毎年、年末調整の時期がやってきます。
賃貸にお住まいの方で、保険に入っている場合は、賃貸契約でも保険料控除は受けられるのだろうか?と疑問に思ってしまう方もいるでしょう。
今回は、賃貸契約でも、地震保険料控除を受けることができるのかについてと、保険料控除が受けられる場合の申告書の書き方についてお話します。
賃貸する時に必要な保険とは?
賃貸物件入居時に加入する家財保険(火災保険)は、その通称から自分の財産を守る為に加入するべきものと思いがちです。
それでは、家財保険は誰の為のものでしょう。
保険は身を守る為のものには違いありませんが、こと家財保険に関しては自分や家族のためだけに加入するものではありません。
その補償範囲は次の三つの分野の損害を対象にしています。
1.家財の損害
2.大家さんに対する賠償責任
3.第三者への賠償責任
この中で不動産会社や大家さんが重要視するのが、2.と3.の賠償責任保険への加入です。
大家さんや不動産会社の立場になって想像してみましょう。
マンションやアパート等の入居者は、それまで縁もゆかりもなかった人たちです。
正直よくわからない人たちに部屋を貸すのですから、問題発生のリスク管理をする必要があります。
「大家さんへの賠償責任保険」への加入は当然として、入居者が第三者へ迷惑をかければ責任を負うのは大家さんたちですから、「第三者への賠償責任」への加入も最低限必要と考えるのはごく自然です。
大家さんにとって最も管理すべきリスクこそ、住人同士あるいは住人と地域の人々とのトラブルが起こるリスクだからです。
例えば水漏れや火の不始末騒ぎがあった際、加害者側が賠償責任保険に入っていれば弁済や賠償といった経済的トラブルが軽減されることで、人と人の感情的なもつれにまで発展するリスクを軽減できるのです。
また、加入者にとってのメリットは身を守る以外にも保険料控除という側面もあります。
賃貸の地震保険料控除について知りたい!地震保険とは?
地震により家屋や家財に損害が生じた場合に、その補償をしてくれるのが地震保険です。
各地での大震災の影響により、加入率は増加の一途を辿っているものの、同時に保険料率も上がっています。
持ち家で建物と家財の両方の地震保険に加入している人ならば、年間数万円の地震保険料を支払っているということもあるでしょう。
一方で、そうした地震保険料の負担を避けるべく、地震保険への加入しない選択をしている方もいるでしょう。
しかし、いずれにせよ口を大にして伝えたいのは、地震保険には地震保険料控除がある点です。
これにより所得税や住民税が軽減されるのです。
税金を安く抑えられれば、実質的に地震保険料に割引が適用されたのと同じことになり、地震保険料の負担も若干軽く感じられることでしょう。
地震保険料控除について、もう少し詳しくご紹介します。
地震保険料控除とは、納税者が地震保険の保険料を支払っている場合、その年に支払った保険料の額(上限50,000円)が所得から控除されるという制度です。
つまり支払った分の地震保険料だけ課税所得が少なくなるという図式で、結果的に所得税を安くとどめることが可能となります。
また、地震保険料控除は、住民税にも適用されます。
住民税では、その年に支払った保険料の実に半額(上限25,000円)が控除されます。
半額はかなり大きいです。
では賃貸物件の場合はどうでしょうか。
年末調整で賃貸の地震保険料控除はされるの?
地震保険料控除は賃貸物件に住んでいても受けられるのでしょうか。
年末調整の地震保険料控除は、読んで字のごとく「地震保険」に加入している人が所得控除を受けられる便利な制度です。
地震保険料控除の範囲は「自分もしくは生計が同じ親族が所有している建物、もしくは家財の地震保険」ですから賃貸物件居住者の「家財保険の地震保険」についても、もちろん控除対象です。
賃貸物件入居の際には、不動産屋さんで保険へ加入することとなるのが一般的ですが、それが「家財保険」と呼ばれるものです。
そこで注意深く契約書などを読まなくてはなりません。
この「家財保険」には、地震保険がついているものと、そうでないものがあるのです。
必ず地震保険の有無を前もって確認しておきましょう。
読んでわからなければ恥ずかしがらずに担当者に尋ねれば即答してもらえます。
地震保険付帯の家財保険なら当然、地震保険料控除を受けることができます。
年末調整の時期迫る10月ごろには、保険会社から保険料控除証明書が送られてきますので、捨てずに保管しておきましょう。
建物については「自分もしくは生計が同じ親族が所有している建物」が対象となりますので、賃貸の建物契約の部分は控除の対象外です。
ただし、建物の保険は大家さんなど建物の所有者が加入済みでしょう。
建物そのものが何の保険にも入っていないことはないでしょうから、案じ過ぎることはありません。
不安なら一度確認しておきましょう。
賃貸の地震保険料控除の申請方法とは?
