、どのようなものがあるのでしょうか。
コンクリートにネジを付ける方法の前にネジを固定するための部品もあるので、そちらのご紹介もあわせてしましょう。
●コンクリートビス
コンクリートに直接打ち付けるタイプのネジです。
ネジ山に段差がつけてあり、ネジ山部分に切り込みを入れて欠けさせています。
その欠けている部分や段差で、コンクリート内部に引っ掛かるようになっているのです。
コンクリートにネジを締めるというより、引っ掛けるといった感じになります。
仕上がりはきれいなため、端や角付近でも施工はできます。
ただ、直接付けるタイプなので、衝撃には強くありません。
棚のように、ものを出し入れするものに使用すると、少しずつ加えられる衝撃で、徐々にコンクリートの穴が大きくなっていきます。
突然棚が落ちる、といった事態にもなりかねません。
そのため、衝撃が加わるような場所には不向きです。
●プラスチックプラグ・樹脂プラグ
プラグとは、コンクリートにあけた穴に埋め込み、そこへネジを締め付ける器材です。
プラグは使用するネジの種類を選ばないので、木ネジを使うこともできます。
もし、ネジの締め付けに失敗をしても、直接打ち込んでいないので、修正がしやすいです。
また、金属のように錆びないので、錆びによる劣化で固定していたものが外れるといったことはありません。
プラグを使用することで、ご家庭で使われるような装飾品や照明器具などは、ほとんどが木ネジで取り付けられるようになります。
コンクリートに穴をあける方法
ネジの深さや太さを計算して、コンクリートへ穴をあけなくてはいけません。
面倒な事ですが、下準備をきっちりできるかどうかで、きれいな仕上がりになるかが変わってきます。
●穴をあける深さ
まず、ネジの深さから穴をあける深さを決めます。
ドリルビットに、ここまであけるという目印を付けます。
テープを巻く、マジックで書くなど、自分のわかりやすい方法で印を付けましょう。
●コンクリートの粉の処理
穴をあけ始めると、コンクリートの粉が出てきます。
粉が残ったままネジを締めると、最後まで締めきれず、ネジが飛び出たままになってしまいます。
この粉をこまめに処理をしていくということが、ネジを根元まできちんと付ける大きなポイントになります。
粉の処理で簡単なのは、掃除機で吸ってしまう方法です。
粉が飛び散るのも防げます。
また、エアーダスターのような、スプレータイプやポンプ型のブロアーも便利です。
もしなければ、スポイドのようなもので、手動で粉を散らすこともできます。
コンクリートにネジを付ける方法
コンクリートにネジを付ける際、コンクリート専用のものが、お手軽で簡単に取り付けはできます。
ただ、専用のネジを取り付けるのは、少し技術が必要です。
ネジの太さより、少しでも穴を太くあけてしまうと落ちてしまいます。
手がぶれて穴が大きくなってしまうこともありがちです。
取り付けるネジの数が多い時や、重いものを固定する時は避けた方がいいでしょう。
小さなものを固定する時や、深さがあまりないネジを付ける時はコンクリート専用ネジが便利です。
コンクリートの種類にもよりますが、木の壁にネジを付ける時のように、ぴっちりとネジが止まらない場合が多いです。
ある程度ネジが埋まったら、ドリルを止めましょう。
ネジが止まるまで締めようとドリルを回し続けると、穴が必要以上に広がってしまい、締めることができなくなります。
場所によってはプラグが必要な場所があるので、コンクリート専用ビスの取り付けが可能かどうか、事前に必ず確認をしましょう。
また、ネジは緩み始めると、どんどんひどくなります。
ネジを締める前に、ネジのゆるみ止めという液体状の商品があるので、それを塗ってから取り付けると落下予防になります。
今ではネジも様々な種類が出ているので、「どういった場所で使うのか」「どういう方法で取り付けるのか」などの確認をしておきましょう。
付けたネジを外す方法と再利用について
コンクリートに何かをネジで固定したけれど、事情があって外さなければいけない時もあるでしょう。
コンクリート専用ビスは、一度抜いてしまうと、同じ穴はもう使えません。
抜くことによって、穴が大きくなってしまうからです。
あまりおすすめはできませんが、いくつか方法をご紹介します。
●穴を埋める
あけた穴を一度埋めてしまいましょう。
確実に埋めてから、再度穴をあけます。
強度は少し弱くなってしまいますが、再利用は可能になります。
●さらに太いネジ
前のネジより一回り太いネジを使いましょう。
新たに穴をあけることと同じ原理です。
でも、少しでも穴あけがぶれてしまうと、穴がダブってあいてしまい、再利用ができなくなるので、慎重にあけ直しましょう。
●プラグへ変更
上記のやり方が無理なようなら、プラグを使うネジへ変更しましょう。
プラグだと、再利用の穴でも強度が弱くなることはありません。
ただし、一度埋め込んだプラグを抜くのはほとんど不可能です。
もし抜くようなことがあれば、プラグと同じ太さのドリルで掘るしかありません。
埋め込む際は、慎重に器材と方法を選びましょう。
穴あけは誰にでもできるもの
今や、誰もがDIYを楽しめる時代になりました。
女性や子供が扱えるような、簡単で軽い工具も多く販売されています。
難しいと思われがちな作業でも、やってみれば案外簡単にできるものです。
コンクリートの穴あけ作業も、誰もができる作業です。
ただ、一般家庭でのコンクリートの穴あけは、修正が難しい場合や、賃貸の場合の原状回復が難しくなる時もあります。
作業をする前の下調べは、確実にしておきましょう。
ちょっと難しそうだからと諦めていたコンクリートへのネジの取り付けに挑戦してみてはいかがでしょうか?