低反発マットレス選びのポイントは、反発力と密度です。
独特の適度な硬さと、身体にフィットする心地よい質感選びに重要な反発力。
へたりに関連する、耐久性を知る手がかりとなる密度。
ここではあまり知られていない、素材の密度についてまとめてみました。
密度と耐久性の関係をしっかり理解して、自分にあった低反発マットレスを選び、快適な睡眠を手に入れましょう。
低反発マットレス選びで重要なのは?
低反発マットレスは、硬すぎず、柔らかすぎない適度な硬さと、心地よいフィット感が最大の特徴です。
この適度な硬さがマットレスの反発力であり、N(ニュートン)で表されています。
一般的に40〜60Nが低反発と称されるマットレスです。
ゆっくり復元することで衝撃を吸収する素材の特徴から、低反発マットレスは体圧分散機能に優れています。
人は横になると、肩部や腰部に体圧がかかりますが、低反発マットレスは、はじめに重みのある肩甲骨とお尻の形にあわせて沈み込み、その後ゆっくりと復元する力で身体全体を支えます。
このように、身体にかかる圧力を均一に分散することが、理想的な寝姿勢を維持し、肩こりや腰痛予防にも効果を発揮します。
また、包み込まれるような質感は、ゆったりとした安心感を与え、朝までぐっすりと快適な寝心地を保ちます。
のちに詳しくご説明しますが、低反発マットレスの、身体に優しい特徴を維持するのに不可欠なのが、素材の密度です。
自分にあった低反発マットレス選びには、反発力と密度がとても重要な要素となっているのです。
低反発マットレスの弱点は?
心地よい質感と、優れた体圧分散機能を備える低反発マットレスにも、いくつか気になる性質があります。
そのひとつに、寝返りが打ちにくいことが挙げられます。
どんなに寝相のいい人でも、寝返りを打つことで、無意識のうちに滞った血流を改善しています。
一晩で20回前後の寝返りが最適とされていますが、低反発マットレスは衝撃を吸収してしまう特徴から、寝返りを打とうとすると、無駄なエネルギーがかかってしまうのです。
また、身体にフィットする質感が、夏場などは密着しすぎて、蒸れる原因にもなってしまいます。
これに加えて、低反発マットレスの最大の弱点ともいえるのは、へたりやすさではないでしょうか。
衝撃を吸収する性質上、素材のウレタンフォーム変形量が大きいために、負担がかかってきます。
このような、ウレタンフォームの変形量によるマットレスのへたりやすさには、素材の密度が大きく関わっています。
次章から、意外に知られていない低反発マットレスの密度について、じっくり考えてみましょう。
マットレスの密度D(デニシティ)とは?
低反発マットレスの素材である、ウレタンフォームの密度はD(デニシティ)で表されます。
これは、1立方メートルあたりのkg数のことで、密度Dが低いほど、マットレスに使われているウレタンフォームが、スカスカの素材だということになります。
つまり、理論上は密度によって硬さが異なることになり、密度が高いほどマットレスの質感は硬く、密度が低いほど柔らかいということです。
密度D=重量kg÷(横幅m×縦幅m×高さm)
一見難しい計算式ですが、わかりやすく例を挙げると、シングルサイズ(100cm×200cm)、厚み8cm、重量6kgのマットレスなら、6kg÷(1×2×0.08m)=37.5となり、その密度は37.5Dと表されます。
低反発マットレスでは40D以下のものが一般的なので、50Dを超える密度のマットレスはしっかりと詰まった素材であり、硬い質感ということになります。
低反発マットレスを選ぶ際には、マットレスに表記してある素材の密度Dの値もしっかりチェックしてみましょう。
ウレタンフォーム素材の密度
前章で述べたマットレスの密度と硬さの関係は、あくまで理論上での説明になります。
というのも、素材のウレタンフォームは原材料の配合によって、硬さのコントロールが可能だからです。
つまり技術次第で、密度が高くて硬いウレタンフォームはもちろん、密度が高いのに柔らかいウレタンフォームもつくれるというわけです。
そのため、素材のウレタンフォームの反発力(N)と密度(D)は比例しません。
密度が直接関わっているのは素材の耐久性で、密度が高いマットレスほどへたりにくく、身体をしっかり支えてくれます。
市場で出回っている安価な低反発マットレスには、明白な密度(D)の表記をしていないものもたくさんあります。
しかし、このような商品は、実際には20D以下のへたりやすいものがほとんどのようです。
また、素材のウレタンフォームの密度が高いほど、高価なマットレスが多いことから、密度を上げるためだけに、ウレタン発泡の際に混ぜ物をする悪質な業者もあるようです。
マットレスに表記されている、反発力(N)や密度(D)の数値は、その商品を知るうえで重要な手掛かりになりますが、できる限り、実際に手で触れて硬さを確認し、店頭で説明を受けたり口コミを調べるなど、きちんとした情報のもとに購入することをおすすめします。
密度と耐久性の関係
素材のウレタンフォームの密度は、低反発マットレスの耐久性にどのように関係しているのでしょうか。
そもそもマットレスのへたりは、ウレタンフォーム内部にできる「空気の穴」が潰れることによって発生する、消耗現象です。
密度が低いウレタンフォームは、内部のひとつひとつの「空気の穴」が大きいため、潰れる穴自体が大きく、更にへたりやすくなります。
また、ウレタンフォームの性質上、どんな加工を施しても、へたり自体を完全になくすことは難しいようです。
特に、衝撃を吸収しやすい低反発マットレスでは、ウレタンフォームの変形量が大きく、しかも睡眠の間ずっと維持し続けるため、どんなに密度の高い素材を使っても、へたりが出てきてしまいます。
ウレタンフォーム素材の耐久試験はもちろん実施されていますが、この試験をクリアしたマットレスが、一般家庭でどれくらいへたらずに使えるかという、明確な数字を出すまでには至っていません。
耐久性をチェックする際、目安としては密度25D以上のものを選ぶことをおすすめします。
低反発マットレス購入時には、自分にあった硬さと寝心地に加え、耐久性も考慮して、密度の高さを選択肢に組み込んでみましょう。
低反発マットレスを長く使うには?
低反発マットレスの耐久性に密度が深く関わってることも踏まえて、マットレスの寿命を少しでも延ばすにはどうしたらよいでしょうか。
まずは、マットレスをローテーションして使うことをおすすめします。
どんなに密度の高いウレタンフォーム素材のマットレスでも、同じ場所にばかり負荷をかければ、そこからへたってきてしまいます。
マットレスの上下左右、裏表を定期的に入れ替えることで、マットレスを均等に使うことができ、少しでもへたりにくくできます。
また、通気性の劣るウレタンフォームは、湿気に弱くカビなどの原因にもなります。
衛生面はもちろんのことながら、これらはマットレスを傷め、その耐久性にも影響を与えます。
こまめな陰干しや、部屋に立てかけてマットレスに空気を通すことも大切です。
ほんの少し手間をかけるだけで、低反発マットレスの寝心地をより長く維持できます。
低反発マットレス選びに重要な密度(D)
体温や体圧によって形が変化し、身体にフィットする低反発マットレスは、長く支持され続けています。
しかし、その性質上へたりやすいともいわれています。
低反発マットレスのへたりには、ウレタンフォーム素材の密度が深く関係しています。
密度(D)もチェックして自分に最適な低反発マットレスをみつけたら、こまめなメンテナンスで長くその寝心地を維持しましょう。