「保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」の書き方をご説明します。
① あなたの勤務先の名称•住所、あなたのお名前•ご住所を記載する欄に記入し、捺印します。
なお、「所轄税務署」欄には、あなたの会社の住所の所轄税務署名を記入するのですが、空欄で出せば会社の担当者が補記するはずです。
その旨事前に担当者へ確認しておけばよりベターです。
② 地震保険料控除の欄がありますので、以下の項目を記入します。
・保険会社等の名称(○○損保、○○共済など)
・保険等の種類(目的)…賃貸物件居住なら「家財」です。
持ち家居住なら「建物」です。
・保険期間…1年や5年など契約によって変わります。
・保険契約者(あなたのお名前)
・家屋等に居住または家財を利用している者等の氏名(あなたのお名前)…同居者がいてもあなたの名前を書けば問題ありません。
・地震保険料又は旧長期損害保険料の区分…「地震」にマルをつけます。
なお、「旧長期」とは平成18年12月31日までに満期返戻金のある保険期間10年以上の地震保険契約のことを指します。
・あなたが本年中に支払った保険料等のうち、区分にかかる金額…地震保険料のみ記入し、火災保険料は記入しません。
共済保険等で分配金など返還があった際は、その金額を差し引いた金額を記入しなくてはなりません。
・保険料の合計額…計算して記入します。
地震保険料が5万円を超える場合は?地震保険料控除証明書はどうしたら?
地震保険料が5万円を超える場合の書き方についてもご説明します。
賃貸物件でそこまでの保険料は滅多にありませんが、持ち家なら十分あり得ます。
地震保険料控除では、5万円までの控除が受けられることになっています。
保険料額が5万円を超える場合には、「地震保険料控除額」のBの「金額」欄と「合計額」(「最高50,000円」と書いてある)欄に50,000と記入します。
その他の欄には実際に支払っている保険料を書けば問題ありません。
1年契約の「地震保険料控除証明書」は、保険証書とともに送付されるのが一般的です。
保険証書と一体型仕様となっているケースもありますので、その場合にはミシン目から切り離し使用します。
長期契約なら、毎年10月頃送付されてきます。
いずれにせよ、うっかり無くしやすいものですから、用心深く保管しましょう。
最悪無くしてしまったら、早急に保険会社に連絡して、再発行手続きを取りましょう。
年末調整に間に合わなかったとしても、1月31日までに提出すれば控除を受けられます。
また、勤務先を通じ、団体特約にて加入している場合、「地震保険料控除証明書」の提出自体不要の場合もあります。
「保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」に地震保険料の控除証明書を添付の上、勤務先の担当者へ提出します。
コピーでの提出は不可です。
原本を提出しましょう。
火事で地震保険を使う事にならないように
地震保険は単体で加入できません。
賃貸でも持ち家でも火災保険とセット加入が必須となっています。
実際に火災保険を使わないように、火災の発生を防ぐポイントについて触れておきます。
・電気ストーブ等の使用…転倒などによって近くにある絨毯、カーテン、衣類などに引火するおそれがあります。
転倒以外で特に気をつけたいのは就寝時です。
寝返りでお布団の位置が電気ストーブ等を覆ってしまい引火する危険性があります。
就寝時、外出時は電気ストーブ等の電源オフを怠らないことです
・ガスコンロの使用…ガスコンロに布が落として火災が発生することがあります。
システムキッチンの場合、特にコンロの上に鍋つかみや布巾を何気なく置いてしまうこともありますが大変危険です。
また、電気ストーブ等と同様、就寝時や外出時のつけ放しにはくれぐれも注意しましょう。
元栓を締める習慣を身につければ、なお良しです。
・喫煙…タバコによる火事を防ぐ最も有効な手だては、灰皿選びにあります。
喫茶店にあるような平たいものでなく、フタのあるタイプを使用し、底に水を置けば安心です。
・笛吹きケトル…火の止め忘れに要注意です。
・消火器の準備漏れ…共同住宅には廊下に設置されているはずですが、万が一見当たらない場合には、大家さんや管理会社に相談しましょう。
実際に火災等を起こし保険適用となっても嬉しいと思う方はいないでしょう。
保険と向き合うスタンスとして大家さんたちを安心させ、保険料控除のメリットもあるものくらいにとどめておけるよう、被害を未然に防ぐ努力も怠らないでおきましょう。
年末調整前に自分が入っている保険について確認しておこう
年末調整は、毎年手続きしていても、記入方法に迷ってしまいます。
まず、あなたの加入している保険に、地震保険が付いているかどうかを確認してみましょう。
地震保険の付いている家財保険に加入していれば、地震保険料控除が受けられます。
地震保険料控除が受けられるようであるならば、申告漏れのないように注意しながら申告書に記入するようにしましょう。